1.1 所得税の納税義務者

所得税は個人の利益に対して課税される税金ですが、住居が国内にあるかどうか等によって課税される所得の範囲が異なります。また、一定の場合には法人にも所得税が課税される場合があります。

納税義務者の区分

所得税の納税義務者は原則として個人ですが、個人であっても居住者と非居住者の違いによって課税される所得の範囲が異なります。また、法人には法人税が課税されるため原則として所得税は課税されませんが、利子や配当など源泉徴収の対象になるものを受け取る場合には所得税を納める義務があります。

所得税の納税義務者は次のように区分することができ、それぞれ課税されす所得の範囲が異なります。
個人:永住者、非永住者、非居住者
法人:内国法人、外国法人

住所と居所の違い
住所とは個人の生活の本拠をいいます。一方で居所とは生活の本拠ではないものの相当期間継続して居住する場所をいいます。

課税される所得の範囲

所得税の納税義務者である個人は、永住者と非永住者、非居住者の3種類に区分されますが、所得税が課税される所得の範囲はそれぞれ次のように決められています。

永住者

永住者は日本国内に関わらず全世界で稼いだ全ての所得に対して所得税が課税されます。したがって、永住者の場合は外国で稼いだ所得であっても、日本で所得税を課税されます。

国内源泉所得…国内で稼いだ所得のことで例えば次のようなもをいいます
(1)国内の事務所や工場などに帰属する所得
(2)国内にある資産の運用や保有、譲渡による所得
(3)国内で行う人的役務の提供
国外源泉所得…国内で稼いだ所得のことで例えば次のようなもをいいます
(1)国外の事業所や工場などに帰属する所得
(2)国外にある資産の運用や保有、譲渡による所得
(3)国外で行う人的役務の提供
(例)5年前から日本国内に生活の本拠を有する米国人のマイケルさんは、海外での講演会にゲストスピーカーとして招かれて報酬を得ました。
マイケルさんは永住者ですので、海外で行った講演会の報酬についても日本で所得税が課税されます。
(※)このような場合、日本と海外で二重に税金が課税されるのを避けるために租税条約や外国税額控除の適用を受けられる場合があります。

非永住者

非永住者は国外源泉所得のうち国外で支払われるもの以外の全ての所得対して所得税が課税されます。したがって、国外で稼いだ所得で、日本国内で支払いを受けていない、かつ、日本国内に送金していない場合には所得税が課税されません。

(例)中国企業に勤務する王さんは3年間の予定で東京の子会社に赴任している非永住者ですが、上海にある自宅を賃貸して日本の銀行口座で賃料を受け取っています。
王さんは非永住者です。そのため賃料は国外源泉所得ですが、日本国内で受け取っていますので所得税が課税されます。

非居住者

非居住者は国内源泉所得のみに対して所得税が課税されます。

(例)海外在住のポールさんは東京で開催されたコンサートの出演料を海外の銀行口座で受け取りました。
ポールさんは非居住者ですが東京で行ったコンサートは国内源泉所得になりますので、所得税が課税されます。
(※)ただし自国と日本で税金が二重に課税されることを避けるため租税条約によって日本で所得税が課税されない場合もあります。

課税方式

居住者(永住者と非永住者)に対する所得税は総合課税(確定申告)によって課税されますが、非居住者には原則として源泉分離課税(源泉徴収)によって課税されます。

ただし、非居住者であっても国内に事務所などの恒久的施設を保有しているなどの場合には、総合課税によって所得税が課税されることがあります。

法令等

この記事は2019年6月30日現在の法令等に基づいて書かれています。また、記事の内容は税法の一般的な取り扱いについての解説ですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。