2.2.4 事業所得の計算

農業や漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などの事業による所得は事業所得として所得税が課税されます。今回は事業所得の計算方法を解説します。

事業所得の範囲

事業所得とは農業、漁業、製造業、卸売業、サービス業などの事業による所得のことをいいます。ただし、山林所得や譲渡所得、不動産所得、配当所得、利子所得に該当するものを除きます。

事業所得
具体例
事業の所得(※) 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業

(※)山林所得、譲渡所得、不動産所得、配当所得、利子所得に該当するものを除きます

◆事業所得と他の所得との区別

事業所得の金額

事業所得の金額は1月1日から12月31日までの総収入金額から必要経費を控除して計算します(青色申告者の場合は青色申告特別控除があります)。

総収入金額

収入の時期

事業所得の総収入金額の計算では、次の収入の時期の属する年の収入として計算します。

(例)機器を2019年11月1日から2020年1月31日まで3カ月間賃貸しました。1カ月の賃貸料は5万円です。
2019年の収入:10万円(11月分と12月分)
2020年の収入:5万円(1月分)

ただし、リース譲渡や工事の請負については原則的な取り扱いとは別に「延払基準」や「工事進行基準」によって収入金額を計算する場合もあります。

自家消費、著しく低い価額による譲渡

棚卸資産を自ら消費した場合(自家消費)や著しく低い価額で譲渡した場合には、収入金額の計算について特別な取り扱いが定められています。

棚卸資産の自家消費又は贈与

棚卸資産を自家消費又は贈与した場合は、原則として通常の販売価額が総収入金額に算入されます。ただし、仕入価額と通常の販売価額×70%のいずれか大きい方の金額を収入金額として記帳することも認められています。

(例)仕入価額1,500円の食料品を自家消費しました。通常の販売価額は3,000円です。
原則:通常の販売価額3,000円が収入金額になります。
特例:通常の販売価額3,000円×70%=2,100円>仕入価額1,500円
したがって、2,100円を収入金額として記帳することも認められます。

棚卸資産の著しく低い価額による譲渡

棚卸資産を著しく低い価額(通常の販売価額×70%未満)で譲渡した場合は、通常の販売価額×70%で譲渡したものとして収入金額を計算します。

(例)仕入価額1,500円の食料品を友人に1,500円で販売しました。通常の販売価額は3,000円です。
(1) 通常の販売価額×70% 3,000円×70%=2,100円
(2) 実際の販売価額 1,500円
(1)>(2) したがって2,100円で販売したものとして収入金額を計算します。

必要経費

売上原価

売上原価は年初の棚卸資産に仕入金額(製造原価)を加算した金額から年末の棚卸資産を控除して計算します。

(例)小売店を営んでいますが、棚卸資産が年初に100万円分、年末に80万円分ありました。1年間の仕入金額は1,000万円でした。
売上原価:年初棚卸資産100万円+仕入金額1,000万円ー年末棚卸資産80万円=1,020万円
売上原価の詳しい計算は2.2.4.1 売上原価の計算をご覧ください。

その他の必要経費

売上原価以外の必要経費は、原則として12月31日までに(1)債務が成立している、(2)給付の原因となる事実が発生している、(3)金額を合理的に算出できるという三つの要件を満たすものになります(ただし減価償却費引当金など特別な取り扱いがあるものもあります)。

したがって、12月31現在未払いであっても上記の三つの要件を全て満たせばその年の必要経費になる一方で、既に支払い済みであってもこれらの要件を満たさなければ(前払いで支払ったなど)その年の必要経費にはなりません。

(例)店舗の一部が破損したため見積り金額30万円で修理契約を締結しました。その後、12月31日までに修理が完了しましたが、請求書は年明けに受領する予定です。
請求書を年末までに受け取っていませんが、必要経費になるための三つの要件を全て満たしてるため30万円は当年の必要経費になります。

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法令等

この記事は2020年1月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、この記事は税法学習者に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。

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