消費税における税額控除の種類と概要

事業者が納付する消費税の額は、課税標準に対する消費税額から各種税額控除をした金額として計算されます。税額控除には同一の物品やサービスに繰り返し消費税が課税されることを避けるためや売上の返還を調整するためなどの理由があります。

税額控除の種類

税額控除には「仕入税額控除」「売上対価の返還等の税額控除」「特定課税仕入の返還等の税額控除」「貸倒れの税額控除」の4種類があり、課税標準に対する消費税額から控除して事業者が納付する消費税額を計算します。

仕入税額控除

事業者が国内で課税仕入や課税貨物を保税地域から引き取った場合には、納付する消費税額から課税仕入や課税貨物を引き取った時に支払った消費税額を控除することができます。これを仕入税額控除といいます。

・仕入税額控除と納付税額計算のイメージ(全額仕入税額控除可能な場合)
各事業者が納付する消費税額は課税標準額に対する消費税(受取消費税)から支払消費税を控除した金額になります。その結果、各事業者が納付する消費税額の合計は消費者が負担した金額(1,000円)と一致します。

事業者 消費税の納税額
生産者 600円(受取消費税600円)
卸売業者 200円(受取消費税800円-支払消費税600円)
小売業者 200円(受取消費税1,000円-支払消費税800円)
1,000円(消費者が払った金額と一致する)

ただし、各課税期間の課税売上高(課税期間が1年未満の場合は1年に換算)が5億円超の場合や課税売上割合(売上全体のうちに課税売上と免税売上が占める割合)が95%未満の場合には支払消費税の全額を控除することはできず一定の方法によって計算した金額を控除します。

また、一定の条件を満たす中小事業者は簡便な方法(簡易課税)で仕入税額控除の計算をすることも認められています。

売上対価の返還等の税額控除

事業者が国内で課税資産の譲渡や貸付け、役務の提供を行った場合には消費税が課税されますが、その後に返品や値引き、割戻しによって売上の返還等が発生することもあります。

このような場合には、その返還等に係る消費税額を返還等があった課税期間の納付税額から控除することができます。

(例)電気屋を営む個人事業主ですが、X1年に販売した商品10万円(税抜き)がX2年に返品されました。

課税期間 取り扱い
 X1年 売上10万円に対する消費税を納付
X2年 返品10万円に対する消費税を納付税額から控除

特定課税仕入の返還等の税額控除

事業者が国内で特定課税仕入れを行った場合には消費税が課税されますが、特定課税仕入を行った後に値引きや割戻しによって、特定課税仕入の対価の返還等が発生することもあります。このような場合には、その返還等に係る消費税額を納付税額から控除できます。

(例)前課税期間に米国企業にインターネットサービスの対価を払いましたが、トラブルにより当課税期間に全額を返金されました(課税売上割合95%未満、本則課税の場合)。
海外の事業者からインターネット等を通じて行われる役務の提供は特定課税仕入になります。前課税期間に納付した消費税については、返金を受けた当課税期間の納付税額から控除することができます。

貸倒れの税額控除

事業者が国内で課税資産の譲渡や貸付け、役務の提供を行った場合には消費税が課税されますが、その後に売掛債権等が貸倒れた場合には、貸倒れた部分に対する消費税額を貸倒れた課税期間の納付税額から控除できます。

法令等

この記事は2020年4月1日現在の法令等に基づいて書かれています。また、この記事は税法学習者に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。

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