2.4 必要経費の概要

所得税では所得の金額を10種類(給与所得、事業所得など)に区分しますが、不動産所得や事業所得、雑所得については総収入金額から必要経費を控除した所得金額に対して所得税が課税されます。では、必要経費とはどのようなものかその概要について解説します。

二種類の必要経費

所得税の必要経費には売上原価等のように収入に対応して発生するものと、販売費や一般管理費(例:家賃や光熱費、従業員の給与)などのように、収入にかかわらず時間の経過に対応して発生するもの二種類があります。

必要経費の種類 具体例
収入に対応する必要経費
(収入に応じて発生する)
売上原価
総収入金額を得るため直接かかった費用
期間に対応する必要経費
(収入にかかわらず時間の経過に応じて発生する)
販売費、一般管理費
その他業務上の費用

売上原価

商品や製品の売上原価は売上と直接対応して発生するもののため、期間の経過に応じてではなく、その商品や製品を販売した年の必要経費になります。具体的には、次の計算式のように年の棚卸資産にその年の仕入金額を加算、年末の棚卸資産を減算して売上原価を計算します。

(例)年初在庫200個(20万円分)、当年中の仕入が1,000個(100万円分)、年末在庫が100個(10万円分)の場合
売上原価:
年初在庫20万円+当年中の仕入100万円ー年末在庫10万円=110万円

売上原価の計算についての詳しい解説は2.2.4.1 売上原価の計算をご覧ください。

販売費、一般管理費等

債務が確定したときの必要経費

必要経費は原則として金銭などを支出した年ではなく、債務が確定した年の必要経費になります。したがって、例えば2019年に行われる事務所の修繕代金を2018年中に支払っていた場合であっても、必要経費になるのは債務が確定した2019年になります。(ただし償却費など一定のものについては、債務の確定とは別に必要経費の計算に特別なルールが設けられています)。

なお、債務が確定しているとは次の1.~3.の全ての要件満たしているものをいいます。つまり、この3つの要件を満たしていれば代金の支払いの有無に係らず必要経費になりますが、前払金や手付金のようなものは2.の要件を満たしていないため必要経費にはなりません。

債務確定の要件 具体例(事務所の修繕の場合)
1. 債務が成立している 修繕の契約(口頭の契約を含む)がある
2. 給付の原因となる事実が発生している 修繕が完了している
3. 金額を合理的に計算できる 請求書を受け取っている(または見積り金額がわかる)

必要経費にできないもの

所得税では債務が確定したときに必要経費になりますが、次のようなものは債務確定の有無に係らずそもそも必要経費とは認められません。

家事関連費等 具体例
1. 家事費 生活費、住宅の家賃や光熱費など
2. 家事関連費 店舗兼住宅の賃料、水道光熱費など(※)
3. 租税公課 所得税、住民税、延滞税等
4. 損賠賠償金 故意又は重大な過失によって他人の権利を侵害した場合の損害賠償金

(※)個人事業主の場合、生活費と事業の必要経費の区分が明確ではないことがあるため、家事関連費は原則として必要経費にできません。ただし、家事関連費と必要経費を明確に区分できるなどの場合には必要経費にすることができます。

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2.4.1 減価償却費

法令等

この記事は2019年11月30日現在の法令等に基づいて書かれています。また、このサイトは税法を学ぶ方に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。