所得税の納税義務者と課税される所得の範囲

所得税は個人の利益に対して課税される税金ですが、「日本人が海外で稼いだ場合」や「外国人が日本で報酬を受け取った場合」にも課税されるのでしょうか?

どのような所得に対して所得税が課税されるのか、所得税の納税義務者と課税される所得の範囲について解説したいと思います。

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納税義務者の区分

所得税の納税義務者は原則として個人ですが、同じ個人であっても「永住者、非永住者、非居住者」の違いによって課税される範囲が異なるため、まずはどの納税義務者の区分に該当するかを判定しなければなりません。

また、法人には法人税が課税されるため、原則として所得税は課税されませんが、利子や配当など源泉徴収の対象になるものを受け取った場合には、法人であっても所得税が源泉徴収されます。

住所、居所
住所とは個人の生活の本拠をいい、居所とは生活の本拠ではないものの相当期間継続して居住する場所をいいます。

課税される所得の範囲

所得税の納税義務者である個人は「永住者、非永住者、非居住者」の3種類に区分され、所得税が課税される範囲はそれぞれ次のように定められています。

永住者

永住者が課税される所得の範囲

永住者は日本国内で稼いだか海外で稼いだかに関わらず全世界で稼いだ全ての所得に対して所得税が課税されます。

国内源泉所得と国外源泉所得

区分 内容
国内源泉所得 国内で稼いだ所得のことで次のようなものが該当します。
(1)国内の事務所や工場などに帰属する所得
(2)国内にある資産の運用や保有、譲渡による所得
(3)国内で行う人的役務の提供
国外源泉所得 国外で稼いだ所得のことで次のようなものが該当します。
(1)国外の事業所や工場などに帰属する所得
(2)国外にある資産の運用や保有、譲渡による所得
(3)国外で行う人的役務の提供
(例)10年前から日本国内に生活の本拠を有する米国人のマイケルさんは、海外での講演会にゲストスピーカーとして招かれて報酬を得ました。
マイケルさんは永住者ですので全世界で稼いだ全ての所得に対して所得税が課税されます。したがって、海外で開催された講演会の報酬についても所得税が課税されます。
(※)日本と海外での二重課税を回避するために租税条約や外国税額控除の適用を受けられる場合もあります。

非永住者

非永住者は、国外源泉所得で国外で支払われるもの以外の所得対して所得税が課税されます。したがって、国外で稼いだ所得で日本国内で支払いを受けていない、かつ、日本国内に送金していないものについては所得税が課税されません。

非永住者が課税される所得の範囲

(例)中国企業に勤務する王さんは3年間の予定で東京の子会社に赴任している非永住者ですが、上海にある自宅を賃貸して日本の銀行口座で賃料を受け取っています。
上海にある自宅の賃料収入は国外源泉所得ですが、日本国内で受け取っているため所得税が課税されます。

非居住者

非居住者は、国内源泉所得のみに対して所得税が課税されます。

非居住者が課税される所得の範囲

(例)海外在住のポールさんは東京で開催されたコンサートの出演料を海外の銀行口座で受け取りました。
東京で開催されたコンサートの出演料は国内源泉所得になりますので、非居住者であっても所得税が課税されます。
(※)自国と日本との二重課税を回避するために、租税条約によって日本で所得税が課税されない場合もあります。

課税方式

居住者(永住者と非永住者)に対する所得税は総合課税(確定申告)によって課税されますが、非居住者は原則として源泉分離課税(源泉徴収)によって課税されます。

ただし、非居住者であっても国内に事務所等の恒久的施設を保有しているなど、一定の要件を満たす場合には、総合課税によって所得税が課税されることがあります。

課税方式の判定フローチャート

法令等

この記事は2020年4月1日現在の法令等に基づいて書かれています。また、この記事は税法学習者に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。

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