2.4.2 資産の譲渡等の時期(特例)

リース取引や工事などの中には一般的な取引と同様に資産の引き渡し時などの時に消費税を課税することが適切ではないものがあります。したがって、そのような取引については消費税が課税される時期について特別な取り扱いが設けられています。

資産の譲渡等の時期(特例)

消費税は原則として資産の譲渡や貸付け、役務の提供をした日の属する課税期間に課税されます。したがって、資産の譲渡や貸付けであれば原則として資産を引き渡した日、役務の提供であれば役務の提供が完了した日の属する課税期間に課税されることになります。

ただし、取引の中には資産の引き渡しや役務の提供が完了した日の属する課税期間に消費税を課税することが適切ではないものもあるため、消費税法では一定の取引については、資産の譲渡等をした時期について特別な取り扱いを設けています。

原則的な取り扱いの詳しい説明については2.4.1 資産の譲渡等の時期をご覧ください。

延払基準が適用されるリース取引

賃貸人の取り扱い

所得税や法人税ではリース取引は、原則として賃貸人から賃借人にリース資産を譲渡したとして取り扱うため、消費税でも原則として賃借人にリース資産を引き渡した時に、リース資産を譲渡したものとして課税されます(例:リース期間が5年間であったとしても、引き渡した時に5年間のリース料総額に対して一度に消費税が課税されます)。

所得税や消費税のリース取引とは?
資産の賃貸借のうち(1)と(2)の両方の条件を満たすものをいいます(一部例外あり)

条件 内容
(1) 中途解約不能 リース契約の中途解約ができないもの(中途解約する場合には未経過リース料の90%以上を支払う必要がある)
(2) フルペイアウト 賃借人がリース資産の経済的な利益を実質的に享受することができて、リース料総額>リース資産の通常の取得価額×90%
ただし、所得税や法人税で延払基準を適用している場合は、消費税でも延払基準が適用されるので、リース資産の引き渡した時の一時ではなく、リース期間に応じて少しずつ消費税が課税されることになります。
(例:原則)A社はリース期間60カ月、リース料月額25万円(税抜き)、総額1,500万円(税抜き)で機械をリースにより賃貸しました。機械の仕入価額は1,200万円、リース料は元本と利息に区分されていません。
・リース資産の仕入

借方 貸方
勘定 金額 勘定 金額
リース投資資産 1,200万円 買掛金 1,320万円
仮払消費税 120万円    

・リース取引開始

借方 貸方
勘定 金額 勘定 金額
売掛金 1,650万円 売上 1,500万円
 仮受消費税 150万円 
売上原価 1,200万円 リース投資資産 1,200万円
(例:延払基準)A社はリース期間60カ月、リース料月額25万円(税抜き)、総額1,500万円(税抜き)で機械をリースにより賃貸しました。機械の仕入価額は1,200万円、リース料は元本と利息に区分されていません。
・リース資産の仕入

借方 貸方
勘定 金額 勘定 金額
リース投資資産 1,200万円 買掛金 1,320万円
仮払消費税 120万円  

・リース取引開始
仕訳なし
・毎月のリース料受領日

借方 貸方
勘定 金額 勘定 金額
売掛金 27.5万円 売上 25万円
 仮受消費税 2.5万円 
売上原価 20万円 リース投資資産 20万円

賃借人の取り扱い

リース取引の賃借人は、所得税や法人税の取り扱いに関わらず、リース資産を引き取った日に全額の仕入税額控除を適用します(金銭の貸付けとされるリース取引を除く)

(例)B社はリース期間60カ月、月々のリース料2万円(税抜き)、総額120万円(税抜き)で機械をリースにより賃借しました。賃貸借処理を適用しています。
・リース取引開始時

借方 貸方
勘定 金額 勘定 金額
仮払消費税 12万円(※) 未払金 12万円

(※)リース料総額120万円×10%=12万円
・毎月のリース料支払日

借方 貸方
勘定 金額 勘定 金額
賃借料 2万円 現金預金 2.2万円
未払金 0.2万円  

工事進行基準が適用される工事

消費税は原則として資産の引き渡しをした日の属する課税期間に課税されるため、工事についても工事が完了して引き渡した日の属する課税期間に課税されます(工事完成基準)。

しかし、所得税や法人税で工事進行基準(工事の進捗度合いに応じて工事売上と工事原価を認識する方法)が適用されている場合には、消費税でも工事の進捗度合いに応じて各課税期間に消費税が課税されます。

(例)事完成基準と工事進行基準
建設会社Cは2019年度から2021年度にまたがった工事を1億円で受注しました。工事原価は次のとおりです。

工事原価(税抜き)
当初見積もり 8,000万円
(実績)2019年  4,000万円
(実績)2020年 2,000万円
(実績)2021年 2,000万円

・工事完成基準
工事が完成した2021年度に消費税が課税されます。

課税売上高 消費税(地方消費税含む)
2019年 0円 0円 
2020年 0円 0円 
2021年 1億円 1,000万円 

・工事進行基準
工事の進捗度に応じて各事業年度に消費税が課税されます。

課税売上高 消費税(地方消費税含む)
2019年 5,000万円(※1)
500万円 
2020年 2,500万円(※2) 250万円 
2021年 2,500万円(※3) 250万円 

(※1)1億円×(2019年工事原価4,000万円/工事原価総額8,000万円)
(※2)1億円×(2020年工事原価2,000万円/工事原価総額8,000万円)
(※3)1億円×(2021年工事原価2,000万円/工事原価総額8,000万円)

小規模事業者の特例

個人事業者が現金主義によって所得税の計算が認められている場合、確定申告書への付記を条件に消費税でも現金主義を適用できます(所得税が現金主義でも、消費税では現金主義を適用しないことも認められています)。

(解説)小規模事業者とは?
現金主義によって所得税の計算が認めらえる小規模事業者とは前々年の不動産所得と事業所得の合計が300万円以下の個人事業者です。

法令等

この記事は2019年10月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、記事の内容は税法の一般的な取り扱いについての解説ですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。