第4回 貸借対照表に載らない資産

貸借対照表は決算日現在の会社の財政状態を理解する上で重要な財務諸表ですが、だからといって貸借対照表が万能というわけではなく、貸借対照表には載っていないものもあるということを忘れてはいけません。

貸借対照表が全てではない

第2回 貸借対照表の見方でも解説したように、貸借対照表の左側には「資産」、右側には「負債」と「純資産」が記載されていて、貸借対照表を見れば一目で会社の財政状態が分かるのですが、だからと言って貸借対照表ばかりを見ていると貸借対照表に記載されていないものを見落としがちです。

例えば創業者が有名なZOZOを見てみると、純資産の金額が274億円(2019年9月末)であったにも関わらず、同日の株式時価総額は7,766億円と実に28倍もの乖離がありました。

このような乖離は、投資家が貸借対照表に記載されていない何かに価値を見出しているから生まれるものであり、株取引をしている方にとっては当たり前のことなのですが、財務諸表の分析に集中すると意外に忘れてしまいがちです。

したがって、財務諸表を見るときには数字ばかりに気を取られるのではなく、数字には表れていない情報を収集することも大切になります。

貸借対照表に載らない資産「のれん」

ではなぜこのように、会社の純資産と時価総額に乖離が生じるかと言えば、そこには貸借対照表に計上されない資産(負債)の「のれん」の存在があるからです。のれんとは具体的にはその会社が持つ「ブランド力」や「ノウハウ」「技術力」「顧客」「カリスマ経営者」などの目に見えない価値のことをいいます。

例えば、海外高級ブランドのバッグを想像してみてください。同じくらいの品質のバッグであったとしても海外高級ブランドのバッグは無名のメーカーのバッグよりも高い価格で販売することができます。

つまり海外高級ブランドは「ブランド力」を使って他のメーカーよりも有利にビジネスを展開することができるわけですが、この場合はこのブランド力こそが「のれん」の正体になります。

このように、のれんは見えないけれども確実に存在する価値なのですが、M&Aで取得されるものを除いて貸借対照表には記載されません。つまり貸借対照表には載らない資産というわけです。

「負ののれん」も存在する

貸借対照表の分析では、貸借対照表に記載されてない資産もあるということを頭の片隅に置いておくことが大切なのですが、のれんには「正ののれん」ばかりではなく「負ののれん」も存在することを忘れてはいけません。

例えば「会社のイメージが悪い」「過当競争に巻き込まれている」「新しい経営者の評判が悪い」などの場合、通常は貸借対照表には何も記載されませんが、これらの事柄は「負ののれん」として会社の価値を下げることにつながります。

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