1.7 青色申告とは

適切な申告と納税を行うためには、帳簿書類を備え付けて、それに基づいて所得金額と税額を計算する必要がありますが、所得税では帳簿書類の備え付けを促進するために、一定の要件を満たした帳簿を備え付けている納税者が税務署長の承認を得た場合には、税務上の特典を与えることにしています。

このように、帳簿書類を備え付けて税務署長の承認を得て行う申告を青色申告といい、青色申告以外の申告を白色申告といいます。

青色申告の特典

青色申告には様々な特典が用意されていますが、主な特典には次のようなものがあります。

青色申告特別控除

青色申告者は所得金額から最高で65万円を控除することができます。所得金額が65万円少なくなるということは所得税額も少なくなるというわけです。ただし特別控除できる金額は、特別控除前の所得金額を限度とします(別の言い方をすると所得金額が0円になるまでしか控除できません)

(例)青色申告者のAさんは2019年に売上1,000万円、必要経費が950万円ありました。要件を満たしているので青色申告特別控除65万円の適用があります。
① 特別控除前の所得金額:売上1,000万円ー必要経費950万円=50万円
② 特別控除額:65万円>50万円(①の金額) したがって50万円
③ 所得金額:売上1,000万円ー必要経費950万円ー特別控除額50万円=0円

青色事業専従者給与

青色申告者と同一生計の親族(15歳以上)が、その青色申告者の事業に専従する場合には、青色申告者は専従者に支給する給与を必要経費にすることができます。ただし、専従者に支給する給与が高額すぎる場合は適正と認められる金額までしか必要経費にできません。

(例)青色申告者のAさんは妻に毎月20万円の給与を支給しています。妻の経験や技能、資格から考えて20万円は適正な金額の範囲内です。
妻に支給する20万円を太郎さんの必要経費にすることができます。ただし妻には受け取った給与に対する所得税が課税されます。

現金主義

青色申告者の前々年の不動産所得と事業所得の合計が300万円以下の場合は、現金主義によって所得の計算をすることができます。

現金主義とは
現金主義とは現金の支出と収入があったときに費用と収益を認識する経理の方法です。
(例)青色申告者のBさんは要件を満たしているので現金主義で所得の計算をしています。2018年12月に販売した商品の代金を2019年1月に受け取りました。
商品を販売したとき(2018年)ではなく、代金を受け取った(2019年)の売上として所得金額をします。

純損失の繰越控除と繰戻還付

青色申告者に純損失がある場合には、純損失を翌年以降3年間繰り越すことができます。または純損失を翌年以降に繰り越さずに、前年の納付した所得税から還付を受けることもできます。

純損失とは
純損失とは事業所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得の計算上発生した損失で、他の所得と通算しきれずに残った損失をいいます。
(例)青色申告者のCさんは2018年の純損失500万円を繰り越していました。2019年は事業所得700万円ありました。
純損失500万円を2019年に繰り越していますので、2019年の事業所得700万円から500万円を控除することができます。

更正の制限と推計課税

青色申告書には帳簿書類の調査に基かない更正や、推計による更正や決定をすることができません

(例)白色申告者のDさんは居酒屋を営んでいますが、Dさんの財産や債務の状況、ビールの仕入数量、店員の人数などから考えて申告した以上の所得があると推計されます。
Dさんは白色申告者ですので、税務署長はDさんの帳簿書類の調査をせずに、財産や債務の状況などから推計して所得税の更正をすることができます。

引当金

青色申告者は貸倒引当金や退職給付引当金などを必要経費にすることができます。

(例)青色申告者のEさんは2019年末に貸倒引当金が100万円ありましたが、貸倒引当金の限度額を計算したところ120万円でした。
限度額120万円と12月末の貸倒引当金100万円の差額20万円を必要経費にすることができます。

棚卸資産の低価法

青色申告者は低価法によって棚卸資産の評価をすることができます。
(例)青色申告者のFさんは棚卸資産を最終仕入原価法の低価法で評価しています。12月末に商品Xの在庫が1,000個、最後に仕入れた時の単価は100円でしたが、時価は80円まで下落しています。
最終仕入原価法の評価額は1,000個×100円(最後に仕入れた時の単価)=10万円ですが、低下法の評価額は1,000個×80円(時価)=8万円ですので、8万円を期末棚卸資産の評価額とすることができます(差額の2万円は評価損として必要経費になります)

特別償却と特別税額控除

青色申告者が一定の要件を満たす場合には、特別償却特別控除の適用があります。
(例)青色申告者のGさんは食品加工用の機械を購入しました。特別控除の要件を満たしています。
特別控除の要件を満たしているので特別控除額を所得税から控除することができます。

青色申告を行うための要件

青色申告は誰でも行うことができるわけではなく、次の3つの要件を満たす場合に限って行うことができます。

・不動産所得事業所得または山林所得があること
・税務署長に青色申告承認申請書を提出して承認されていること
・法定の帳簿を備え付けて取引を記録し、その帳簿を保存していること

青色申告の承認手続き等

青色申告を開始する場合

青色申告の適用を受けるためには、適用開始する年の3月15日まで(1月16日以降に業務を開始した場合は、業務開始から2カ月以内)に青色申告承認申請書を税務署長に提出しないといけません。

税務署長は青色申告承認申請書の承認又は却下をしますが、12月末まで(11月以降に業務開始している場合は翌年2月15日まで)に承認や却下がない場合は、承認があったものとみなされます。

承認が取り消される場合

帳簿書類の備付け、記録、保存が法令の要件に従っていなかったなどの事実があった場合には、その事実があった年に遡って青色申告の承認が取り消されます

青色申告をやめる場合

青色申告者が青色申告をやめる場合には、青色申告をやめようとする年の翌年3月15日までに税務署長に青色申告の取りやめの届出書を提出しないといけません。

帳簿書類の保存

青色申告者は帳簿(原則として複式簿記)と書類を7年間保存しないといけません。ただし。現金取引等関係書類以外の書類は5年間の保存で構いません。

青色申告書の添付書類

青色申告書には貸借対照表や損益計算書など、財務省令に定められた書類を添付しないといけません。財務省令に定められた添付書類は次のとおりです。

法令等

この記事は2019年7月31日現在の法令等に基づいて書かれています。