2.5.2 損失の繰越しと繰戻し

所得税は暦年課税を原則としていますが、損益通算をしても残った損失や雑損控除の控除不足額は一定の要件を満たす場合、翌年以降3年間の所得金額から控除することができます。また、一定の純損失については前年の所得税の還付を請求することができます。

損失の繰越しと繰戻し

所得税ではそれぞれの所得ごとに所得金額を計算し、損失が発生している場合には一定のルールにしたがって黒字の所得と赤字の所得の損益通算を行いますが、損益通算をしても残った損失(純損失)や雑損控除の控除不足(雑損失)がある場合で、一定の要件を満たす場合には純損失や雑損失を翌年以降3年間繰越す、又は純損失の金額を前年に繰戻すことができます。

純損失の繰越控除

純損失の金額は翌年以降3年間繰越し、翌年以降の損益通算後の所得金額から繰越控除の対象となる損失の金額を差し引くことができます。ただし、純損失の繰越控除を適用するには、損失が生じた年に青色申告書(又は確定申告書)を提出し、その後毎年確定申告書を提出しなければなりません。

要件 繰越控除の対象となる損失
青色申告の場合 損失が生じた年の青色申告書を提出し、その後毎年確定申告書を提出している 純損失の金額
白色申告の場合 損失が生じた年の確定申告書を提出し、その後毎年確定申告書を提出している 純損失の金額のうち変動所得の損失と被災事業用資産の損失

なお、純損失の金額を翌年以降3年間のどの所得(総所得金額、山林所得金額など)から差し引くかの順番については一定のルールがあります。

雑損失の繰越控除

雑損失の金額も純損失の金額と同様に翌年以降3年間繰越し、翌年以降の損益通算後の所得金額から対象となる損失の金額を差し引くことができます。なお、純損失の繰越控除を適用するには、損失が生じた年に確定申告書を提出し、その後毎年確定申告書を提出しなければなりません。

要件 繰越控除の対象となる損失
青色・白色共通 損失が生じた年の確定申告書を提出し、その後毎年確定申告書を提出している 雑損失の金額

なお、純損失の金額を翌年以降3年間のどの所得(総所得金額、山林所得金額など)から差し引くかの順番については一定のルールがあります。

純損失の繰戻し(青色申告のみ)

青色申告者については前年も青色申告している場合は、純損失の全部又は一部を前年の所得金額から控除して前年に納税した税額の還付を請求することができます。

要件
青色申告の場合 次の要件を両方とも満たす場合
(1)損失が生じた年の青色申告書を期限内に提出し、同時に還付請求書を提出する
(2)前年についても青色申告書を提出している
白色申告の場合 純損失の繰戻はできません

(※)その年に事業の廃止、死亡などをしている場合には特別な取り扱いがあります

法令等

この記事は2019年11月30日現在の法令等に基づいて書かれています。また、このサイトは税法を学ぶ方に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。