2.3.1 非課税取引とは?

消費税は資産の譲渡や貸付け、役務の提供に対して課税されますが、そもそも消費税の課税対象としてなじまなかったり、政策的な配慮が必要なために非課税取引としているものがあります。

非課税取引とは?

消費税は消費に対して広く負担を求める税金ですが、消費に負担を求めるという税の性格からして課税対象としてなじまないもの(土地の譲渡や貸付け等)や、政策的な配慮が必要なもの(社会保険医療等)については非課税にしています。

非課税取引
課税対象としてなじまないもの 政策的配慮が必要なもの
(1) 土地の譲渡や貸付け (1) 社会保険医療
(2) 有価証券や支払手段の譲渡 (2) 介護保険サービス等
(3) 利子、保証料、保険料等 (3) 助産
(4) 郵便切手、印紙などの譲渡 (4) 埋葬料、火葬料
(5) 商品券等の譲渡 (5) 身体障害者用物品の譲渡や貸付け
(6) 行政手数料等 (6) 学校の授業料、入学金、施設設備費等
(7) 外国為替業務 (7) 学校で使用する教科書
(8) 住宅の貸付け

課税対象としてなじまないもの

(1) 土地の譲渡、貸付け

土地(地上権、借地権、地役権、永小作権などの権利を含みます)の譲渡や貸付けは、非課税取引になります。

ただし、土地の貸付けであっても貸付期間が1カ月未満のものや、駐車場のように施設と一緒に土地が使用される場合は非課税になりません(車両の管理がされていたり、地面の整備やフェンスの設置、区画整備がされているような場合は、単に土地を貸し付けたのではなく施設を貸付けたと考えるため課税取引になります)。

(例)倉庫を賃貸して、建物と敷地の賃料をそれぞれ月額10万円ずつ受領します。
施設(倉庫)の利用に伴って土地(敷地)が利用されていますので、敷地の貸付けについても消費税が課税されます。

(2) 有価証券や支払手段の譲渡

有価証券(有価証券に類するものを含みます)や支払手段の譲渡は非課税取引になります。

ただし、有価証券であってもゴルフ会員権等や、販売又は収集用の支払手段の譲渡は非課税取引ではありません。

支払手段とは?
支払手段とは銀行券、政府紙幣、硬貨、小切手(トラベラーズチェックを含む)、約束手形、為替手形、郵便為替、信用状、電子マネー、仮装通貨など
(例)コレクター向けに古い紙幣を販売しています。
紙幣は支払手段ですので原則として非課税取引になりますが、収集用の支払手段(コレクター向け)の販売は非課税取引になりません。

(3) 利子、保証料、保険料等

貸付金や預貯金、国債、社債等の利子、信用の保証料、保険料等は非課税取引になります。

一方、売上割引や仕入割引には利子としての性格もありますが、消費税では利子ではなく対価の返還として考えるので、売上の時(又は仕入の時)に課税取引だったものは、売上割引(又は仕入割引)も課税取引になります。

(例)事業資金を借入れるため、信用保証協会に保証料を支払いました。
信用の保証料ですので非課税取引になります。

(4) 郵便切手、印紙などの譲渡

郵便局(簡易郵便局を含む)や郵便切手類販売所、印紙売りさばき所で販売される郵便切手類(郵便切手、郵便はがき、郵便書留)や印紙、地方公共団体や証紙売りさばき人が販売する証紙は非課税取引になります。

ただし、非課税取引になるのは郵便局や郵便切手類販売所等で販売されたものに限られます。

(例)コレクター向けの切手専門店でプレミア郵便切手を販売する場合
郵便切手の販売が非課税取引になるのは郵便局や郵便切手類販売所等で販売される場合に限られます。コレクター向けの専門店で販売するということですので、非課税取引にはなりません。

(5) 商品券等の譲渡

商品券やビール券、ギフト券、旅行券、プリペイドカード等の譲渡は非課税取引になります。

これは商品券等を譲渡した時に消費税を課税してしまうと、消費者が商品券等を購入した時と、購入した商品券等を使った時に二重で消費税が課税されてしまうためです。

(例)金券ショップで商品券1万円分を販売した場合。
商品券の譲渡は非課税取引になります。

(6) 行政手数料等

国や地方公共団体等が行う一定の役務の提供(行政手数料)は非課税取引になります。

(例)10年間有効のパスポートを申請し、手数料を支払いました。
パスポートの申請手数料は国、地方公共団体が法令に基づいて行う事務の手数料ですので、行政手数料として非課税取引になります。

(7) 外国為替業務に係る役務の提供

外国為替取引、対外支払手段の発行、対外支払手段の売買又は債権の売買(一定のものを除く)に係る役務の提供は非課税取引になります。

(例)海外旅行のために都内の銀行で日本円を米ドルに両替し、手数料を支払いました。
銀行における日本円から米ドルへの交換は対外支払手段の売買ですので、手数料は非課税取引になります。

政策的配慮が必要なもの

(1) 社会保険医療等

社会保険医療等(健康保険法や国民健康保険法、船員保険法、国家公務員共済組合法等による医療等)は非課税取引になります。

(例1)体調がすぐれなかったので病院で治療を受け、健康保険が適用されて3割を自己負担分として支払いました。
健康保険法による医療ですので非課税取引になります。
(例2)都内の美容クリニックで二重まぶたの施術を受け施術料を支払いました。
美容整形は社会保険医療等ではありませんので非課税取引にはなりません。

(2) 介護保険サービス等

介護保険サービスや更生保護事業、社会福祉事業として行われる資産の譲渡等のうち一定の要件を満たすものは非課税取引になります。

(例)介護サービス事業者が訪問入浴介護をしました。
訪問入浴介護は介護保険サービスに該当するため非課税取引になります。

(3) 助産

医師や助産師等、医療に関する施設の開設者が行う助産(妊娠検査、妊娠後の検診や入院、分娩介助、出産後2月以内の回復検診、新生児の検診や入院)は非課税取引になります。

(例)都内の産婦人科で妊娠の検査を受けましたが妊娠していませんでした。
医師による妊娠検査は非課税取引になります。

(4) 埋葬料、火葬料

埋葬料や火葬料は非課税取引になります。

(5) 身体障害者物品の譲渡や貸付け

身体障害者用物品(義肢、視覚障害者用の安全杖、義眼、点字器、人工喉頭、車椅子など)の譲渡や貸付けは非課税取引になります。また、身体障害者用ではない物品を身体障害者用物品への改造、身体障害者用物品の修理も非課税取引になります。

(例)足の不自由な家族が乗り降りしやすくするために、乗用車に車椅子の昇降装置を取り付けました。
乗用車に車椅子の昇降装置を取り付けることは、身体障害者用物品への改造なので非課税取引になります。

(6) 学校の授業料、入学金、施設設備費等

学校(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など)、専修学校の高等課程、専門課程、一般課程、または各種学校など(修業年数が1年以上であるなど一定の要件を満たすものに限る)の授業料、入学金、施設設備費等は非課税取引になります。

(例1)中学生の息子の学校給食費を支払いました
学校給食費は授業料等に該当しないので非課税取引にはなりません。
(例2)大学の公開講座で英会話を受講しました
公開講座は大学の正規の授業ではないので非課税取引にはなりません。

(7) 学校で使用する教科書

学校教育法に規定する教科用図書の譲渡は非課税取引になります。

(例)学校教育法に規定する教科用図書の補助教材として中学校が問題集を指定し、生徒に販売しました。
参考書や問題集など補助教材の譲渡は学校が指定したものであっても非課税取引にはなりません。

(8) 住宅の貸付け

住宅の貸付け(居住用であることが契約で明らかにされていて、貸付け期間が1カ月以上の場合に限ります)は非課税取引になります。

ただし、ホテルや旅館、リゾートマンション、貸別荘等は利用期間が1カ月以上であっても非課税取引にはなりません。

住宅の貸付けに含まれるもの
次のものは住宅の貸付けとして非課税取引になります(家賃とは別に利用料等を徴収する場合を除きます)

住宅の貸付けに含まれるもの
(住宅に附随して貸付けられるもの)
庭や塀等のように通常住宅に付随して貸付けられるもの
(住宅の附属設備)
家具、じゅうたん、照明設備、冷暖房設備等の附属設備で住宅と一体で貸付けられるもの
(プール、フィットネスジム等)
居者専用のプールやフィットネスジム等
(駐車場)
自動車の有無に係らず割り当てられる駐車場等
(例)リゾートマンションを3カ月間賃貸した場合
リゾートマンションの貸付けは貸付期間にかかわらず非課税になりません。

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法令等

この記事は2019年10月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、記事の内容は税法の一般的な取り扱いについての解説ですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。