交際費を損金にする節税

得意先の接待やお中元、お歳暮。会社経営していれば様々な付き合いがありますが、取引先等と良好な関係を築くことは経営を円滑に進めるためにとても大切です。

時限立法のはずが…

法人税では原則として交際費を損金(経費)として認めていませんが、これは冗費(無駄な費用)の乱用を防ぐためや、多額の交際費の支出は適正な競争を阻害すると考えられるためと言われています。

ちなみに、最初に交際費の損金算入に制限が設けられたのは昭和29年、戦後まだ数年しか経っていない頃に3年間だけの時限立法ということで導入されたそうです。ところが時限立法だったはずのこの制度が、延長に延長を繰り返して今だにしぶとく生き残っているわけです。

いずれにしても、法人税には交際費の損金算入に制限がありわけですが、交際費の全てが損金にならないわけではありません。どのような交際費が損金になるのかを正しく理解しておけば、意外と多くの金額を損金にすることができるはずです。

そもそも交際費とは?

交際費の範囲

一般的に交際費と言えば得意先に対する接待やお中元、お歳暮などを想像するかもしませんが、法人税でいうところの交際費には、得意先や仕入先だけに限らず、事業に関係する全ての人への接待、供応、慰安、贈答などが含まれるとされています。

事業に関係する全ての人ということですので、例えば自社の役員や社員、株主なども含まれてしまいます。したがって、例えば社長が「頑張っている新人に何かおいしいものでもご馳走しよう!」と考えたとしても、会社のお金を使っていたら社員との交際ということで交際費になる可能性もあります(福利厚生費などにできる場合もあります)。

接待でも交際費にならない費用とは?

・一人あたり5,000円以下の飲食費

得意先などに対する接待であっても一人あたり5,000円以下の飲食費(弁当などを含む)は、法人税では交際費にならないためその全額を損金にすることができます。一人あたり5,000円以下ということですので、参加者の一部がたくさん飲んで、残りの人があまり飲まなかったとしても、平均で一人あたり5,000円以下に収まれば全員分が損金になります。

ただし、一人あたり5,000円以下の飲食費であっても、専らその会社の役員や社員、親族での飲食については交際費になります(会議費や福利厚生費になるものを除く)。

・消費税の取り扱い

一人あたりの飲食費等が5,000円以下の少額飲食費は全額が損金になるわけですが、しかし、ここでいう5,000円以下というのは税抜金額か、それとも税込金額かという疑問がわいてくるかもしれません。この点については会社の経理処理の方法によって判断基準が異なっており、会社が税抜経理している場合は税抜金額、税込経理している場合は税込金額で判定することになっています。

つまり、会社が税抜経理をしていれば税込みで5,500円が境界線になりますが、税込経理していれば税込みで5,000円が境界線になるので、交際費の節税という観点からは税抜経理の方がお得と言えます。

(例1)税抜経理の場合
得意先を含む20人で宴会を行い11万円(うち消費税1万円)支払いました。税抜経理をしています。

借方 貸方
勘定 金額 勘定 金額
飲食費 10万円 現金 11万円
仮払消費税 1万円  

一人あたりの飲食費:10万円(税抜金額)÷20人=5,000円
一人あたり5,000円以下ですので、10万円の全額が交際費には該当しません。

(例2)税込経理の場合
得意先を含む20人で宴会を行い11万円(うち消費税1万円)支払いました。税込経理をしています。

借方 貸方
勘定 金額 勘定 金額
飲食費 11万円 現金 11万円

一人あたりの飲食費:11万円(税抜金額)÷20人=5,500円
一人あたり5,000円超ですので、11万円の全額が交際費には該当します。

・2次会の取り扱い

一人あたり5,000円以下かどうかの判定では、例えば1次会が居酒屋、2次会は場所を換えてバーというように、1次会と2次会が別々に開催さる場合は、1次会と2次会で別々に5,000円以下かどうか判定します。

したがって、1次会が一人あたり5,000円、2次会も一人あたり5,000円ならば合計で一人あたり1万円になりますが、全額を損金にすることができます。ただし、同じ飲食店の領収書を「1次会分」と「2次会分」分けてもらってもダメです。節税のためには一次会をした後、場所を換えて二次会を行いましょう。

その他に交際費にならないもの

少額の飲食費の以外にも、社員旅行や社内運動会のように福利厚生費になるものや、宣伝用の少額物品の贈与などは交際費の範囲から除外されていますので、全額を損金にすることができます。

内容 具体例
社員旅行や社内運動会等 従業員のために開催する旅行や運動会等
宣伝用資産の贈与 宣伝のために作成したカレンダーや手帳、タオル等の贈与
会議費 会議で提供される弁当や茶菓等
取材費 取材、番組制作のための座談会等の費用
その他の費用 寄附金や値引き(割り戻し)、広告宣伝費、福利厚生費、給与等になるもの

ただし、これらの要件を満たしていても、一般的な水準を超えている場合(例:豪華すぎる社員旅行、高額過ぎる会議費)は交際費と判断される場合がありますので注意してください。

交際費のうち損金にできる部分

少額飲食費の基準などで交際費の範囲から除外されなかった接待費等は交際費になりますが、交際費になったからといって全額を損金にできないわけではなく、損金にできる部分もあります。交際費のうち損金にできる金額は、大企業とそれ以外の会社とでそれぞれ次のように決められています。

大企業の場合

交際費と判定された飲食費のうち50%を損金にすることができます。

大企業とは
資本金又は出資金が1億円超の会社をいいます。ただし資本金が1億円以下でも資本金5億円以上の会社の100%子会社などは大企業に含まれます。
(例)資本金5億円の株式会社です。当事業年度に交際費を800万円(うち飲食費500万円、ゴルフ接待など300万円)を支出しました。
飲食費等の50%(250万円)は損金になりますが、残りの550万円は損金になりません。

大企業以外の場合

交際費と判定された飲食費のうち50%と年間800万円(定額控除限度額)のいずれか大きい金額までを損金にすることができます。

(例)資本金1,000万円の中小企業です。当事業年度(12カ月間)に交際費を800万円(飲食費等が500万円、ゴルフ接待など300万円)を支出しました。

損金にすることができる額
飲食費の50% 500万円×50%=250万円
定額控除限度額 800万円

定額控除限度額>飲食費の50%のため、800万円までを損金にすることができます。当事業年度の交際費は800万円ですので全額が損金になります。

大企業以外については大企業と比べるとかなり有利な取り扱いと言えます。福利厚生費や会議費など交際費から除外できるものは除外して、交際費を年間800万円以下に抑えることができれば全額を損金にすることができます。

また、交際費が年間800万円を超えている場合でも、例えば製造部門と販売部門を分社化して二つの会社にすれば、最大で年間1,600万円までの交際費を損金にすることができます。ただし、会社を分けたことによる管理コストの増加といったデメリットもありますので、事前にシミュレーションすることが大切です。

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2.3.3 交際費等を支出した場合
2.3.3.1 交際費等と他の費用との区別

法令等

この記事は2019年10月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、記事の内容は税法の一般的な取り扱いについての解説ですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。