2.6.1 所得控除の概要

納税者に扶養親族がいる場合や多額の医療費を支払っている場合などには、所得税の計算をするにあたってそれらの事情を考慮する必要があります。

そこで、所得税では納税者の個人的な事情を考慮して、一定の場合には所得金額から定められた金額を控除することにしています。

所得控除の種類

所得控除には「担税力減殺を考慮」「社会政策上の要請」「個人的事情を考慮」「最低生活費の保証」といった目的で次に掲げる14種類のものがあります(非居住者は雑損控除、寄附金控除、基礎控除の3種類のみが適用できます)。

雑損控除

災害や盗難、横領によって資産に損害を受けた場合や、災害に関連してやむを得ない支出をした場合には次の金額を控除します。

ただし、棚卸資産や事業用固定資産、生活に通常必要でない資産(別荘、1個又は1組の価額が30万円超の貴金属、書画、骨董等)などに対する損害は控除対象外になります。

控除額
次の①と②のいずれか大きい金額(※)
① 損失の金額(災害関連支出を含み、保険金等で補填される部分を除く)-総所得金額等×1/10
② 災害関連支出(滅失した住宅や家財の取壊や除去のために支出など)-5万円

(※)その年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後3年間に渡って繰り越して各年の所得金額から控除できます。

医療費控除

本人又は同一生計の配偶者や親族の医療費を支払った場合には次の原則又は特例(セルフメディケーション税制)の金額を控除します。なお、原則と特例の併用はできません。

  控除額
原則 (支払った医療費の総額ー保険金等で補填される金額)-10万円(※)
(控除額は最高200万円)
特例
(セルフメディケーション税制)
(対象医薬品等の購入額ー保険金等で補填される金額)-1.2万円
(控除額は最高8.8万円)

(※)総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等×5%

社会保険料控除

本人又は同一生計の配偶者や親族の負担すべき社会保険料を支払った(又は給与や公的年金から差し引かれた)場合には、支払った社会保険料の額を控除します。

控除額
支払った(又は給与や公的年金から差し引かれた)社会保険料の額

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等の掛金を支払った場合には支払った掛金の額を控除します。

控除額
支払った掛金の額

生命保険料控除

生命保険契約、介護医療保険契約、個人年金保険契約にかかる保険料等を支払った場合には、新契約と旧契約に応じてそれぞれ次の金額を控除します。

・新契約の場合(新生命保険、介護医療保険、新年金保険)

年間の保険料 控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 40,000円

・旧契約の場合(旧生命保険、旧年金保険)

年間の保険料 控除額
25,000円以下 支払保険料等の全額
25,000円超 50,000円以下 支払保険料等×1/2+12,500円
50,000円超 100,000円以下 支払保険料等×1/4+25,000円
100,000円超 50,000円

生命保険契約と個人年金保険契約について新契約と旧契約の両方を適用する場合には4万円を限度額とし、生命保険契約、介護医療保険契約、個人年金契約を合わせて12万円を限度額とします。

地震保険料控除

地震等による一定の資産の損害を補填するための保険料や掛金を支払った場合には、地震保険と長期損害保険の区分に応じてそれぞれ次の金額を控除します。ただし、地震保険と長期損害保険の両方がある場合には合計で50,000円が限度になります。

・地震保険料

年間の保険料 控除額
50,000円以下 支払保険料等の全額
50,000円超 50,000円

・長期損害保険

年間の保険料 控除額
10,000円以下 支払保険料等の全額
10,000円超 20,000円以下 支払保険料等×1/2+5,000円
20,000円超 15,000円

寄附金控除

2,000円を超える特定寄附金を支出した場合には次の金額を控除します。

控除額
次の①と②のいずれか小さい金額
① 特定寄附金の合計額 (※)-2,000円
② 総所得金額×40%-2,000円

障がい者控除

本人又は同一生計の配偶者や扶養親族が障がい者の場合、障がい者、特別障がい者、同居特別障がい者の区分に応じて、それぞれ次の金額を控除します。

  控除額
障がい者 270,000円
特別障がい者 400,000円
同居特別障がい者 750,000円

寡婦(夫)控除

本人が寡婦又は寡夫の場合、寡婦(夫)又は特別寡婦の区分に応じて次の金額を控除します。

  控除額
一般の寡婦又は寡夫 270,000円
特別の寡婦 350,000円

勤労学生控除

本人が勤労学生の場合270,000円を控除します。

控除額
270,000円

配偶者控除

生計を一にする配偶者の合計所得金額が48万円以下(令和1年までは38万円以下)の場合は、控除対象配偶者(70歳以上の場合は老人控除対象配偶者)として次の金額を控除することができます。ただし、青色事業専従者又は事業専従者は扶養親族になれません。

本人の合計所得金額  控除額
控除対象配偶者 老人控除対象配偶者
900万円以下 38万円 48万円
900万円超 950万円以下 26万円 32万円
950万円超 1,000万円以下 13万円 16万円

配偶者特別控除

生計を一にする配偶者(他の人の扶養親族や青色事業専従者、事業専従者を除く)の合計所得金額が48万円超133万円以下(令和1年までは38万円超123万円以下)の場合は次の金額を控除します。ただし、本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は控除できません。

令和2年分の控除額)

配偶者の合計所得金額  控除額
本人の合計所得金額
900万円以下
本人の合計所得金額
900万円超
950万円以下
本人の合計所得金額
950万円超
1,000万円以下
48万円超 95万円以下 38万円 26万円 13万円
95万円超 100万円以下 36万円 24万円 12万円
100万円超 105万円以下 31万円 21万円 11万円
105万円超 110万円以下 26万円 18万円 9万円
110万円超 115万円以下 21万円 14万円 7万円
115万円超 120万円以下 16万円 11万円 6万円
120万円超 125万円以下 11万円 8万円 4万円
125万円超 130万円以下 6万円 4万円 2万円
130万円超 133万円以下 3万円 2万円 1万円

扶養控除

16歳以上で合計所得金額が48万円以下(令和元年までは38万円以下)の扶養親族がいる場合には次の金額を控除します。ただし、青色事業専従者又は事業専従者は扶養親族になれません。

扶養親族の区分 控除額
一般の控除対象扶養親族
(16歳以上18歳以下、23歳以上69歳以下)
38万円
特定扶養親族
(19歳以上22歳以下)
63万円
老人扶養親族
(70歳以上)
同居老親等以外 48万円
同居老親等 58万円

基礎控除

納税者の所得金額に応じて次の金額を控除します。ただし令和1年までは一律38万円です。

令和2年分の控除額)

合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超 2,450万円以下
32万円
2,450万円超 2,500万円以下
16万円
2,500万円以下
0円

法令等

この記事は2020年1月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、この記事は税法学習者に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。

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