第10回 キャッシュ・フローから見る会社の状況

全10回でお届けしてきた「決算書入門」ですが今回が最後です。

前回は最終的なキャッシュの金額が同じであっても、「営業活動によるキャッシュ・フロー」「投資活動によるキャッシュ・フロー」「財務活動によるキャッシュ・フロー」の中身によって会社の状況が大きく変わることを解説しましたが、今回はもう少し詳しくキャッシュ・フローから会社の状況をどのように判断すれば良いのかを解説したいと思います。

各キャッシュ・フローが意味するもの

キャッシュ・フロー計算書の一番上にある「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、会社の本業でのキャッシュ・フローを表していますので、プラスかマイナスかによって本業でキャッシュを生み出せているかどうかが分かります。マイナスということは本業でキャッシュを流出させていることになるため当然良い傾向とは言えません。

次に「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、固定資産や株式などへの投資活動のキャッシュ・フローですので、投資した資金を回収し現金化している場合はプラスに、積極的に投資している場合はマイナスになります。

最後に「財務活動によるキャッシュ・フロー」は借入れなどで資金調達している場合はプラスに、配当金の支払いや借入金の返済を積極的にしている場合はマイナスになります。

8つのパターンから推定する会社の状況

このように3つの区分から構成されるキャッシュ・フロー計算書ですが、プラスとマイナスを組み合わせると次のように8つのパターンを作ることができます。

もちろん8つのパターンだけで会社の資金状況が正確に分かるわけではありませんが、いずれのパターンに該当するかによってをある程度推測することができます。

パターン①:営業+、投資+、財務+
全てがプラスのパターンです。本業でのキャッシュがプラスであるにも関わらず、投資資金を回収し、さらに財務活動によって資金調達を行っています。今後の大きな支出のために資金を集めている可能性が考えられます。

パターン②:営業+、投資+、財務-
本業と投資資金の回収で得られた資金が借入金などの返済に充てられています。財務体質の改善に取り組んでいる会社に見られるキャッシュ・フローです。

パターン③:営業+、投資-、財務+
本業で得られた資金と財務活動で調達した資金を投資活動に回しています。将来に向けて成長している企業と考えられます。

パターン④:営業+、投資-、財務-
本業で生み出されたキャッシュが投資と借入金の返済などに使われていると考えられます。本業で十分なキャッシュを得られている場合によく見られますキャッシュ・フローです。

パターン⑤:営業-、投資-、財務-
全てマイナスというパターンです。本業でキャッシュが流出しているにも関わらず、投資活動と借入金の返済などを行っている一般的ではないパターンのキャッシュ・フローです。

パターン⑥:営業-、投資-、財務+
営業活動でキャッシュを増やすことができていないが、資金調達を行って将来に向けて投資活動を行っていると考えられます。

パターン⑦:営業-、投資+、財務-
投資した資金を回収して借入金の返済などに充てています。過去の蓄えを吐き出しながら事業の継続を図っている可能性があります。

パターン⑧:営業-、投資+、財務+
営業活動でキャッシュが流出してるため、投資した資金を回収するとともに借入金などで資金調達も行っています。資金不足に陥っている可能性が高いと考えられます。

ここで解説されている内容から会社の状況をある程度推測できたら、キャッシュ・フロー計算書をさらに詳しく見ていく必要がありますが、これら8つのパターンは一つの目安として利用することができます。

それでは全10回の「決算書入門」をこれで終わりに致します。決算書の入門知識を学ばれたところで、引き続いて「会計のポイントここだけ」トップページから「財務諸表分析」(全3回)をご覧ください。

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