2.4.3.1 少額減価償却資産と一括償却資産とは

減価償却資産であっても少額なものや使用可能期間が短いものは、通常の減価償却の方法ではなく、簡便な計算で取得価額を損金にすることができます。

簡便な計算

減価償却資産は、その耐用年数にわたって取得価額を損金にしていくのが原則ですが、減価償却資産の取得価額や使用可能期間によっては、簡便な計算によって取得価額を損金にすることが認められています。

少額又は使用可能期間1年未満の減価償却資産

取り扱い

取得した減価償却資産の使用可能期間が1年未満又は取得価額が10万円未満の場合、減価償却資産を事業の用に供した事業年度に、取得価額の全額を損金にできます。ただし、この取り扱いの適用は、法人の帳簿で取得価額の全額を損金経理(費用又は損失として経理処理)している場合に限ります。

(例1)製品の製造機械を100万円で購入し、使用開始とともに全額を損金経理しました。この機械は消耗が激しく約半年ごとに新品に買い替えています。
条件1:半年ごとに新品に買い替えている(使用可能期間1年未満)
条件2:使用開始とともに全額を損金経理した
機械の使用を開始した事業年度に取得価額の全額を損金にできます。
(例2)5万円で購入した本棚を事務所に設置し、固定資産に計上しました。
条件1:5万円で購入した(取得価額10万円未満)
条件2:固定資産に計上した(損金経理していない)
取得価額を固定資産に計上しているため、減価償却によって損金に算入します。

使用可能期間1年未満の判定

使用可能期間が1年未満の減価償却資産とは、その業種(例えば、紡績業、鉄鋼業、建設業等の業種)で、一般的に消耗性の資産として認識されていて、かつ、その法人の過去3年間の平均的な使用状況や補充常況等から判断して使用可能期間が1年未満のものをいいます。

10万円未満の判定

・判定する単位

取得価額が10万円未満かどうかは、例えば機械装置であれば1台又は1基ごと、工具や器具備品については1個、1組又は1揃いごとに判定します。ただし、枕木や電柱等のように単独では使えないものは一つの工事ごとに計算します。

(例)テーブルにソファ4脚の応接セットを12万円で購入しました。ソファを単独で購入した場合は一脚2万円です。
テーブルとソファ4脚で一組の応接セットですので、10万円未満かどうかは、応接セット単位で判定します。一組12万円ですので少額の減価償却資産にはなりません。

・消費税

取得価額が10万円未満かどうかは、消費税を税込み経理で記帳している場合は税込み額で、税抜き経理で記帳している場合は税抜き額で判定します。

(例)テレビを税込み104,500円(消費税10%)で購入し、次の経理処理をしました。
(借方)消耗品   95,000円  (貸方)現金104,500円

(借方)仮払消費税 9,500円
税抜き経理をしているため10万円未満の判定は税抜き額で行います。税抜き額95,000円ですので、少額の減価償却資産になります。

一括償却資産

取り扱い

取得価額が20万円未満の減価償却資産を事業の用に供した場合は、それらの資産の全部又は一部を一括して、次の計算式で計算した損金算入限度額まで損金にできます。ただし、損金にできるのは、損金経理している金額に限ります。

(例)2018年4月から2019年3月までの事業年度に使用開始した次の減価償却資産について、一括償却を行います。各事業年度とも、損金算入限度額を損金経理します。

使用開始時期 使用開始した資産 取得価額
2018年4月 コンピュータ 15万円
2018年12月 オフィス用の備品 30万円
2019年1月 テレビ 12万円

コンピュータとテレビ:
取得価額が20万円未満のため、一括償却できます。
損金算入限度額=(コンピュータ15万円+テレビ12万円)×12月/36月=9万円
オフィス用の備品:
取得価額が20以上のため、通常の減価償却資産として減価償却します。

損金算入限度超過額

一括償却資産は損金経理している金額に限って損金にできますが、損金算入限度額を超えて損金経理した金額は、その事業年度の損金にならず、翌事業年度に損金経理したものとみなします。

(例)2018年4月から2019年3月までの事業年度に使用開始した次の減価償却資産について、一括償却を行います。取得価額は2018年度に全額損金経理しました。

使用開始時期 使用開始した資産 取得価額
2018年4月 コンピュータ 15万円
2019年1月 テレビ 12万円

損金算入限度額:(コンピュータ15万円+テレビ12万円)×12月/36月=9万円
2018年度の損金経理額:27万円
2018年度の損金算入限度超過額:27万円ー9万円=18万円(翌事業年度に損金経理したものとみなす)

年度 取得価額 損金経理額 損金算入
限度額
損金算入
限度超過額
損金算入額
2018年度 27万円 27万円 9万円 18万円 9万円
2019年度 (2018年の損金算入限度超過額)
18万円
9万円 9万円 9万円
2020年度   (2019年の損金算入限度超過額)
9万円
9万円 0万円 9万円

20万円未満の判定

取得価額が20万円未満かどうかを判定する際の、判定する単位や消費税については、少額又は使用可能期間1年未満の減価償却資産の判定に同様に行います(こちらをご覧ください)

中小企業者等の特例

取り扱い

取得価額30万円未満の減価償却資産を取得し、次の全ての要件を満たす場合には、取得価額の全額を、事業の用に供した事業年度の損金にすることができます。

要件
1. 青色申告法人である中小企業者や農業協同組合等であること
2. 常時使用する従業員数が1,000人以下であること
3. 2006年4月1日から2020年3月31日までに取得等して事業の用に供していること
4. 事業の用に供した事業年度に取得価額の全額を損金経理していること
中小企業者とは
次のいずれかの要件を満たす法人をいいます。

中小企業者の要件
資本金又は出資金が1億円以下の法人(ただし以下のものを除く)
・同一の大規模法人に発行済株式等の2分の1以上を所有されている法人
・複数の大規模法人に発行済株式等の3分の2以上を所有されている法人
資本又は出資がなく、かつ、常時使用する従業員数が1,000人以下の法人

上記の要件を満たしても、過去3年間の平均所得金額が15億円を超える法人は中小企業者にはなりません(2019年4月以降に開始する事業年度から)

限度額

中小企業者等の特例は、適用を受ける減価償却資産の取得価額の合計が、各事業年度300万円(事業年度が1年未満の場合は「300万円×事業年度の月数/12」)までを限度とします。

30万円未満の判定

取得価額が30万円未満かどうかを判定する際の、判定する単位や消費税については、少額又は使用可能期間1年未満の減価償却資産の判定に同様に行います(こちらをご覧ください)

選択可能な方法のまとめ

減価償却資産の使用可能期間と取得価額から選択可能な方法をまとめたものです。

関連記事

2.4.3 減価償却資産の取得価額と償却費

法令等

この記事は2018年12月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、記事の内容は税法の一般的な取り扱いについての解説ですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。