2.1 所得税の計算の全体像

所得税では各種所得の金額の計算から始まって税額計算に至るまでに、様々なステップを踏んで税額を計算するため、慣れていない方にとっては複雑に感じるかもしれません。ここでは所得税をどのように計算するか簡単に説明していきます。

所得税の税額計算の4つのステップ

所得税の税額は、①各種所得金額の計算②課税標準の計算③課税所得金額の計算、そして④税額の計算という4つのステップで計算していきます。

① 各種所得金額の計算

所得税の計算の最初のステップは各種所得金額の計算です。所得税では、例えば会社員が受け取る給与と個人事業主の利益とでは別の種類の所得だと考えていて、種類の異なる所得をそれぞれ別々の方法で計算することになっています。

所得の種類には、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、譲渡所得、一時所得、退職所得、山林所得の10種類があります。

所得の区分ごとに計算方法が違うのは、それぞれの所得ごとに合理的と考えられる計算方法が異なることや、毎年発生する所得と臨時的に発生する所得との間で税負担の調整をする必要があるなどの理由があります。

(例)個人事業主として飲食店業を行っていますが、それとは別に役員を勤めている会社から役員報酬を受け取っています。
飲食店事業については事業所得、役員報酬については給与所得としてそれぞれ別々に所得の金額を計算します。

②課税標準の計算

2番目のステップは課税標準の計算をします。課税標準とは税金計算の基礎となる金額のことで、所得税では総所得金額、退職所得金額、山林所得金額などのことをいいます。

課税標準は1番目のステップで計算した各種所得の金額のうち赤字のものと黒字のものを損益通算したのち、前年から繰り越されている純損失や雑損失がある場合には控除して計算します(一時所得や長期の譲渡所得については所得金額を2分の1にします)

損益通算
不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得で発生した損失を他の各種所得金額から控除することです。したがって、例えば不動産所得の損失を雑所得から控除することはできますが、雑所得の損失を不動産所得から控除することはできません。
(例)飲食店業の事業所得が200万円の損失、役員報酬の給与所得が800万円でした。前年から繰り越している純損失が100万円あります。
・損益通算
 給与所得800万円-事業所得200万円=600万円
・純損失の繰越控除 600万円-前年から繰り越していた純損失100万円=500万円
この結果、総所得金額500万円が計算されます。

③課税所得金額の計算

3番目のステップは課税所得金額の計算です。ここでは2番目のステップで計算した課税標準額から配偶者控除や扶養控除、基礎控除などの所得控除を行って課税所得金額を計算します。

(例)総所得金額が500万円ですが、所得控除として配偶者控除38万円、扶養控除38万円、社会保険料控除86万円、基礎控除38万円の合計200万円があります。
総所得金額500万円-所得控除200万円=課税総所得金額300万円と計算します。

④税額の計算

所得税計算の最後のステップです。ここでは3番目のステップで計算した課税所得金額に税率を掛けて所得税額を計算します。税額控除がある場合には所得税額から控除します。

(所得税の速算表)

例えば、課税所得金額が1,000万円の場合は1,000万円×33%-153.6万円=176.4万円と所得税額を計算します

(例)課税総所得金額が300万円でした。税額控除はありません。
課税総所得金額3,000,000円×10%-97,500円=所得税額202,500円と計算します

法令等

この記事は2019年7月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、記事の内容は税法の一般的な取り扱いについての解説ですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。