2.4.1 資産の譲渡等の時期(原則)

消費税は資産の譲渡等(譲渡、貸付け、役務の提供)に対して課税されますが、中には資産の譲渡等がいつ行われたのか判断に迷うケースも少なくありません。例えば不動産業を営む事業者が住宅を販売した場合、消費税は所有権の移転登記をした時に課税されるのでしょうか、それとも鍵を渡した時に課税されるのでしょうか?

棚卸資産を譲渡した場合

原則的な取り扱い

棚卸資産を譲渡した場合、原則として棚卸資産を引き渡した日に資産の譲渡をしたとして、棚卸資産を引き渡した日の属する課税期間に消費税が課税されます。

ただし、棚卸資産である土地(地上権、借地権、地役権、永小作権などの権利を含みます)を譲渡した場合で、引き渡した日が明らかでないときは、代金のうち概ね50%以上を受け取った日と、所有権移転登記の申請日のうちいずれか早い日に資産の譲渡等があったものとして、消費税が課税されます。

棚卸資産を引き渡した日とは?
棚卸資産を引き渡した日は、出荷した日(出荷基準)、相手方が検収した日(検収基準)、相手方が使用収益できるようになった日(使用収益開始基準)、検針等された日(検針日基準)など引き渡した日として合理的な方法のうち、事業者が継続して適用する方法によって決定されます。

棚卸資産の委託販売

棚卸資産を委託販売した場合、委託者は受託者が販売した日に資産の譲渡をしたとして、受託者が販売した日の属する課税期間に消費税が課税されます。

ただし、委託者が販売する都度、売上計算書を作成している場合は、その売上計算書が届いた日に資産の譲渡をしたとすることもできます。この方法は毎期継続して適用する場合に限って適用できます。

請負をした場合

原則的な取り扱い

請負をした場合は、物の引き渡しの有無によって取り扱いが異なります。

物の引き渡しがある請負では完成物を引き渡した日、引き渡しがない請負では約束した役務の提供の全てが完了した日に資産の譲渡等をしたとして消費税が課税されます。

請負とは?
請負とは仕事を受負った請負人が仕事の完了を約束し、注文者はその結果に対して報酬を支払う契約をいいます。

工事等の部分完成基準

工事等は目的物の引き渡しがある請負ですので、原則としては目的物を引き渡した時に資産の譲渡等をしたとして、目的物を引き渡した日の属する課税期間に消費税が課税されます。

ただし、工事等について部分完成基準を適用している場合には、建設工事等の全部が完成していなくても、完成した部分を引渡した日に資産の譲渡等をしたとして消費税が課税されます。

部分完成基準が適用される場合とは?
(1) 同種の建設工事等をたくさん請け負っている場合
ひとつの契約で同種の建設工事等をたくさん請け負い、引き渡した量にしたがって工事の代金を収入する特約や慣習がある場合
(2) 完成した部分を引き渡す都度、工事代金を受け取る場合
ひとつの建設工事等で、全体が未完成であっても完成した一部を引き渡す都度、引き渡した割合に応じて工事代金を受け取る特約や慣習がある場合

機械の据付工事

販売した機械設備等の据付工事をする場合、据付工事についても、原則としてその機械装置等を引き渡した日に資産の譲渡等をしたとして消費税が課税されます。

ただし、据付工事が一定規模以上で、契約で機械装置等と据付工事の代金が分けられている場合は、据付工事が完了した日に資産の譲渡等をしたとすることもできます。

固定資産を譲渡した場合

原則的な取り扱い

固定資産を譲渡した場合は、原則として、その固定資産を引き渡した日に資産の譲渡をしたとして、固定資産を引き渡した日の属する課税期間に消費税が課税されます。

土地や建物等の譲渡

土地や建物等を譲渡した場合、他の固定資産と同様に原則として土地や建物等を引渡した日に譲渡したとして、土地や建物等を引き渡した日の属する課税期間に消費税が課税されます。

ただし、土地や建物等の譲渡契約の効力発生日に資産の譲渡したとすることも認められています。

農地の譲渡

農地を譲渡した場合、原則として農地を引き渡した日に譲渡したとして、農地を引き渡した日の属する課税期間に消費税が課税されます。

ただし、農地の譲渡について農地法上の許可を受けた日に譲渡したとすることも認められています。

工業所有権の譲渡等

工業所有権等(特許権、実用新案権、意匠権、商標権等)の譲渡や実施権の設定がされた場合は、原則として譲渡契約や設定契約の効力発生日に譲渡したとして、契約の効力発生日の属する課税期間に消費税が課税されます。

ただし、登録されることによって効力が発生するものである場合は、登録日に譲渡したとすることも認められています。

ノウハウの頭金等

ノウハウの設定契約によって受け取る一時金や頭金は、原則としてノウハウを開示した日に資産の譲渡等したとして、ノウハウを開示した日の属する課税期間に消費税が課税されます。

ただし、ノウハウの開示が2回以上にわたって行われるもので一時金や頭金がほぼこれに合わせて支払われる場合は、ノウハウをそれぞれ開示した日に資産の譲渡等したとします。

有価証券を譲渡した場合

有価証券を譲渡した場合は、次の日に有価証券を譲渡したとして、それぞれの日の属する課税期間に消費税が課税されます。

利子や使用料等

貸付金や預貯金、有価証券の利子

貸付金や預貯金、有価証券の利子は事業者の区分に応じて、それぞれ次の時に資産の譲渡等があったものとして消費税が課税されます。

賃貸借契約に基づく使用料等

賃貸借契約に基づく使用料等は、原則として契約や慣習にしたがって使用料等の支払いを受けるべき日に資産の譲渡等があったものとして消費税が課税されます。ただし、係争中の使用料等については別途取り扱いが定められています。

工業所有権等の使用料

工業所有権(特許権、実用新案権、意匠権及び商標権、回路配置利用権等)やノウハウの使用料は使用料の額が確定した日に資産の譲渡等があったとして、使用料の額が確定した日の属する課税期間に消費税が課税されます。

ただし、毎期継続して適用することを条件に、支払日に資産の譲渡等をしたとすることもできます。

特別な取り扱い

リース契約で延払基準が適用される場合や長期大規模工事などについては、資産の譲渡等の時期について上記とは別に特別な取り扱いが定められています。

詳しい解説は2.4.2 資産の譲渡等の時期(特例)をご覧ください。

法令等

この記事は2019年5月31日現在の法令等に基づいて書かれています。