所得税の計算方法-基礎編

所得税では所得金額の計算から税額計算に至るまでに様々なステップがあるため、慣れていない方にとっては複雑に感じるかもしれません。今回は所得税をどのように計算するかその概要を説明します。

所得税の税額計算の4つのステップ

所得税の税額は次の図のように「①各種所得金額の計算→②課税標準の計算→③課税所得金額の計算→④税額の計算」という4つのステップで計算していきます。

所得税の計算フロー

① 各種所得金額の計算

所得税では給与や事業の利益など、所得を「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、譲渡所得、一時所得、退職所得、山林所得」の10種類に区分して、それぞれの所得ごとに「いくら儲けたのか?」を計算をします。

各種所得金額の計算方法

なぜ「わざわざ所得を10種類に区分して計算するのか?」と言えば、それぞれの所得ごとに儲けの金額を計算する合理的な方法が異なることや、毎年発生する所得と臨時的に発生する所得とで税負担の調整が必要なことなどが理由として挙げられています。

(例)個人事業主として飲食店業を行っていますが、それとは別に役員を勤めている会社から役員報酬を受け取っています。
飲食店業については「事業所得」、役員報酬については「給与所得」としてそれぞれ所得金額を計算します。

② 課税標準の計算

課税標準とは税金を計算するための基礎となる金額のことで、次の図のように、1番目のステップで計算した各種所得の金額のうち譲渡所得(長期)と一時所得の金額に1/2を乗じたのちに、赤字の所得と黒字の所得を損益通算して計算します。

なお、前年から繰り越されている純損失や雑損失がある場合には、課税標準の金額から控除します。

損益通算
「不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得」で発生した損失を他の黒字の所得から控除することをいいます。損益通算の対象はこれら4つの所得に限定されているため、例えば不動産所得の損失を雑所得から控除することはできますが、雑所得の損失を不動産所得から控除することはできません。
課税標準額の計算方法
(例)飲食店業を営んでおり事業所得が▲200万円(損失)でした。この他に役員を勤める会社から役員報酬として給与所得800万円、前年からの繰り越した純損失が100万円あります。
損益通算: 給与所得800万円ー事業所得200万円=600万円
総所得金額: 600万円ー純損失の繰越控除100万円=500万円

③ 課税所得の計算

課税所得の計算では、2番目のステップで計算した課税標準額から配偶者控除や扶養控除、医療費控除、基礎控除などの所得控除を行って課税所得の金額を算出します。

課税所得金額の計算方法

(例)総所得金額が500万円、所得控除が200万円(配偶者控除38万円、扶養控除38万円、社会保険料控除76万円、基礎控除48万円)あります。
課税総所得金額: 総所得金額500万円ー所得控除200万円=300万円

④ 税額の計算

所得税の税額は、3番目のステップで計算した課税所得金額に税率を乗じて計算します。なお、配当控除や外国税額控除などの税額控除がある場合には、算出された税額から控除することができます。

税額の計算方法

(所得税の速算表)

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超 330万円以下 10% 97,500円
330万円超 695万円以下 20% 427,500円
695万円超 900万円以下 23% 636,000円
900万円超 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円
(例)課税総所得金額が300万円でした。税額控除はありません。
所得税額: 課税総所得金額3,000,000円×10%ー97,500円=202,500円

法令等

この記事は2020年4月1日現在の法令等に基づいて書かれています。また、この記事は税法学習者に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。

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