2.2.5 給与所得の計算

会社員や会社役員、公務員などが受け取る給与や賞与、事業専従者が受け取る専従者給与などは給与所得として所得税が課税されますが、給与所得の金額をどのように計算するのかについて解説します。

給与所得の範囲

給与所得とは俸給、給料、賃金、歳費、賞与などの所得や青色事業専従者給与、事業専従者控除のことをいいます。

給与所得
俸給、給料、賃金、歳費、賞与など
青色専従者給与
事業専従者控除
事業専従者とは?
事業主と同一生計の親族(15歳以上)で、その事業主が営む事業に専従している人のことをいいます。事業主が青色申告者である場合に支給される給与を青色事業専従者給与といいます。

給与所得の金額

給与所得の金額は収入金額から給与所得控除と特定支出控除を控除した金額になります。

(例)Aさんは2019年に勤務先の会社から400万円の給与と賞与を受け取りましたが、この他にアルバイト先の給与が100万円ありました(特定支出控除はありません)。
収入金額:
400万円+100万円=500万円
給与所得控除額:
154万円(この後解説する計算式で計算します)
給与所得:
500万円ー154万円=346万円

収入金額

収入の時期

給与所得の収入金額はその年の給与等の金額の合計額になります。なお、給与等は次の収入の時期にの属する年の収入金額になります。

ストックオプションの取り扱い

ストックオプションは税制適格ストックオプション(税法の要件を満たすストックオプション)と税制非適格ストックオプションの2種類に区分されており、所得税の取り扱いが異なります。このうち税制非適格ストックオプションについては、ストックオプションの権利行使時の時価と権利行使価額の差額が給与所得として取り扱われます。

種類 課税時期 所得区分 所得金額
税制適格 株式売却時 譲渡所得 株式売却額ー払込価額
税制非適格 権利行使時 給与所得 権利行使時の時価ー権利行使価額
株式売却時 譲渡所得 株式売却額ー権利行使時の時価
(例)税制非適格ストックオプション
権利行使価額1,000円のストックオプションを100株分取得し、株価が1,500円になったときに権利行使しました(100株×@1,000円=100,000円で購入)。
その後、株価が2,000円まで上昇したので全て売却しました(100株×@2,000円=200,000円で売却)
ストックオプション取得時:
課税されません
権利行使時:
100株×(時価1,500円ー権利行使価額1,000円)=50,000円が給与所得の収入金額
売却時:
100株×(売却額2,000円ー権利行使時の時価1,500円)=50,000円が譲渡所得

給与所得控除額

給与所得の金額の計算で収入金額から控除する給与所得控除額は、収入金額に応じてそれぞれ次の計算式で計算します。

(2017年~2019年)

収入金額
(源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%
(650,000円未満の場合は650,000円)
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超 10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超 2,200,000円
(例)2019年の給与収入が500万円(特定支出なし)の場合
給与所控除額:
500万円×20%+54万円=154万円
給与所得額:
500万円ー154万円=346万円

(2020年~)

収入金額
(源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%ー100,000円
(550,000円未満の場合は550,000円)
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+80,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+440,000円
6,600,000円超 8,500,000円以下 収入金額×10%+1,100,000円
8,500,000円超 1,950,000円

特定支出控除額

通勤費や転居費、研修費などの特定支出の金額が、給与所得控除額×50%を超える場合には、その超える部分の金額を特定支出控除として給与所得の金額から控除することできます。

特定支出とは?
通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、勤務必要経費(65万円以内)として一定の要件を満たすものをいいます。ただし、使用者から補填されていて、かつ、所得税が課税されない部分等は特定支出に含まれません。

関連記事

2.2 所得の種類

法令等

この記事は2019年11月30日現在の法令等に基づいて書かれています。また、このサイトは税法を学ぶ方に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。