2.6 欠損金の繰越しと繰戻し

昨年度は赤字だったけど今年度は黒字になった、でも2年間通算で考えればまだ赤字ということもあると思います。このような場合、今年度は黒字だったので法人税を納めないといけないのでしょうか?欠損金が生じた場合の取り扱いを解説します。

欠損金の取り扱い

欠損金とは

法人税の額は益金の額から損金の額を控除した金額(所得金額)に税率を乗じて計算しますが、損金の額>益金の額の場合には所得金額がマイナスになってしまいますが、このようなマイナスになった所得を欠損金といいます。

欠損金が生じた場合には、法人税は原則として0円になりますが一定の要件を満たす場合には「繰越控除(欠損金を翌事業年度以降の所得と相殺)」又は「繰戻還付(既に納付した法人税の還付)」をすることができます。

青色申告法人の欠損金

青色申告法人で生じた欠損金は、欠損金が発生した事業年度末の資本金等に応じて次のとおり繰越控除のみ適用可能な場合と、繰越控除と繰戻還付から法人が選択できる場合があります。

青色申告について詳しい解説は青色申告とはをご覧ください。

白色申告法人の欠損金

白色申告法人(青色申告法人以外)で発生した欠損金は、災害で発生した欠損金等を除いて繰越控除や繰戻還付はできません。

青色欠損金の繰越控除

原則

青色申告法人で、過去10年以内(事業年度開始の日前10年以内に開始した各事業年度。2018年3月31日以前に開始した事業年度に発生した欠損金については7年又は9年以内)に欠損金が発生した欠損金がある場合は、各事業年度の所得金額から控除できます。ただし、繰戻還付の対象となった欠損金を除きます。

なお、この取り扱いは欠損金が発生した事業年度に青色申告書を提出し、かつ、その後毎事業年度に確定申告書を提出していることが条件とされています。

(例)4月1日から3月31日が事業年度の青色申告法人(中小法人に該当)。欠損金が1,500万円発生し、その後は毎期100万円の所得金額の場合。
発生した青色欠損金1,500万円は10年間繰越すことができます。10年間のうちに控除しきれなかった青色欠損金500万円は切り捨てられます。

所得金額 青色欠損金
繰越控除後の
所得金額
前期から繰越 繰越控除 翌期への繰越
欠損金発生 ▲1,500万円 0万円 1,500万円 0万円
+1年度 100万円 1,500万円 ▲100万円 1,400万円 0万円
+2年度 100万円 1,400万円 ▲100万円 1,300万円 0万円
+3年度 100万円 1,300万円 ▲100万円 1,200万円 0万円
+4年度 100万円 1,200万円 ▲100万円 1,100万円 0万円
+5年度 100万円 1,100万円 ▲100万円 1,000万円 0万円
+6年度 100万円 1,000万円 ▲100万円 900万円 0万円
+7年度 100万円 900万円 ▲100万円 800万円 0万円
+8年度 100万円 800万円 ▲100万円 700万円 0万円
+9年度 100万円 700万円 ▲100万円 600万円 0万円
+10年度 100万円 600万円 ▲100万円 0万円
(切り捨て)
0万円

中小法人等以外の控除限度額

中小法人等以外の繰越控除は次の控除限度額を上限とします。

繰越控除する事業年度 控除限度額
2012年4月1日から2015年3月31日に開始する事業年度 所得金額×80%
2015年4月1日から2016年3月31日に開始する事業年度 所得金額×65%
2016年4月1日から2017年3月31日に開始する事業年度 所得金額×60%
2017年4月1日から2018年3月31に開始する事業年度 所得金額×55%
2018年4月1日以降に開始する事業年度 所得金額×50%
中小法人等とは
次のいずれかに該当するものをいいます。

中小法人等
(1) 普通法人のうち資本金又は出資金が1億円以下のもの、資本金又は出資金がないもの
(資本金5億円以上の法人の100%子法人などを除く)
(2) 公益法人等
(3) 協同組合等
(4) 人格のない社団等
(例)資本金3億円の株式会社です。当事業年度(2019年4月~2020月3月)の所得金額は1,200万円、前事業年度から青色欠損金1,000万円を繰り越しています。
中小法人等ではないため所得金額×50%が控除限度額になります。
控除限度額:1,200万円×50%=600万円
控除後の所得金額:1,200万円ー600万円=600万円

青色欠損金の繰戻還付

青色申告書を提出する中小法人等は、繰越控除に代えて欠損金が発生した事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度(還付所得事業年度)に納付した法人税の還付を請求することができます。

ただし、この取り扱いを受けるには欠損金が発生した事業年度の青色申告書が期限内に提出し、かつ、還付所得事業年度から欠損金が発生した事業年度までの毎期に青色申告書を提出している必要があります。

中小法人等以外の法人であっても法人が解散等した場合等の場合には繰戻還付を請求することができます。

(例)青色申告書を提出する中小法人です。前事業年度の所得金額1,000万円(法人税額150万円)、当事業年度は欠損金500万円でした。
青色申告書を提出する中小法人のため還付を請求することができます。

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1.4 青色申告とは
2.1 法人税の計算の全体像

法令等

この記事は2020年1月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、この記事は税法学習者に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。

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