消費税における免税取引の範囲とは?

消費税は消費に対して課税される税金ですが、海外に輸出販売されるものに対して課税されてしまうと結果として海外での消費に対して消費税が課税されることになってしまいます。そこで輸出されるものについては免税取引として消費税が免除されることになっています。

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免税取引の種類

消費税の免税取引には多くの種類がありますが、最も一般的なものである「輸出免税等」と「輸出物品販売場における輸出物品の譲渡」の二つについて解説します。

輸出免税等

輸出免税等とは海外への輸出や関する取引で、「輸出による資産の譲渡や貸付け」「外国貨物の譲渡や貸付け」などの次の10種類があります。

  内容
輸出免税等 (1) 輸出による資産の譲渡や貸付け
(2) 外国貨物の譲渡や貸付け
(3) 国内と国外にわたる旅客、貨物の輸送、通信、郵便等
(4) 外航船舶等の譲渡、貸付け
(5) 外航船舶等の修理
(6) 国際貨物輸送に使用されるコンテナ―の修理
(7) 外航船舶の水先、誘導等
(8) 外国貨物に係る役務の提供
(9) 非居住者に対する無形固定資産等の譲渡や貸付け
(10) 非居住者に対する役務の提供

(1) 輸出による資産の譲渡や貸付け

資産の国外への輸出販売や貸付けは免税取引になります。

(例1)国内で製造した電化製品を米国企業に輸出販売する場合
米国への輸出による資産の譲渡のため消費税は免税になります。

(例2)東京の美術館に収蔵する浮世絵を英国の美術館に貸出す場合
英国への輸出による資産の貸付けのため消費税は免税になります。
輸出
免税取引になる輸出とは内国貨物(日本にある外国貨物以外の貨物、日本の船舶が公海で採捕した水産物)を外国に送り出すことをいいます。

(2) 外国貨物の譲渡や貸付け

外国貨物の譲渡や貸付けた場合は免税取引になります。

(例)A社は中国企業から輸入によって購入した貨物を通関手続き前にB社に譲渡しました
輸入通関手続き前の貨物(外国貨物に該当)の譲渡は免税取引になります。
外国貨物
輸入許可前の貨物や輸入許可後の貨物

(3) 国内と国外にわたる旅客、貨物の輸送、通信、郵便等

国内と国外にわたる旅客や貨物の輸送、通信、郵便、信書便は免税取引になります。

なお、国際旅客や国際貨物の輸送の一部に国内区間が含まれていても、契約で国際輸送の一環であることが明らかにされていて、国内乗継地(又は寄港地)到着から出発までが定期路線時刻表で24時間以内の場合は国内分も含めて免税取引になります。

(例)徳島空港から羽田空港経由ホノルル行きの航空券を購入しました。徳島空港からホノルルまでの区間料金が決まっています。羽田空港での乗り継ぎ時間は3時間です。
徳島空港から羽田空港までの国内分は、徳島空港からホノルルまでの国際旅客輸送の一環になっています。乗継時間が24時間以内のため徳島空港からホノルルまでの全てが免税取引になります。

(4) 外航船舶等の譲渡や貸付け

外航船舶等の譲渡や貸付け(次のいずれかに該当するもの)は免税取引になります。

外航船舶等の譲渡や貸付け
(1) 船舶運航事業者または船舶貸渡事業者に対する船舶の譲渡や貸付け
(2) 航空運送事業者に対する航空機の譲渡や貸付け
外航船舶等
専ら国内から国外にわたって行われる又は国外から国外にわたって行われる、旅客や貨物の輸送に使用される船舶や航空機をいいます。

(5) 外航船舶等の修理

外国船舶等の修理で船舶運航事業者、船舶貸渡事業者又は航空運送事業者の求めに応じて行われるものは免税取引になります。
(例)船舶の運航を営むA社が修理業者であるB社に船舶の修理を委託し、B社がその修理をさらにC社に再委託した場合
免税取引になるのは船舶運航事業者等の求めに対して行われる修理に限ります。したがって、船舶運送事業者であるA社からB社への委託は免税取引になりますが、修理業者であるB社からC社への再委託は課税取引になります。

(6) 国際貨物輸送に使用されるコンテナ―の修理

国際貨物輸送に使用されるコンテナーの譲渡又は貸付けで船舶運航事業者、船舶貸渡事業者又は航空運送事業者の求めに応じて行われるものは免税取引になります。

(7) 外航船舶の水先、誘導等

外航船舶等に対する役務の提供(次のいずれかに該当するもの)で船舶運航事業者、船舶貸渡事業者又は航空運送事業者に対するものは免税取引になります。

外航船舶に対する役務の提供
(1) 水先、誘導などの入出港や離着陸の補助
(2) 入出港、離着陸、停泊、駐機のための施設の提供に係る役務の提供
(3) 外航船舶等の清掃、廃油の回収、汚水処理等

 (8) 外国貨物に係る役務の提供

外国貨物の荷役、運送等の役務の提供は免税取引になります。また、指定保税地域等における輸出前の貨物や輸入許可を受けた貨物に対する荷役、運送などの役務の提供も免税取引になります。

(9) 非居住者に対する無形固定資産等の譲渡や貸付け

非居住者に対する次の無形固定資産等の譲渡や貸付けは免税取引になります。

免税取引になる無形固定資産等の譲渡や貸付け
(1) 鉱業権、租鉱権、採石権等
(2) 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、回路配置利用権、育成者権
(3) 公共施設等運営権
(4) 著作権
(5) 営業権、漁業権、入漁権
(例)東京で生活している米国人実業家に特許権を譲渡しました。
外国人であっても居住者に対する特許権の譲渡は免税取引になりません。
(10) 非居住者に対する役務の提供
非居住者に対する役務の提供は免税取引になります(次のものは免税取引になりません)。
免税取引にならない非居住者に対する役務の提供
(1) 国内にある資産の輸送や保管
(2) 国内での飲食や宿泊
(3) 国内で直接便益を享受するもの

(例)東京の翻訳会社が中国企業から北京で開催される商品展示会の日本語パンフレットの翻訳を請け負った場合
北京の企業は非居住者に該当し、北京の展示会で使用するパンフレットの翻訳は日本国内で直接便益を享受するものではないので免税取引になります。

輸出物品販売場(免税店)

外国人旅行者等が免税店で購入した物品を海外に持ち帰ることは輸出と同様であるため、免税店を経営する事業者が非居住者に対して、生活に使用する物品を所定の方法で販売した場合には消費税が免除されます。

免税の対象になる物品
食品、飲料品、薬品、化粧品などの消耗品
(同一の非居住者に対する一日の販売価額が5千円以上(※)の場合に限る)
消耗品以外の一般物品
(同一の非居住者に対する一日の販売価額が5千円以上(※)50万円以下の場合に限る)

(※)消耗品と一般物品が5,000円未満でも、合計額が5,000円以上ならば一定の方法によって免税の対象にすることができます。

免税の対象にならない物品
事業用又は販売用として購入される物品
金又は白金の地金

法令等

この記事は2020年4月1日現在の法令等に基づいて書かれています。また、この記事は税法学習者に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。

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