2.2.6 退職所得の計算

退職手当、一時恩給など退職によって一時に受け取る給与(退職手当等)は退職所得として所得税が課税されます。ここでは、退職所得の金額をどのように計算するのかを解説します。

退職所得の範囲

退職所得とは、退職手当、一時恩給など退職によって一時に受け取る給与(退職手当等)などのことをいいます。

また、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、独立行政法人農業者年金基金法の規定に基づく一時金なども退職所得になります。

退職所得の金額

給与所得の金額は、一般の退職手当等と特定役員退職手当等に区分して次の計算式で計算します。

・一般の退職手当等
収入金額から退職所得控除額を控除した後に2分の1にして計算します。

・特定役員退職手当等
収入金額から退職所得控除額を控除して計算します。

・一般退職手当等と特定役員退職手当等の両方がある場合
特定役員退職手当等分と一般の退職手当等分を区分して計算します。

特定役員退職手当等とは?
次の役員等としての役員等勤続年数が5年以下の場合の退職手当等をいいます。
・取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人など
・国会議員、地方議会議員
・国家公務員、地方公務員

収入金額

退職所得の収入金額は次の収入の時期の属する年に所得税が課税されます。

控除額

退職所得控除額

退職所得控除額は勤続年数に応じて計算方法が決められています。計算の中で勤続年数に1年未満の端数があるときは切り上げます。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下の場合 40万円×勤続年数(最低80万円)
20年超の場合 800万円+70万円×(勤続年数-20年)
(例)勤続年数が30年2カ月の場合
勤続年数は1年未満を切り上げますので、30年2カ月→31年と考えます。
退職所得控除額=800万円+70万円×(31年ー20年)=1,570万円
障害者になったことが退職の直接の理由であるときは、退職所得控除額に100万円が加算されます。また、前年以前にも退職手当等を受けている場合、退職所得控除額の調整が必要なことがあります。

特定役員退職所得控除

特定役員退職所得控除額は次の計算式で計算します。計算の中で勤続年数に1年未満の端数があるときは切り上げます。

特定役員退職所得控除額
40万円×(特定役員等勤続年数‐重複勤続年数)+20万円×重複勤続年数
(例)10年3カ月勤務した会社を退職しました。最初の8年5カ月は一般の社員として勤務し、退職までの3年2カ月は役員として勤務しました。重複している1年4カ月は使用人兼務役員として勤務していました。

役員勤続年数が5年以下のため特定役員等になります。
・特定役員退職所得控除額

特定役員等勤続年数4年(3年2カ月を切上げ)、重複勤続年数2年(1年4カ月を切上げ)
40万円×(4年-2年)+20万円×2年=120万円
・一般の退職所得控除額
通算勤続年数11年(10年3カ月を切り上げ)
40万円×11年ー特定役員退職所得控除額120万円=320万円

特殊なケース

1年のうちに2か所から退職手当等を受け取った場合や、他社での勤務期間が退職手当等の計算期間に含まれる場合(例えば親会社から子会社に転籍し、子会社退職時に親会社勤務期間を含めて退職手当等が支給される場合)などには特別な取り扱いが設けられています。

関連記事

2.2 所得の種類

法令等

この記事は2019年8月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、記事の内容は税法の一般的な取り扱いについての解説ですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。