特別償却と特別税額控除はどちらが得?

法人税には節税策といわれるものがたくさんありますが、その中でも王道と言えるのが特別償却や特別税額控除です。いずれも国が法律を整備してわざわざ作ってくれた節税策で、例えば国が中小企業の設備投資を促すために設備投資をした中小企業は税金を減らしてもらえるといったような制度です。

特別償却や特別控除は正しく理解していればとてもお得なのですが、税金は税理士さんに任せっきりだからよく知らない…ということはないでしょうか?

特別償却と特別税額控除の違い

特別償却とは?

法人税などの税金の計算では、費用が増えると利益が減って税金も減ります。つまり費用が増えると節税になるというわけです。

設備投資で固定資産を購入した場合を考えてみますと、固定資産を購入しても購入時の費用になるわけではなく、使用期間に応じて少しずつ費用になっていきます。これを減価償却といいますが、減価償却では固定資産の使用期間にわたって少しずつ節税効果が出ていきます。

例えば、耐用年数が5年の機械を500万円で購入したとすると、5年にわたって次のような節税効果があらわれます(定率法で減価償却、税率30%の場合)

機械を500万円で購入しても5年間で150万円の節税効果があるので、実質的な会社の負担は350万円ともいえます。

次に特別償却とは何か?ですが、例えば中小企業者が一定の要件を満たした設備投資をした場合、通常の減価償却に加えて追加で減価償却ができます。こういった追加の減価償却が特別償却です。減価償却費という費用が増えるのですから、その分だけ法人税などの税金は少なくなります。

特別償却を実際に適用するには細かいルールがたくさんありますが、先ほどと同じ例で1年目に取得価額の30%の特別償却をする場合を考えると次のようになります。

節税効果は5年間の合計で150万円ですので特別償却しなかった場合と同じですが、1年目、2年目、3年目と年ごとに比較すると異なっています。次の表で特別償却した場合としなかった場合の節税効果を比較してみました。

特別償却をすると特別償却しなかった場合と比べて1年目の節税効果が45万円大きくなっていますが、2年目以降は逆に節税効果が小さくなってしまっています

節税効果が出るタイミングを早めるのが特別償却ということで、耐用年数期間中の合計で考えると特別償却をしてもしなくても同じ節税効果になります。

特別税額控除とは?

一方、特別償却とは、中小企業が設備投資をした場合や社員の給与を増やした場合、試験研究をした場合など一定の要件を満たした場合に法人税を減らしてもらえる制度です。

中小企業が設備投資した場合の特別税額控除を例にとってみますと、中小企業が一定の要件を満たした設備投資をすると取得価額の7%分の法人税を減らしてもらえます。

実際には法人税の額の20%を上限とするなど細かい規定がありますが、耐用年数が5年の機械を500万円で購入して、全額の特別税額控除ができた場合の節税効果は次のとおりです。

特別税額控除のポイントは、特別税額控除をしても特別償却のように減価償却費に影響を与えないということです。したがって、特別税額控除をしても特別償却のように2年目以降の税金が増えるといったことはありません

特別税額控除の節税効果は特別償却のようにタイミングの違いではなく、節税効果が増えるというわけです。

どっちが得?特別償却と特別税額控除

特別償却と特別税額控除ですが、一つの設備投資で両方の適用要件を満たす場合があります。ただし、このような場合でも使えるのはどちらか一つだけで、同一の設備投資に対して特別償却と特別税額控除の両方を同時には使えません。どちらを使うかは、会社が自分で選ばないといけません

そこで両方を比較してみると、長い目で見た場合は特別税額控除の方が得ですが、1年目に限って言えば特別償却の方が得といえます。このあたりは会社によって考え方が違うと思いますが、資金繰りに余裕があれば特別税額控除をおすすめします。

ただし、特別税額控除には法人税額に対して20%を上限とするといった限度額があります。限度額を超えた場合は、超えた額を翌年に繰り越して翌年の法人税から特別税額控除ができるものもありますが、翌年も限度額を超えてしまうと、それ以上は繰り越せません。

したがって、例えば赤字で1年目と2年目の法人税がそもそも0円だったとすれば、特別税額控除は全く意味がありません。

一方、特別償却の場合、特別償却をしてた結果、欠損金が発生してしまっても、青色申告をしていれば欠損金を10年間の繰越せるので、こういったケースでは特別償却にもメリットがあります。

特別償却と特別税額控除、きちんと理解して節税に役立ててみてください。そもそも特別なんとかとか聞いたことないぞ!という経営者の方がいましたら、使えそうな特別償却や特別税額控除がないかチェックしてみてください(主な特別償却と特別税額控除はこちらをご覧ください)。税金を払い過ぎているかもしれませんよ。

関連記事

2.11 特別償却と特別税額控除とは

法令等

この記事は2018年11月30日現在の法令等に基づいて書かれています。