法人税の額は所得金額に税率を乗じて計算しますが、法人と一口に言っても、例えば株式会社のように営利を目的とする法人と学校法人のように公益を目的とする法人とでは大きく性格が異なるため、法人税では法人の区分ごとに税率が異なっています。
普通法人の税率
普通法人とは株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、一般社団法人、一般財団法人、医療法人等の法人をいいます。普通法人では資本金又は出資金の金額に応じて、適用される税率が異なります。
・資本金1億円以下の普通法人
普通法人のうち資本金又は出資金が1億円以下のものや、資本金又は出資金がないものをいいます。ただし、資本金又は出資金が5億円以上の法人の100%子法人などは除きます。
年所得金額 | 2015年4月以降 開始事業年度 |
2016年4月以降 開始事業年度 |
2018年4月以降 開始事業年度 |
2019年4月以降 開始事業年度 |
800万円以下の部分 | 15% | 15% | 15% | 15%(※) |
800万円超の部分 | 23.9% | 23.4% | 23.2% | 23.2% |
(※)適用除外事業者は19%
年所得金額 | 税額 |
400万円以下(800万円×6月/12月)の部分 | 400万円×15%=60万円 |
400万円超(800万円×6月/12月)の部分 | 100万円×23.2%=23.2万円 |
計 | 60万円+23.2万円=83.2万円 |
・その他の普通法人
年所得金額 | 2015年4月以降 開始事業年度 |
2016年4月以降 開始事業年度 |
2018年4月以降 開始事業年度 |
2019年4月以降 開始事業年度 |
全ての部分 | 23.9% | 23.4% | 23.2% | 23.2% |
年所得金額 | 税額 |
全ての部分 | 1億円×23.2%=2,320万円 |
公益法人等の税率
公益法人等とは公益を目的とする法人で宗教法人、学校法人、公益社団法人、公益財団法人等をいい、収益事業を行った場合には法人税を納税する義務があります。
収益事業とは、販売業や製造業等(全部で34種類)の収益を得るための事業で、継続して事業場を設けて行うものをいいます。収益の獲得を目的とした事業は原則として収益事業になります。
・公益社団法人、公益財団法人、非営利型法人、公益法人等とみなされているもの
年所得金額 | 2015年4月以降 開始事業年度 |
2016年4月以降 開始事業年度 |
2018年4月以降 開始事業年度 |
2019年4月以降 開始事業年度 |
800万円以下の部分 | 15% | 15% | 15% | 15%(※) |
800万円超の部分 | 23.9% | 23.4% | 23.2% | 23.2% |
(※)適用除外事業者は19%
公益法人等とみなされているものとは、認可地縁団体、管理組合法人、団地管理組合法人、法人である政党等、防災街区整備事業組合、特定非営利活動法人、マンション建替組合、マンション敷地売却組合をいいます。
・その他の公益法人等
年所得金額 | 2015年4月以降 開始事業年度 |
2016年4月以降 開始事業年度 |
2018年4月以降 開始事業年度 |
2019年4月以降 開始事業年度 |
800万円以下の部分 | 15% | 15% | 15% | 15%(※) |
800万円超の部分 | 19% | 19% | 19% | 19% |
協同組合等の税率
協同組合等とは、組合員の相互扶助を目的とするもので農業協同組合、漁協共同組合、信用金庫などをいいます。
年所得金額 | 2015年4月以降 開始事業年度 |
2016年4月以降 開始事業年度 |
2018年4月以降 開始事業年度 |
2019年4月以降 開始事業年度 |
800万円以下の部分 | 15% | 15% | 15% | 15%(※1,2) |
800万円超の部分 | 19%(※2) | 19%(※2) | 19%(※2) | 19%(※2) |
(※1)適用除外事業者は19%
(※2)特定の協同組合等(一定規模以上の組合等)の年所得金額10億円超の部分については22%の税率になりますが適用除外事業者(※1)の税率は適応されません
(※3)協同組合等が連結親法人の場合は税率が異なります
人格のない社団等の税率
人格のない社団等とは、法人ではない社団又は財団で代表者又は管理人が定められているもので、具体的にはPTA、同窓会、同業者団体等が該当します。人格のない社団等は収益事業を行った場合には法人税を納税する義務があります。
年所得金額 | 2015年4月以降 開始事業年度 |
2016年4月以降 開始事業年度 |
2018年4月以降 開始事業年度 |
2019年4月以降 開始事業年度 |
800万円以下の部分 | 15% | 15% | 15% | 15%(※) |
800万円超の部分 | 23.9% | 23.4% | 23.2% | 23.2% |
(※)適用除外事業者は19%
特定の医療法人の税率
特定の医療法人とは、医療の普及や向上、社会福祉への貢献などに著しく寄与し、公的に運営されている一定の医療法人で国税庁長官の承認を受けたものをいいます。
年所得金額 | 2015年4月以降 開始事業年度 |
2016年4月以降 開始事業年度 |
2018年4月以降 開始事業年度 |
2019年4月以降 開始事業年度 |
800万円以下の部分 | 15% | 15% | 15% | 15%(※1) |
800万円超の部分 | 19% | 19% | 19% | 19% |
(※1)適用除外事業者の場合は19%
(※2)特定の医療法人が連結親法人の場合は税率が異なります
法令等
この記事は2020年4月1日現在の法令等に基づいて書かれています。また、この記事は税法学習者に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。