退職所得とは?範囲と計算方法を解説

退職手当や一時恩給のように退職によって一時に受け取る給与(退職手当等)は退職所得として所得税が課税されます。今回は退職所得の計算について解説します。

退職所得の範囲

退職所得とは、退職手当や一時恩給など退職によって一時に受け取る給与(退職手当等)や退職手当等とみなす一時金による所得をいいます。

退職所得
具体例
退職手当等 退職手当、一時恩給等
退職手当等とみなす一時金 国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、独立行政法人農業者年金基金法の規定に基づく一時金等

退職所得の金額

退職所得の金額は、一般の退職手当等と特定役員退職手当等(役員等としての勤続年数が5年以下の場合の退職手当等)に区分して次の計算式で計算します。

・一般の退職手当等
収入金額から退職所得控除額を控除した後の金額に2分の1を乗じて計算します。
一般の退職手当の退職所得計算式

・特定役員退職手当等
収入金額から退職所得控除額を控除して計算します。
特定役員退職手当の退職所得計算式

・一般退職手当等と特定役員退職手当等の両方がある場合
特定役員退職手当等と一般の退職手当等を区分して計算します。
一般退職手当等と特定役員退職手当等の両方がある場合の退職所得計算式

特定役員退職手当等
次の役員等としての勤続年数が5年以下の場合の退職手当等をいいます。
・取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人など
・国会議員、地方議会議員
・国家公務員、地方公務員

収入の時期

退職所得は原則として退職日の属する年の収入として所得税が課税されます。

退職所得ごとの収入の時期フローチャート

控除額

退職所得控除額

退職所得控除額は勤続年数が20年以下又は20年超過の区分に応じてそれぞれ次の計算式で計算します(勤続年数に1年未満の端数は切り上げて計算します)。ただし、前年以前にも退職手当等を受けている場合には退職所得控除額の調整が必要なことがあります。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下の場合 40万円×勤続年数(最低80万円)
20年超の場合 800万円+70万円×(勤続年数-20年)
(例)勤続年数が30年2カ月の場合
勤続年数は1年未満を切り上げて計算するため30年2カ月→31年と考えます。
退職所得控除額: 800万円+70万円×(31年ー20年)=1,570万円
なお、障害者になったことが退職の直接の理由である場合には退職所得控除額に100万円が加算されます。

特定役員退職所得控除

特定役員退職所得控除額は、特定役員等の勤続期間と特定役員等でない勤続期間の重複期間がある場合とない場合に応じて次のように計算します(勤続年数に1年未満の端数は切り上げて計算します)。

重複期間 特定役員退職所得控除額
ない場合 40万円×特定役員等勤続年数
ある場合 40万円×(特定役員等勤続年数ー重複勤続年数)+20万円×重複勤続年数
(例)10年3カ月勤務した会社を退職しました。最初の8年5カ月は一般の社員として勤務し、退職までの3年2カ月は役員として勤務しました。重複している1年4カ月は使用人兼務役員として勤務していました。

役員勤続年数が5年以下のため特定役員等になります。
・特定役員退職所得控除額

特定役員等勤続年数4年(3年2カ月を切上げ)、重複勤続年数2年(1年4カ月を切上げ)
40万円×(4年ー2年)+20万円×2年=120万円
・一般の退職所得控除額
通算勤続年数11年(10年3カ月を切り上げ)
40万円×11年ー特定役員退職所得控除額120万円=320万円

特殊なケース

1年のうちに2か所から退職手当等を受け取った場合や、他社での勤務期間が退職手当等の計算期間に含まれる場合(例えば親会社から子会社に転籍し、子会社退職時に親会社勤務期間を含めて退職手当等が支給される場合)などには特別な取り扱いが設けられています。

法令等

この記事は2020年4月1日現在の法令等に基づいて書かれています。また、この記事は税法学習者に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。

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