役員賞与を損金にする方法

従業員に支給した賞与は通常会社の損金になるので法人税などの税金を減らす効果がありますが、役員に支給する賞与は無条件に損金になるわけではありません。

役員に支給する賞与が損金になるかならないかは会社の税負担に大きな影響がありますので、節税のためには役員賞与を損金にするためのポイントを理解しておかないといけません。

役員賞与の節税効果

会社が役員賞与を支給した場合、役員には所得税や住民税が課税されますが、賞与が会社の損金になるのであれば、賞与を支給した分だけ会社の所得が減って法人税などの税負担が減少します。その結果、会社の所得を役員に移転する(会社の所得が減って、役員個人の所得が増える)ことができます。

社長が100%の株式を保有するオーナー企業を例にとって考えてみます。このような会社の場合、「会社のお金=社長のお金」ですので、会社と社長の税金の合計額を減らすことが大切ですが、社長の所得税等の税率が会社の法人税等の税率よりも低いならば、会社の所得を社長に移すことによって節税が可能です。

具体的には、社長に賞与を支給すれば社長には所得税等が課税されますが、会社の法人税等は減少します。このとき法人税等の税率の方が高ければ節税できるというわけです。

しかし、このような節税が無条件に認められると、会社の業績を見ながら節税額が最大になるように役員賞与の金額を決めるといった極端な方法が可能になります。そこで法人税ではこのような方法を防止するために、役員賞与(使用人兼務役員の使用人分賞与を除く)を損金にするには事前に金額や支給時期を決めておかないといけないというルールがあります。

つまり、会社の業績を見ながら役員賞与の金額を決めることはできません。

役員賞与が損金にならないとどうなる?

役員賞与が損金にならない場合、役員賞与を支給しても会社の所得金額が減らず法人税等も減りません。一方で役員にはしっかりと所得税等が課税されてしまいます。法人税等で損金にならなかったからといって役員の所得税等は一文たりとも減らしてもらえません…

具体的に、社長が100%の株式を保有するオーナー企業を例に考えてみます。社長に支給した賞与が損金にならないと、会社の所得金額は減りませんので、次の図のように単純に社長の所得税等だけが増える結果になります。

損金になる役員の賞与とは?

それではどのような役員賞与であれば損金になるのか?ですが、具体的には役員に支給する賞与のうち、事前確定届出給与使用人兼務役員の使用人分賞与の二種類であれあ損金になります(この他に業績連動給与も損金になりますが損金にするためのハードルが高いです)

事前確定届出給与

役員賞与の支給時期や支給金額などを事前に税務署に届け出ている場合は、役員賞与を損金にすることができます。このように事前に税務署に届け出てから支給する賞与(給与)を事前確定届出給与といいます。

役員に賞与を支給する場合、事前に税務署に届出書を提出して損金にすることが節税のために大切です。

国税庁:事前確定届出給与に関する届出

届出書に記載する内容

事前確定届出給与を支給する場合には次の内容などを記載した届出書を税務署に提出しないといけません。
・事前確定届出給与を受け取る役員の名前と役職
・事前確定届出給与の支給額
・支給を決議した日と決議した機関(株主総会、社員総会など)
・支給の対象になる職務の執行開始日
・事前確定届出給与以外の給与の支給時期と支給額

届出書の届出期限

事前確定届出給与の届出書の提出期限は次のそれぞれに応じて決められています。

(1)株主総会などで支給を決議をした場合
次のうちいずれか早い日
・株主総会などで決議した日と職務執行開始日のうち早い日から1カ月以内
・職務執行開始日の属する会計期間の開始日から4カ月以内(確定申告書の提出期限の延長の特例を受けている場合は、指定に係る月数+3カ月以内)

(2)新しく設立された内国法人の役員の場合
設立の日から2カ月以内

(3)臨時改定事由(役員の地位の変更や職務内容の大幅な変更など)があった場合
次のうちいずれか遅い日
・(1)の届出期限、(2)に該当する場合は(2)の届出期限
・臨時改定事由が生じた日から1カ月以内

使用人兼務役員

役員賞与を損金にするには原則として支給時期や支給額などを事前に税務署に届け出ないといけないのですが、例えば取締役経理部長のように役員(取締役)でありながら同時に使用人(経理部長)でもある方に賞与を支給するのであれば、事前に届け出をしなくても損金にできる場合があります。

このように役員と従業員の両方の地位をもっていて、かつ常時使用人として働いている方(使用人兼務役員)に対する使用人としての職務(例えば経理部長としての職務)に対して支給する賞与は事前に届け出をしていなくても損金にできます。ただし他の使用人よりも賞与が高額な場合などは、損金にできないこともあります。

使用人兼務役員についての詳しい説明は使用人兼務役員をご覧ください。

関連記事

2.3.1 役員給与(報酬、賞与)の取り扱い

法令等

この記事は2019年2月28日現在の法令等に基づいて書かれています。