役員賞与を損金にする方法

従業員に支給した賞与は(一部の例外を除いて)会社の損金になるため、従業員に賞与を支給すると法人税などの税金を減らす効果がありますが、役員に支給する賞与は無条件で損金になるわけではありません。

役員に支給する賞与が損金になるかならないかは会社の税負担に大きな影響がありますので、節税のためには役員賞与を損金にするためのポイントを理解しておくことが大切です。

役員賞与の節税効果

会社の所得が役員に移る

会社が役員に賞与を支給した場合、役員には所得税や住民税が課税されますが、賞与が会社の損金になるのであれば、賞与を支給した分だけ会社の所得が減って法人税などの税負担が減少し、結果として会社の所得が役員に移転することになります。

税率の違いと給与所得控除

社長が100%の株式を保有するオーナー企業を例に考えると、「会社のお金=社長のお金」ですので、会社と社長の税金の合計額を減らすことが大切です。所得税は累進課税のため所得金額に応じて税率が変わりますが、社長の所得税等の税率が会社の法人税等の税率よりも低いならばお得と言えるでしょう。

また、社長が役員賞与を受け取ると、社長の所得金額から給与所得控除額を控除できるので、そのことによる節税効果も得られます。

・給与所得控除額(2019年分)

収入金額
(源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%
(650,000円未満の場合は650,000円)
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超 10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超 2,200,000円

ただし、実際の節税効果については社会保険料の負担額も含めて事前にシミュレーションすることが大切です。

役員賞与は事前に届け出ないと損金にならない

しかし、役員賞与を使った節税が無条件に認められると、会社の業績を見ながら年度末に役員賞与を支給するといった恣意的な方法が可能になります。そこで法人税では役員賞与(使用人兼務役員の使用人分賞与を除く)を損金にするにはあらかじめ事前に金額や支給時期を税務署に届け出ておかないといけない等のルールが設けられています。

役員賞与が損金にならない場合、役員賞与を支給しても会社の所得金額が減りませんので、単純に役員の所得税等だけが増える結果になります。

損金にできる役員の賞与とは?

役員賞与を支給するのであれば損金になることが節税の上で大切なのですが、具体的には役員賞与のうち、事前確定届出給与、使用人兼務役員の使用人分賞与、業績連動給与のいずれかに該当すれば損金になります。

損金になる役員への賞与
事前確定届出給与
使用人兼務役員の使用人分賞与
業績連動給与

なお、業績連動給与は若干ハードルが高いため、事前確定届出給与と使用人兼務役員の使用人分賞与について解説します。

事前確定届出給与

役員賞与の支給時期や支給金額などを事前に税務署に届け出ている場合は、役員賞与を損金にすることができます(役員賞与の金額が過大な場合を除く)。このように事前に税務署に届け出てから支給する賞与を事前確定届出給与といいます。

したがって、役員に賞与を支給する予定がある場合、提出期限までに必要事項を記載した届出書を税務署に提出しておくことがとても大切です。

・届出書に記載する主な内容

主な内容
・ 事前確定届出給与を受け取る役員の名前と役職
・ 事前確定届出給与の支給額
・ 支給を決議した日と決議した機関(株主総会、社員総会など)
・ 支給の対象になる職務の執行開始日
・ 事前確定届出給与以外の給与の支給時期と支給額

・届出書の提出期限

提出期限
(1) 株主総会等で支給を決議した場合
次のうちいずれか早い日
・株主総会等の決議日と職務執行開始日のうち早い日から1カ月以内
・職務執行開始日の属する会計期間の開始日から4カ月以内(確定申告書の提出期限の延長の特例を受けている場合は、指定に係る月数+3カ月以内)
(2) 新しく設立された内国法人の役員の場合
設立の日から2カ月以内
(3) 臨時改定事由(役員の地位の変更や職務内容の大幅な変更等)があった場合
次のうちいずれか遅い日
・(1)の届出期限、(上記(2)に該当する場合は(2)の提出期限)
・臨時改定事由が生じた日から1カ月以内

国税庁:事前確定届出給与に関する届出

使用人兼務役員

役員であっても、例えば取締役経理部長や取締役工場長のように役員(取締役)でありながら使用人としての身分(経理部長、工場長)も持っていて、かつ、常時使用人として働いている人を使用人兼務役員といいます。

法人税では使用人兼務役員に対して支給する賞与のうち、使用人としての職務(例えば経理部長や工場長としての職務)に対する分は、使用人賞与として取り扱いますので、原則として事前に届け出をしていなくても損金にできます。

ただし、他の使用人よりも賞与の額が高額な場合など、使用人職務としての金額を超えると認められる部分がある場合は役員賞与と取り扱われます。

使用人兼務役員についての詳しい説明は使用人兼務役員をご覧ください。

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2.3.1 役員給与(報酬、賞与)の取り扱い

法令等

この記事は2019年2月28日現在の法令等に基づいて書かれています。また、記事の内容は税法の一般的な取り扱いについての解説ですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。