2.2.5 事業産所得の計算

所得税では農業や漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などは事業所得として所得金額を計算します。ここでは、事業所得の金額をどのように計算するのかを解説します。

事業所得の金額の計算

事業所得の金額は暦年で計算しますので、1月1日から12月31日までの総収入金額から必要経費を控除した金額になります。

総収入金額

収入の時期

所得税では原則としてその年の12月31日までに収入することが確定したものが総収入金額になります。原則的な取り扱いは次のとおりです。

(例)機器を2019年11月1日から2020年1月31日まで3カ月間賃貸しました。1カ月の賃貸料は5万円です。
2019年の総収入金額に含まれるもの:11月分と12月分の10万円
2020年の総収入金額に含まれるもの:1月分の5万円

リース譲渡や工事の請負については原則的な取り扱いの他に、延払基準や工事進行基準といった特別な取り扱いがあります。

特別な取り扱い

事業所得では総収入金額について次のような特別な取り扱いがあります。

棚卸資産の自家消費又は贈与

棚卸資産を自家消費又は贈与した場合は、原則として通常の販売(売買)価額が総収入金額に含まれます。

ただし、仕入価額と販売価額の70%のいずれか大きい方の金額を収入金額として記帳することも認められています。

(例)仕入価額1,500円の食料品を自家消費しました。通常の販売価額は3,000円です。
原則:通常の販売価額3,000円を総収入金額に含めます
特例:通常の販売価額3,000円×70%=2,100円>仕入価額1,500円。原則に代えて、2,100円を収入金額として記帳することも認められます。

棚卸資産の著しく低い価額での譲渡

棚卸資産を著しく低い価額(通常の販売価額の70%未満)で譲渡した場合は、常の販売(売買)価額の70%から実際の販売価額を控除した金額が総収入金額に含まれます。

(例)仕入価額1,500円の食料品を友人に1,500円で販売しました。通常の販売価額は3,000円です。
通常の販売価額3,000円×70%-実際の販売金額1,500円=600円が総収入金額に含まれます。

必要経費

事業所得では次のように必要経費の金額を計算します。

売上原価

売上原価の金額は年初の棚卸資産に仕入れ金額(製造原価)を加算して、年末の棚卸資産を控除して金額になります。

(例)小売店を営んでいますが、棚卸資産が年初に100万円分、年末に80万円分ありました。今年1年間の仕入金額は1,000万円でした。
売上原価=年初棚卸資産100万円+仕入金額1,000万円-年末棚卸資産80万円=1,020万円

その他の必要経費

事業所得の必要経費は、原則として12月31日までに(1)債務が成立している、(2)給付の原因となる事実が発生している、(3)金額を合理的に算出できるという三つの要件を満たしていないといけません。

したがって、未払いであってもこれらの要件を全て満たせばその年の必要経費になる一方で、既に支払い済みであっても要件を満たさなければ(例えば前払金として支払った場合)、その年の必要経費にはなりません。

(例)小売店の店舗が古くなったために修理を申し込みました。見積り金額30万円で修理契約を締結しました。その後、12月31日までに修理が完了しましたが請求書はまだ受け取っていません。
請求書を年末までに受け取っていませんが、必要経費になるための三つの要件を全て満たしていますので、30万円は当年の必要経費になります。

減価償却費や引当金などについては、上記の三つの要件とは別のルールが定められています。

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事業所得の範囲

法令等

この記事は2019年8月31日現在の法令等に基づいて書かれています。