1.1 消費税を納税する人(納税義務者)

国内で商品の販売やサービスの提供などを行った場合には非課税になる場合などを除いて消費税がかかります。この消費税、負担する人は誰かと聞かれればもちろん消費者なのですが、消費税の納税義務者、つまり実際に消費税に国に納税する人は消費者ではありません。

消費税の納税義務者

消費税が課税される取引は大きく国内取引輸入取引に分けられます。そして、誰が消費税の納税義務者になるのか(言い換えれば誰が国に納税するのか)も、この国内取引と輸入取引の区分に応じて、それぞれ定められています。

国内取引の納税義務者

資産の譲渡等をした場合

国内で事業者が事業として①資産の譲渡、②資産の貸し付け、③役務の提供(①~③をあわせて資産の譲渡等といいます)をした場合には消費税が課税されます(ただし非課税取引や免税取引などになる場合は消費税は課税されません)

この場合の納税義務者は消費税の譲渡等をした事業者になります。

ここで大切なのは納税義務者が事業者に限定されている点です。

例えば事業者であるスーパーが商品を消費者に販売した場合は、スーパーは消費者から受け取った消費税を国に納税しないといけません。

ところが、事業者ではない人が資産の譲渡等をしても消費税は課税されないので、納税する義務もないということです。具体的には、一般の人が不用品をフリマアプリで売ったとしても、購入者から消費税を受け取ったり、国に納税したりする必要はありません。

なお、事業者とは個人事業者(非居住者を含む)と法人(国、地方公共団体、公共法人、公益法人等、人格のない社団等を含む)の両方をいいます。

(例)サラリーマンの太郎さんは自宅で使用していたコンピュータを友人の次郎さんに3万円で売りました。
太郎さんは事業者ではないので、コンピューターを友人に譲渡しても消費税は課税されず、太郎さんに納税義務はありません。

特定課税仕入れをした場合

特定課税仕入れをした事業者は国に消費税を納税する義務があります。

特定課税仕入れとは?
特定課税仕入れとは、①事業者向け電子通信利用役務の提供と、②特定役務の提供による課税仕入れの二つをいいます。
① 事業者向け電子通信利用役務の提供
海外の事業者がインターネットなどを使って行う国内事業者向けの役務の提供

② 特定役務の提供
海外の事業者が国内で行う役務の提供

課税資産の譲渡等ではお客さんから代金(消費税を含む)を受け取った事業者が、納税義務者として受け取った消費税を国に納税することになりましたが、特定課税仕入れの場合は反対に代金を支払う事業者が納税義務者になります。

どういうことかと言いますと、インターネットなどを使った国際取引で海外の事業者が代金を受け取る場合、その海外の事業者に「あなたは消費税の納税義務者だから日本で確定申告してください」と言ったところで、現実的に納税させることは困難です。

そこで特定課税仕入れの場合、海外の事業者に代わって課税仕入れを行った国内の事業者(代金を支払った事業者)に納税させようということになっています。

(イメージ)ウェブサイト上での広告掲載、税抜き100万円(消費税8万円)の場合

輸入取引の納税義務者

これまでの二つとは少し雰囲気が異なるのですが、海外から課税貨物が輸入される場合には消費税が課税されます。このとき、消費税を納税しないといけないのは、課税貨物を保税地域から引き取る者とされています。

国内取引(資産の譲渡等と特定課税仕入れ)の場合は、事業者だけ納税義務者になりましたが、輸入取引の場合は事業者には限らず、一般の人が輸入した場合であっても消費税を納税しないといけません。

保税地域とは?
税関の輸入許可がまだ下りていない外国貨物を一時的に保管する場所のことです。

まとめ

ここまでの説明をまとめると、消費税の納税義務者は次のようになります。

国内で課税資産の譲渡等や特例課税仕入を行った事業者、保税地域から課税貨物を引き取る(事業者に限りません)は、国に消費税を納税する義務があります。

小規模事業者の納税義務の免除

事業者が国内で資産の譲渡等や特定課税仕入れを行った場合には、消費税を納税する義務があると説明しましたが、消費税の計算というのはなかなか手間がかかるものですので、小規模な事業者の事務負担を配慮して、一定の要件を満たす小規模事業者の場合は消費税の納税義務が免除されます。

ただし、本来納税義務が免除される小規模な事業者であっても、免税事業者にならずに、自ら課税事業者になることを選択することもできます。

納税義務が免除される一定の小規模事業者とは?
納税義務が免除される一定の小規模事業者とは、次の二つの要件を両方とも満たす事業者をいいます。
(1) 基準期間(個人事業者は前々年、法人は原則として前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下
(2) 特定期間(個人事業者は前年の1月1日から6月30日、法人は原則として前事業年度開始の日以後6カ月間)の課税売上高が1,000万円
詳しい解説は、1.2 納税が免除される事業者とは?をご覧ください

法令等

この記事は2019年5月31日現在の法令等に基づいて書かれています。