1.4 実質所得者課税の原則

個人が資産や事業から得た収益には所得税が課税されますが、例えば法律上これらの収益を得たとされる人が単なる名義人である場合、所得税は誰に対して課税されるのでしょうか?

実質所得者課税の原則

資産や事業の収益を得たとされる人が単なる法律上の名義人であって、実質的にはその名義人以外の人が収益を得ているということもあると思います。そのような場合、所得では法律上の名義人ではなく実質的に収益を得ている人に対して課税することになっています。これを実質所得者課税の原則といいます。

資産から生じる収益

土地や建物などといった不動産の賃料や、株式の配当、公社債の利息などのように所有する資産から生じる収益は、原則として資産の真実の所有者に対して所得税が課税されます。

ただし、資産の真実の所有者が誰であるか明らかでない場合には、資産の名義人に対して所得税が課税されます。

(例)Aさんは親戚のBさんから譲り受けた事務所用の建物を第三者に賃貸しています。親戚から譲り受けたものなので不動産登記手続きはそのうちやれば良いと思っており、まだ登記が完了していません。
事務所用建物の登記簿上の所有者は親戚のままですが、実質的には既にAさんが譲り受けているため真実の所有者はAさんになります。したがって、賃貸収益の所得税はAさんに課税されます。

事業から生じる収益

事業から生じる収益は、事業用資産の所有者や事業の免許を受けている名義人といった形式的なものにとらわれずに、実質的にその事業を経営していると認められる人(「事業主」といいます)に対して課税されます。

(例)同一生計の父と息子で旅館の経営をしています。息子はまだまだ経験が足りないため、経営方針の最終的な決定は父が下しています。
父が経営方針の最終決定をしているということですので、旅館の経営者は父であると推定されます。

法令等

この記事は2019年7月31日現在の法令等に基づいて書かれています。