2.2.4.3 社会保険診療報酬の概算経費とは?

所得税では医師や歯科医師の社会保険診療報酬について一定の要件を満たす場合には、必要経費の額を実額ではなく概算額とすることが認められています。つまり、必要経費を概算額にする場合は、「社会保険診療報酬の金額ー必要経費の概算額」が社会保険診療報酬に係る所得になります。

制度の概要

医師又は歯科医師で年間の社会保険診療報酬が5,000万円以下、かつ、医業又は歯科医業から生じる事業所得の収入金額が7,000万円以下の場合は、社会保険診療報酬に係る必要経費を実額ではなく「社会保険診療報酬×概算経費率(+〇〇円)」によって計算することが認められています。なお、必要経費について実額と概算経費のどちらを使用するかは納税者(医師又は歯科医師)が選択できます。

(例)社会保険診療報酬が3,000万円ありました(他に収入はありません)。必要経費の実額は1,800万円でしたが、概算経費率で計算した概算経費は2,150万円した。
社会保険診療報酬が5,000万円以下、医業又は歯科医業の事業所得7,000万円以下との条件を満たしていますので、実額と概算経費のいずれかにするか任意に選択できます。概算経費2,150万円>実額1,800万円ですので、概算経費を選択した方が有利です。

概算経費の計算

概算経費は次の概算経費率を使って計算します。

社会保険診療報酬 概算経費率
 2,500万円以下  社会保険診療報酬×72%
 2,500万円超 3,000万円以下  社会保険診療報酬×70% + 50万円
 3,000万円超 4,000万円以下  社会保険診療報酬×62% + 290万円
 4,000万円超 5,000万円以下  社会保険診療報酬×57% + 490万円
(例)社会保険診療報酬が3,000万円ありました(他に収入はありません)。必要経費の実額は1,800万円でしたが、概算経費率で計算した概算経費は2,150万円した。
実額:
1,800万円
概算経費:
社会保険診療報酬3,000万円×70%+50万円=概算経費2,150万円
実額1,800万円<概算経費2,150万円(概算経費の方が税額が少なくなる)
(参考)社会保険診療報酬と自由診療報酬の両方がある場合
社会保険診療報酬と自由診療報酬の両方がある場合には、社会保険診療報酬の必要経費を概算経費にする場合であっても自由診療報酬の経費は実額で計算しないといけません。
このとき例えば診療所の家賃や光熱費など社会保険診療と自由診療の両方にかかった経費については、按分計算によって自由診療部分を算出します。

法令等

この記事は2019年11月30日現在の法令等に基づいて書かれています。また、このサイトは税法を学ぶ方に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。