2.5.1 消費税の課税標準

課税標準とは税額計算の基礎になる金額や数量のことをいい、税額は課税標準に税率を乗じて計算されます。消費税の場合は、課税標準に税率を乗じた金額から仕入税額控除等をして納付税額を計算するため、課税標準の計算は納付税額計算の第一歩になります。

課税標準

消費税は課税資産の譲渡等(課税資産の譲渡及び貸付け、役務の提供)と特定課税仕入に対して課税されるため、課税標準も課税資産の譲渡等の課税標準と特定課税仕入の課税標準の二種類があります。

課税標準 課税資産の譲渡等の課税標準
特定課税仕入の課税標準

課税資産の譲渡等の課税標準

原則

課税資産の譲渡等をした場合の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額です。したがって、例えば課税資産を10万円で販売した場合、販売額の10万円に対して消費税が課税されます。

・消費税や個別消費税の取り扱い

消費税の課税標準は資産の譲渡等の対価ですが、消費税や地方消費税の額は含みませんので税抜金額になります。

(例)酒屋を経営している個人事業者ですが、2019年に酒(課税資産)を税込3,300万円販売しました(税率は10%とします)
消費税の課税標準は税抜金額ですので次のように計算します。
課税標準:3,300万円×100/110=3,000万円

ただし、個別消費税のうち酒税、たばこ税、揮発油税、石油石炭税、石油ガス税等は課税資産の譲渡等の対価の額に含まれます。

(例1)酒屋でビール1ケースを5,000円(税抜き)で販売しました。
5,000円の中には酒税分も含まれていますが、酒税分を含めた販売価額5,000円に対して消費税が課税されます。
(例2)温泉施設の利用者から、施設利用料として1万円(税抜き)、入湯税として100円を受領しました。
請求書や領収証等で入湯税の金額を明らかにしている場合は、入湯税は課税資産の譲渡等の対価に含まれず、施設利用料1万円に対してのみ消費税が課税されます。

・課税資産と非課税資産を同時に譲渡する場合

課税資産と非課税資産を同じ相手に同時に譲渡する場合は、合理的な方法で課税資産の譲渡対価と非課税資産の譲渡対価を区分します。合理的な方法で区分されていない場合は、譲渡時の時価によって課税資産と非課税資産の譲渡対価を区分します。

(例)建物(課税資産)とその敷地(非課税資産)を1億円(税抜き)で譲渡しましたが、譲渡対価を契約等で建物と敷地に分けていません。譲渡時の時価は建物が3,000万円、土地が7,000万円でした。
譲渡対価が建物と敷地に区分されていないので譲渡時の時価によって区分します。

区分 譲渡対価
建物 1億円×(建物の時価3,000万円/建物と土地の時価1億円)=3,000万円
敷地 1億円×(敷地の時価7,000万円/建物と土地の時価1億円)=7,000万円
合計 1億円

・源泉所得税がある場合

弁護士や税理士の報酬等のように所得税が源泉徴収される場合は、源泉徴収される前の額面金額が課税標準になります。

(例)弁護士報酬として10万円(税抜き)を受領しました。クライアントが1万円を源泉徴収するため、実際に受領した金額は9万円です。
課税資産の譲渡等の対価の額は源泉徴収前の10万円です。したがって10万円に対して消費税が課税されます。

・対価の額が確定していない場合

資産の譲渡や貸付け、役務の提供を行ったものの、課税期間の末日までに対価の額が決まっていない場合は、課税期間末日の現況に基づいて適正に見積もった価額を課税資産の譲渡等の対価の額として消費税が課税されます。

なお、後日対価の額が確定し、確定した対価の額が見積った金額と異なる場合は、対価の額が確定した日の属する課税期間に差額を調整します。

(例)工場の保守を請け負っていますが、課税期間の末日現在、価額交渉で折り合いがついていません。課税期間末日の現況により月額300万円(税抜き)で折り合いがつくと見積もっています。
課税期間末日の現況で見積もった月額300万円が課税資産の譲渡等の対価の額になります。

特例

消費税の課税標準は原則として課税資産の譲渡等の対価の額ですので、商品を10万円で販売した場合は販売価額10万円に対して消費税が課税されますが、次のような場合には特例が設けられています。

課税標準の特例
(役員への低廉譲渡)
法人が役員に対して低額(概ね時価の50%未満)で資産を譲渡した場合
(役員への贈与)
法人が役員に資産を贈与した場合
(個人事業主の家事消費)
個人事業者が資産を家事消費した場合

(例)10万円で購入したばかりの新品のPCを社長に2万円で譲渡しました。
役員に対する低額譲渡ですので、課税資産の譲渡等の対価は時価の10万円になります。

特定課税仕入の課税標準

特定課税仕入をした場合の課税標準は特定課税仕入の支払対価の額です。

特定課税仕入とは

法令等

この記事は2019年10月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、記事の内容は税法の一般的な取り扱いについての解説ですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。