2.6 欠損金の繰越しと繰戻し

昨年は赤字だったけど今年は黒字になった、でも2年間通算で考えればまだ赤字なんてこともあると思います。このような場合、今年は黒字だったので法人税を納めないといけないのでしょうか?欠損金が生じた場合の取り扱いを説明します。

欠損金の概要

欠損金とは

法人税の額は益金から損金を控除した金額(所得金額)に法人税の税率を掛けて計算しますが、損金の額が益金の額よりも大きい場合、所得金額がマイナスになってしまいます。このように所得金額がマイナスになったものを欠損金といいます。

(例)益金が600万円、損金が1,000万円の場合
益金から損金を引いた金額が所得金額になりますが、計算するとマイナス400万円ですので、欠損金が400万円ということになります。

欠損金が発生した場合、法人税の額は0円になり、一定の要件を満たす場合には欠損金の繰越控除(翌事業年度以降の所得と相殺)または繰戻還付(既に納付した法人等の還付)をすることができます。

欠損金の取り扱い

欠損金が発生した場合、それが青色申告法人の欠損金なのか、それともそれ以外の法人(白色申告法人)の欠損金なのかで、繰越控除又は繰戻還付の適用可否が異なっています。

・青色申告法人の欠損金
繰越控除または繰戻還付の適用があります。ただし欠損金が発生した事業年度末の資本金が1億円超の法人等については原則としてて繰越控除のみ適用できます(解散等した場合、災害で損失が発生した場合などに限って繰戻還付の適用ができます)

青色申告について詳しい解説は1.4 青色申告とはをご覧ください

・それ以外の法人(白色申告法人)の欠損金
原則として繰越控除、繰戻還付ともに適用ありません(災害で損失が発生した場合などに限って繰戻還付の適用ができます)

青色欠損金の繰越控除

過去10年以内(正確には事業年度開始の日前10年以内に開始した各事業年度。2018年3月31日以前に開始した事業年度に発生した欠損金については7年以内または9年以内)に欠損金が生じた場合、翌事業年度以降の損金の額に算入できます。

欠損金は翌事業年度以降10年間繰越すことができ、翌事業年度以降の所得金額と相殺できるということです。

ただし、この取り扱いは欠損金が発生した事業年度に青色申告書を提出し、かつ、その後毎事業年度確定申告書を提出していることが条件です(繰戻還付の対象となった欠損金は繰越控除ができません)

(例)4月1日から3月31日が事業年度の株式会社です。ある事業年度に青色欠損金が1,500万円発生、翌事業年度以降はいつも100万円の所得金額の場合。毎期確定申告書を提出しています。
発生した欠損金1,500万円は翌事業年度以降10年間繰り越すことができます。その結果+1年度から+10年度の欠損金控除後の所得金額は毎事業年度0円になります。ただし、欠損金は+11年度には繰越せませんので、+10年度終了時に残った欠損金500万円は切り捨てられます。

中小法人等以外の控除限度額

中小法人等以外の法人は青色欠損金の繰越控除に限度額があり、次の控除限度額までしか繰越控除することができません。

・控除限度額

(用語の解説)中小法人等
・普通法人(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、一般社団法人、一般財団法人、医療法人など)のうち資本金または出資金が1億円以下のもの、資本金または出資金がないもの。ただし資本金5億円以上の法人の100%子法人などを除く。
・公益法人等
・協同組合等
・人格のない社団等
(例)資本金3億円の株式会社で、当事業年度(2018年4月1日から2019月3月31日)の所得金額が1,200万円でした。毎期確定申告書を提出しており、前事業年度から1,000万円の青色欠損金を繰り越しています。
資本金が1億円を超えている普通法人なので、2018年4月1日以降開始する事業年度の控除限度額は所得金額×50%です。
控除限度額:1,200万円×50%=600万円
控除後の所得金額:1,200万円-600万円=600万円

青色欠損金の繰戻還付

青色申告書を提出する中小法人等は、青色欠損金の繰越控除の代わりに前事業年度(正確には欠損金が発生した事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度)に納めた法人税の還付を請求することができます(繰戻還付)

一方、中小法人等以外の法人は原則として繰戻還付が適用できませんが、法人が解散等した場合などに限って繰戻還付の適用ができます。

なお、繰戻還付をするには前事業年度から欠損金が発生した事業年度まで青色申告書を提出し、かつ欠損金が発生した事業年度の青色申告書が期限内に提出していないといけません。

・還付金額の計算

(例)前事業年度は所得金額が1,000万円で法人税150万円、当事業年度は欠損金が500万円でした(各事業年度は4月1日から3月31日の中小法人で、青色申告書を提出しています)
・還付請求できるか否かの判定

資本金1,000万円の中小法人で青色申告の要件を満たしているため還付請求できます
・還付請求金額
前事業年度の法人税額150万円×(当事業年度の欠損金額500万円÷前事業年度の所得金額1,000万円)=還付金額75万円

白色申告法人の欠損金

青色欠損金の繰越控除や繰戻還付は青色申告書を提出していることが条件のため、青色申告書を提出していない法人(白色申告法人)は、これらの繰越控除や繰戻還付の適用がありません。

ただし、白色申告法人であっても災害により欠損金が発生したなど一定の要件を満たす場合には欠損金の繰越控除や繰戻還付ができます。

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1.4 青色申告とは
2.1 法人税の計算の全体像

法令等

この記事は2019年1月31日現在の法令等に基づいて書かれています。