2.4.6 同一生計の親族に支払う給料や賃借料など

個人事業主の親族が事業に従事することは珍しくありませんが、親族が受け取る金銭等が「労働の対価」なのか、それとも「扶養のために生活費」として支出されたものなのかを明確に区分することは容易ではありません。

そこで所得税では事業主が同一生計の親族に支払う給与等を必要経費にすることに一定の制限を設けています。

同一生計の親族に支払う給料や賃借料など

事業主が同一生計の配偶者や親族に給与や賃借料などを支払う場合には、それが「必要経費」といえるものなのか、それとも「扶養のために生活費」を支出したものなのかを明確に区別すること容易ではありません。

そこで所得税では、事業主が生計を一にする配偶者や親族に支払う給料、家賃、借入金の利子等については、原則として必要経費にすることができません。

この場合、同一生計の配偶者や親族が支払を受けた収入や必要経費はないものとみなされ、配偶者や親族が、事業主から対価の支払いを受けるために要した必要経費とされるべき金額は、事業主の必要経費になります。

(例)夫が雑貨店の店主(事業主)が、同一生計の妻(店舗建物の所有者)に50万円の家賃を支払い、妻が固定資産税5万円を納税する場合。

夫(事業主)の所得計算 妻の所得計算
家賃 必要経費0円
(妻に支払ってないものとみなす)
収入0円
(夫から受取っていないものとみなす)
固定資産税 必要経費5万円
(妻が支払った固定資産税)
必要経費0円
(事業主である夫の必要経費になる)

事業専従者

事業主が同一生計の配偶者や親族に支給する給与は原則として必要経費になりませんが、その配偶者や親族が15歳以上で、かつ、事業に専従している場合には、青色事業者給与又は事業専従者控除が必要経費になります。

なお、事業専従者(青色・白色共通)は、控除対象配偶者や扶養親族にはなりません。

「事業」に専従するとは?
事業専従者は、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき「事業」に専従する者という意味ですので、事業ではない所得(例えば事業的規模ではない不動産所得)の計算では、青色事業専従者給与及び事業専従者控除を必要経費にすることはできません。

事業専従者の要件

青色事業専従者給与や事業専従者控除の対象になる事業専従者は、(1)事業主と同一生計の親族で、(2)その年の12月31日現在で15歳以上、かつ、(3)年を通じて6カ月以上その事業に専ら従事している必要があります。

事業専従者の要件
(1) 同一生計のその他の親族であること
(2) その年12月31日現在で15歳以上であること
ただし、事業専従者が年の途中で死亡した場合は死亡時に15歳以上であること
(3) 年を通じて6か月超の期間、その事業主の事業に専ら従事していること
ただし、年の途中での開廃業、休業、病気などやむを得ない理由がある場合は、事業に従事可能と認められる期間の2分の1超の期間、その事業主の事業に専ら従事していること

青色事業専従者給与の届出

青色事業専従者給与を必要経費にする場合には、上記の要件を満たすだけではなく適用を受けようとする年の3月15日(1月16日以降に事業を開始した場合や新たに専従者がいることになった場合は、事業開始日又は専従者がいることになった日から2カ月以内)までに、青色事業専従者給与に関する届出書を税務署長に提出しなければなりません。

法令等

この記事は2020年4月1日現在の法令等に基づいて書かれています。また、この記事は税法学習者に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。

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