2.2.2 対価を得て行う資産の譲渡等とは?

消費税は「有償による資産の譲渡や貸付け、役務の提供」に対して課税されますが、これらをまとめて「対価を得て行う資産の譲渡等」といいます。

ただし、例えばスーパーが商品を販売するような場合であれば、対価を得て行う資産の譲渡等に該当するので消費税の課税対象だと分かりやすいのですが、なかには判断しにくいものもあるので解説したいと思います。

対価を得て行う資産の譲渡等とは?

消費税の課税対象は、(1)国内において行う取引、(2)事業者が行う取引、(3)対価を得て行う取引、(4)資産の譲渡等の4つの要件を全て満たすものです(特定仕入及び外国貨物の引き取りを除く)。

消費税が課税される4要件
(1) 国内で行う取引
(2) 事業者が行う取引
(3) 対価を得て行う取引
(4) 資産の譲渡・貸付け、役務の提供

このうち「対価を得て行う資産の譲渡等」とは(3)と(4)の部分についてで、反対給付(代金など)を受領して行う資産の譲渡や貸付け、役務という意味があります。したがって、無償で資産をあげるような場合(寄附金など)には原則として消費税が課税されません。

ただし、無償であってもみなし譲渡に該当する場合は消費税の課税対象になります。

みなし譲渡とは?
次の(1)と(2)をみなし譲渡といい、無償の取引ですが消費税の課税対象になります。

みなし譲渡
(1) 個人事業者が棚卸資産や事業用資産を自己(同一生計親族を含む)の家事にために消費又は使用
(2) 法人の自己の役員に対する贈与

(例)個人事業主として食料品店を営む太郎さんは、お店で販売しているお米を家族と一緒に食べました。
家事消費したコシヒカリはみなし譲渡として消費税の課税対象になります。

対価を得て行う資産の譲渡等の判定

対価を得て行う資産の譲渡等と一口に言っても、判断に迷うケースが少なくありませんので、具体例を使って解説していきます。なお、ここで課税対象となっている場合であっても、非課税や免税の規定が適用されるものについては、消費税は課税されませんのでご注意ください。

資産の譲渡の具体例

(1) 会報や機関誌の発行

同業者団体や組合等が発行する会報や機関誌は、有償で発行(購読料等を徴収している)されている場合は課税対象になりますが、無償の場合(購読料等を徴収せずに同業者団体や組合等の通常の会費で発行されている)は課税対象外になります。

(2) 保険金、共済金等

保険事故によって受け取る保険金や共済金等は、資産を譲渡等して受け取るものではないので、消費税の課税対象外になります

(3) 損害賠償金

心身や資産の損害に対して受け取る損害賠償金は、資産の譲渡等の対価として受け取るものではないので、消費税の課税対象外になります。

ただし、損害賠償金という名目で受け取ったものであっても、軽微な損傷のある商品を加害者に買い取ってもらった場合のように、実質的に資産の譲渡等の対価に該当する場合には消費税の課税対象になります。

(4) 容器の保証金

ビール瓶やケース等の保証金で容器が返却された時に返還するものは、金銭を預かっているだけで資産の譲渡等の対価として受け取ったものではありません。したがって、このような保証金を受け取っても消費税は課税されません。

ただし、容器が返却されなかったため、保証金を返却されなかった容器の代金として経理処理した場合は、資産の譲渡等の対価として消費税の課税対象になります。

(5) 賃貸建物等の立退料

賃貸している建物等の契約解除によって受け取る立退料は、賃借人にとっては損失の補償等として受け取るものですので、原則として対価を得て行う資産の譲渡等ではありません。

ただし、立退料という名目であっても、賃借人のとしての地位を賃貸人以外に譲渡して受け取るものは、実質的に賃借権の譲渡と考えられるため消費税の課税対象になります。

(6) 剰余金の配当等

剰余金の配当等(剰余金の配当や利益の配当、剰余金の分配)は出資したことに対して受け取るものであって、資産の譲渡等の対価として受け取るものではありませんので、消費税の課税対象外です(協同組合等の事業分量配当を除きます)。

(7) 自己株式の取得

自己株式の取得(証券市場での買入れを除く)や引渡しは、消費税の課税対象外です。

(8) 対価補償金等

土地や建物の収用で受け取る補償金など、所有権等の補償として受け取る補償金(対価補償金)は、補償金という名目であっても実質的にはその所有権等の譲渡と考えられるため、消費税の課税対象になります。

(9) 譲渡担保

債務弁済の担保として債務者から資産を譲り受けた場合(譲渡担保)で、一定の要件を満たすものは、担保を受け入れただけで実質的には資産の譲渡ではないため、消費税の課税対象外になります。

(10) 寄附金、祝金、見舞金等

寄附金や祝金、見舞金等は原則として消費税の課税対象外ですが、寄附金や祝い金、見舞金等という名目であっても実質的に資産の譲渡等の対価と認められる場合には消費税の課税対象になります。

(11) 補助金、奨励金、助成金等

国や地方公共団体などから受け取る補助金や奨励金、助成金等は、消費税の課税対象外です。

資産の貸付けの具体例

(1) 借家保証金、権利金等

建物や土地等の賃貸借によって受け取る補償金や権利金、敷金、更改料(更新料)のうち返還されないものは消費税の課税対象になりますが、返還されるものは単に金銭を預かっているだけなので消費税の課税対象外になります。

(2) 福利厚生施設の利用

宿舎や宿泊所、集会所、体育館、食堂等の施設を、役員や使用人等に有償で利用させている場合には、対価を得て行う資産の貸付けとして消費税の課税対象になります。

役務の提供の具体例

(1) キャンセル料、解約手数料、払戻手数料

予約の取消しや変更等により受け取るキャンセル料や解約損害金等は、損害に対して受け取るものであって、資産を譲渡等の対価として受け取るものではないため、消費税の課税対象外です。

ただし、似たようなものに解約手数料や取消手数料、払戻手数料等がありますが、これらは解約手続き等の対価としてを受け取るものですので、消費税の課税対象になります。

(2) 会費、組合費、入会金等

同業者団体や組合等が受け取る会費、組合費、入会金等は、役務の提供対価として受け取ることが明白なものに限って消費税の課税対象になります(入会金等の名目であっても将来返還する予定のものは、単なる預かり金ですので消費税の課税対象になりません)。

(3) ゴルフクラブやレジャー施設の入会金

ゴルフクラブやレジャー施設を利用等するための入会金(返金しないもの)は、資産の譲渡等の対価として消費税の課税対象になります。

(4) 公共施設の負担金等

専用側線利用権や電気ガス供給施設利用権等の公共施設の負担金等は、役務の提供対価として明白な場合に限って消費税の課税対象になります。

(5) 給与負担金

使用人が出向した場合に、出向先事業者が負担する給与負担金は給与の支払と変わらないため消費税の課税対象外になります。

(6) 労働者派遣料

労働者を派遣したことよって受け取る派遣料は、労働者の派遣対価ですので、役務提供の対価として消費税の課税対象になります。

法令等

この記事は2019年10月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、記事の内容は税法の一般的な取り扱いについての解説ですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。