2.5.2 消費税の税率

消費税の税率は地方消費税と合わせて8%(2019年4月現在)ですが、2019年10月には10%に引き上げられる予定です。税率の引き上げ後も飲食料品や新聞には引き続き8%の軽減税率が適用されますが、軽減税率が適用される飲食料品や新聞の範囲を正確に把握するのは意外と難しいです。

消費税の税率

一般的に消費税の税率は8%(2019年4月現在)と言われていますが、正確には消費税(国税)と地方消費税(地方税)あわせて8%の税率になっています。また、2019年10月1日以降は軽減税率が適用されるものを除いて、税率が10%に引き上げられる予定です。

また、2019年9月30日に出荷して顧客が2019年10月1日に検収した場合、新旧どちらの税率が適用されるか迷うところですが、例えば売主が出荷基準(出荷日に売上を認識する方法)によって売上を認識している場合は、出荷時の税率が適用されます。

(例)X社は商品である機械装置を2019年9月30日に出荷し、得意先のY社は2019年10月1日に検収しました。なお、X社は出荷基準によって売上を認識、Y社は検収基準によって仕入を認識しています。
X社は出荷基準を採用しているので出荷時の税率8%が適用されます。

軽減税率制度

2019年10月1日から消費税の税率は10.0%(国税7.8%、地方税2.2%)に引き上げられる予定ですが、消費税は収入に関係なく全ての人に同じ税率が適用されるため、収入が少ない人の税負担に配慮しないといけません。

そこで、税率が10%に引き上げられるのを機に、食料品と新聞の税率を8.0%(国税6.24%、地方税1.76%)とする軽減税率制度が導入される予定です。

飲食料品

軽減税率制度の対象になる飲食料品は、食品表示法に規定する食品(酒類を除く)をいいます。したがって、レストランや食堂などでの外食は軽減税率の対象外とされ10%の税率が適用されます。

一体資産とは?
一体資産とはおもちゃ付のお菓子や、コーヒーとカップとが一緒になっているギフトセットなどのように飲食料品とそれ以外の商品が一体で販売されているものをいいます。
税抜価額が1万円以下で、そのうち飲食料品の占める割合として合理的に計算された金額が3分の2以上のものは、軽減税率の8.0%が適用されます。

具体例

新聞

飲食料品の他に新聞にも軽減税率が適用されますが、軽減税率が適用される新聞は次の全ての要件を満たすものに限ります。

・一定の名称を用いて政治・経済・社会・文化等に関する一般社会的事実を記載する新聞
週に2回以上発行する新聞
定期購読契約されている新聞

したがって、スポーツ新聞や業界新聞、英字新聞などであっても、週に2回以上発行されているものを定期購読している場合は軽減税率が適用されます。

(例)政治や経済について記載されている日刊新聞をコンビニで購入した場合
定期購読されていないので10%の税率が適用されます。

経過措置(税率変更をまたぐ契約など)

消費税の引き上げ後に資産の譲渡等が行われる場合でも、一定のものについては経過措置が設けられていて、引き続き旧税率8%(国税6.3%、地方税1.7%)が適用されます。経過措置のうち主なものを紹介します。

旅客運賃、映画や演劇の入場料等

2019年10月1日以降の旅客運送、映画や演劇、競馬場、競輪場、美術館、遊園地等の入場料のうち、2014年4月1日から2019年9月30日までに料金が受領されているもの。

(例)2019年10月1日に乗車する新幹線の乗車券を2019年9月30日に購入した場合
2019年9月30日までに乗車券を購入しているため消費税の税率は旧税率8%になります。

電気、ガス、水道、電話等の料金

電気、ガス、水道、電話等の料金で2019年9月30日以前から継続的に供給が始まり、2019年10月1日以降に支払いを受ける権利が確定するもの。

(例)ガス会社が2019年10月15日に検針を行い、2019年9月16日から2019年10月15日までの使用料を請求する場合
2019年9月16日から2019年10月15日までの全てについて旧税率8%が適用されます。

工事の請負等

工事の請負契約等(一定の測量、地質調査、工事施工の調査、企画、立案、監理、設計、映画の制作、ソフトウエア開発を含みます)で、2013年10月1日(8%指定日)から2019年3月31日(10%指定日の前日)までに締結され、2019年10月1日以降に引き渡されるもの。

工事の契約が2019年3月31日までに締結されていれば、工事の着手が2019年10月1日以降であっても8%の税率が適用されます。

(例)工事の請負契約を2019年4月15日に締結し、2019年11月1日に着手、2020年3月15日に引き渡します。
2019年4月30日までに工事の請負契約が締結されているので旧税率8%が適用されます。

資産の貸付け

資産の貸付契約で2013年10月1日から2019年3月31日までに締結され、2019年10月1日の税率変更をまたいで引き続き貸付けされているもの。

(例)事務所建物の賃貸借契約を2019年3月15日に締結しました。賃貸借期間は2019年4月1日から2020年3月31日までの1年間です。
2019年3月31日までにリース契約が締結されていて、2019年10月1日の税率を変更をまたいで貸付けされているので2019年10月1日以降の期間も旧税率8%が適用されます。

経過措置が適用されている資産の貸付契約が2019年10月1日以降に自動継続された場合、自動継続後は新たな契約の締結があったと考えて10%の税率が適用されます。

冠婚葬祭のための役務の提供

契約の性質上事前に時期を確定できない冠婚葬祭のための役務の提供で、2013年10月1日から2019年3月31日までに契約が締結されるもののうち、事前に対価の全部又は一部が分割して支払われていて、2019年10月1日以降に施設の提供等が行われるもの。

(例)冠婚葬祭のサービスのために2019年3月15日に冠婚葬祭互助会の契約を締結し、毎月掛け金を支払っています。
2019年3月31日までに契約が締結されているため旧税率8%が適用されます。

リース譲渡

2014年4月1日から2019年9月30日までに行ったリース譲渡について延払基準を適用している場合で、2019年10月1日以降に支払期日が到来する賦払金。

(例)2019年9月15日に機械をリース譲渡しました。延払基準によって法人税を計算しています。リース期間は5年間です。
2019年9月30日以前に行ったリース譲渡ですので、2019年10月1日以降に支払期日が到来する賦払金についても旧税率8%が適用されます。

工事進行基準

2019年4月1日から2019年9月30日までに契約された工事進行基準が適用されている工事で、2019年10月1日以降に引き渡されるもののうち、2019年9月30日までに工事進行基準で収益が認識される部分。

(例)2019年6月1日に工事の請負契約を締結しました(2020年5月引き渡し予定)。工事代金は20億円、工事原価の見積総額は15億円、2019年9月30日現在6億円の原価がかかっています。この工事について工事進行基準で法人税の計算をしています。
工事代金20億円×(9月30現在の原価6億円/工事原価総額15億円)=8億円については旧税率8%が適用されます。

定期購読される書籍等

不特定多数の方に定期購読される書籍等の定期購読契約で2019年3月31日までに締結され、2019年9月30日までに代金を受領しているもの(軽減税率が適用される場合を除く)

(例)2019年3月15日に雑誌の購読契約を締結し、4月10日に代金を領収しました。雑誌は2019年4月から2020年3月まで1年間、毎月一回配達されます。
2019年3月31日までに契約を締結、2019年9月30日までに代金を受領しているので、2019年10月以降分についても旧税率8%が適用されます。

特定新聞

不特定多数の方に定期的(毎週〇曜日、毎月〇日など)に販売される新聞のうち発行者が指定する発売日が2019年9月30日以前で、実際の販売が2019年10月1日以降のもの(軽減税率が適用される場合を除く)

(例)2019年9月30日発売の新聞(毎週月曜日に発売)を2019年10月1日に販売しました。
2019年9月30日以前が発売日のため旧税率8%が適用されます。

通信販売

2019年3月31日までに販売条件を提示(または提示する準備を完了)した通信販売で、2019年9月30日までに申し込みを受けて2019年10月1日以降に販売するもの(軽減税率が適用される場合を除く)

(例)2019年3月1日に通信販売を開始した商品について2019年9月30日に申し込みを受けました。出荷したのは2019年10月5日でした。
2019年3月31日までに条件を提示し、2019年9月30日までに申し込みを受けているので旧税率8%が適用されます。

有料老人ホーム

2014年4月1日から2019年3月31日までに契約が締結された有料老人ホームの終身入居契約(入居中の介護サービスの料金を入居時に一時金として支払われ、事業者が金額の変更を求めることができないも)で、2019年10月1日の税率変更をまたいで引き続き提供される介護サービス。

(例)2019年3月1日に有料老人ホームの終身入居契約を締結して一時金を支払いました。2019年4月1日から引き続き入居しています。
2019年3月31日以前に契約が締結、2019年9月30日以前に入居しているので、一時金については旧税率8%が適用されます。

家電リサイクル法による再商品化等

家電リサイクル法に規定する製造業者等が、再商品化等の代金を2019年9月30日までに受領して、2019年10月1日以降に再商品化等した場合。

(例)製造業者Aは家電リサイクル法に基づいて2019年9月15日に再商品化の代金を受領しました。実際に再商品化されたのは2019年10月15日です。
2019年9月30日までに受領されているので、変更前の税率8%が適用されます。

法令等

この記事は2019年5月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、記事の内容は税法の一般的な取り扱いについての解説ですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。