社員旅行の費用を損金にする節税

コミュニケーションの活性化やチームワーク向上などのために社員旅行を実施する会社も多いですが、考えておかないといけないのが会社が負担した旅費の税金です。

社員旅行は社員のレクリエーションですので旅費を福利厚生費として節税にも活用したいところですが、場合によっては会社が負担した旅費は給与にあたるとして役員や社員に予期せぬ税金が課税されたり、交際費として扱われてしまい会社の損金にならない場合もあります。

旅費を福利厚生費とするためのルールを正しく理解しておくことが、余計な税負担を回避するために必要です。

福利厚生費にするには?

会社が負担した社員旅行の費用が法人税の計算上、福利厚生費として認められればその分だけ課税所得が減るため法人税など節税につながります。

しかし、本来役員や社員が負担すべき旅費を会社が負担したと認定されてしまうと、役員や社員に対する給与として所得税と住民税が課税されることになりますし、役員社員間の交際費であると認定されると、交際費には損金算入に制限があるため節税につながらない可能性があります。

福利厚生費にするための要件

では、具体的にどのようにすれば社員のレクリエーション旅行の費用を福利厚生費にすることができるかですが、法人税では次の3つの要件を満たせば福利厚生費として取り扱うことが認められています。

要件1:旅行期間が4泊5日以内
旅行期間があまりにも長期間だと一般的な福利厚生の範疇を出てしまっているため、4泊5日以内の旅行でないと福利厚生費としては認められません。海外旅行の場合は4泊6日などという可能性もありますが、海外での滞在日数が4泊5日以内であれば大丈夫です。

要件2:全体の半数以上が参加
一部の役員や社員だけ参加する旅行は福利厚生とは言えません。そこで、法人税では全体の人数の半数以上が旅行に参加することを福利厚生費の条件としています。工場や支店などの職場単位で旅行を実施する場合には、それぞれの職場の半数以上が参加していればOKです。

要件3:会社負担額が高額過ぎない
会社が負担した旅費があまりに高額で福利厚生の範疇を超えている場合は、福利厚生費にはできません。

会社負担額が高額過ぎるとは何円以上?
法令や通達等で明記されたものはありませんが、一般的には一人あたり10万円程度が境界線になってくると言われています。世の中の状況を参考にしながら、会社負担分が高額になり過ぎないように注意しなければいけません。
(例)社員のレクリエーションのために4泊5日の旅行を実施します。全体の50人中40人が参加して、旅費は一人あたり12万円(会社負担分6万円、本人負担分6万円)です。

要件 判定
(要件1) 旅行期間が4泊5日以内 旅行期間は4泊5日のためOK
(要件2) 全体の半数以上が参加 全体の80%(50人中40人)が参加のためOK
(要件3) 会社負担分が高額過ぎない 会社負担分は6万円のためOK

3つの要件を全て満たしているので福利厚生費として損金にできます。

不参加者に金銭を支給する場合

旅費を福利厚生費にするための要件は上記の3つですが、旅行に参加しなかった人に金銭を支給すると、給与として役員や社員に所得税と住民税が課税されてしまいます。

誰に金銭を支給する? 判定
会社都合で不参加の人にだけ支給する 受け取った人の給与として所得税等が課税されます
自己都合で不参加の人にも支給する 金銭を受け取った人だけではなく、旅行に参加した人にも金銭の支給があったものとみなして所得税等が課税されます。

特に自己都合で不参加の人にも金銭を支給すると、社員旅行全体が福利厚生とは言えなくなってしまうため、参加した人を含めて所得税等の課税対象になりますので注意が必要です。

福利厚生費にできない旅行とは?

ここまで会社が負担した旅費を福利厚生費にするための要件を説明してきましたが、福利厚生費にはできない具体的な事例を紹介します。

事例1:役員だけ参加の旅行
福利厚生費にできる旅行は「社員のレクリエーション旅行」です。役員だけが参加している時点でそもそも社員のレクリエーション旅行とは言えませんので、会社が負担した旅費は役員賞与を支給したと考えて所得税等が課税されます。

事例2:取引先の接待旅行
取引先の接待旅行は社員のレクリエーション旅行ではありません。たとえ社員が旅行に同行したとしても、それは接待のために同行したと考えられるため、役員や社員の旅費も含めた会社が負担した旅費の全額が交際費になります。

事例3:実質的なプライベート旅行
社員旅行という名目だったとしても実質的なプライベート旅行は福利厚生費にできません。例えば、社長以下役員及び社員の全員が家族という家族経営の会社で実施した社員旅行が実質的には家族旅行であると認められる場合には福利厚生費にはなりません。

法令等

この記事は2019年10月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、記事の内容は税法の一般的な取り扱いについての解説ですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。