2.4.2 有価証券の取り扱い

株券や社債券などの有価証券を保有している会社も少なくありませんが、法人税の計算では有価証券の取得価額や期末評価額を法人税のルールにしたがって計算しないといけません。

有価証券の範囲

一般的に有価証券といえば、株券や社債券といった金融証券取引法で定められたものを思いつきますが、法人税でいうところの有価証券にはそれ以外に法人税法施行規則で独自に定めたものを含みます。

有価証券の取得価額

有価証券を購入した場合や金銭の払い込みによって有価証券を取得した場合、次のように取得価額を計算します。

(1)購入した有価証券
(信用取引等、デリバティブ取引による現物の取得の場合を除きます)
取得価額:購入代価+購入のために使った費用(購入手数料など)
ただし、有価証券を取得するために要した通信費、名義書換料の額は取得価額に含めず損金にすることができます。

(2)金銭の払い込み又は金銭以外の資産の給付によって取得した有価証券
(適格現物出資などで取得した有価証券を除きます)
取得価額:払い込んだ金額、または給付した資産の価額

(3)株式等無償交付により取得した株式又は新株予約権
(新株予約券社債の新株予約権などは除は除きます)
取得価額:0円

一単位当たりの帳簿価額

同じ銘柄の有価証券を異なる単価で追加取得した場合、一単位当たりの帳簿価額(平均単価)は移動平均法または総平均法のうち税務署長に届け出た方法で計算します。

移動平均法

同じ銘柄の有価証券を取得する都度、一単位当たりの帳簿価額(平均単価)を再計算する方法です。

(例)A株式会社の株式を次のとおり保有しています。

(解答)
移動平均法では有価証券を取得する都度に平均単価を再計算します。
4/30は帳簿価額が合計1,500万円(400万円+1,100万円)、保有株数が1,500株ですので平均単価は10,000円になります。
同様の計算を続けていくと、10/31の譲渡時の平均単価は11,000円になりますので、15,000円で2,000株譲渡すると800万円の譲渡益になります。

総平均法

同じ銘柄の有価証券について、前期繰越分と当期取得分の全ての平均単価を一単位当たりの帳簿価額とする方法です。

(例)A株式会社の株式を次のとおり保有しています。

(解答)
前期繰越分と当期取得分の取得価額合計額は4,700万円、4,000株ですので、平均単価は11,750円になります。
10/31の譲渡では平均単価は11,750円のところ、15,000円で2,000株譲渡しているため650万円の譲渡益になります。

所轄税務署長への届出

新たに有価証券を取得した場合、一単位あたりの帳簿価額を移動平均法で計算するか、それとも総平均法で計算するかを納税地を所轄する税務署長に届け出ないといけません。

届出なかった場合は移動平均法によって一単位あたりの帳簿価額を計算することになります。

有価証券の期末評価方法

法人が事業年度末に保有する有価証券については、その有価証券が(1)売買目的有価証券、(2)満期保有目的等有価証券、(3)その他の有価証券のいずれに該当するかに応じて時価法または原価法で評価額を計算します。

時価法

銘柄ごとに事業年度末の時価を評価額とする方法です。移動平均法または総平均法で計算した帳簿価額と、事業年度末の時価に差がある場合は、差額を評価益(益金)または評価損(損金)にします。

評価益または評価損になった金額は、翌事業年度に取り消され損金または益金になります。

有価証券の時価

・取引所売買有価証券
公表された事業年度末の最終売買価格
・店頭売買有価証券及び取扱有価証券
公表された事業年度末の最終売買価格
・その他価格公表有価証券
公表された事業年度末の最終売買価格
・その他有価証券
事業年度末の帳簿価額(ただし償却期限及び償却金額が決まってる場合は償却原価法を適用した金額、その他合理的な方法によって計算した金額)

(例)売買目的の株式を1,000株保有しています。一株あたりの帳簿価額1,000円、事業年度末(3/31)の取引所の最終売買価額は1,200円でした。
時価1,200円ですので事業年度末の評価額は1,200,000円になります。
帳簿価額1,000,000円との評価額との差額200,000円は評価益として益金になります。

原価法

移動平均法または総平均法で計算した一単位当たりの帳簿価額をそのまま期末評価額とする方法です。

(例)長期保有目的の株式を1,000株保有しています。一株あたりの帳簿価額1,000円、事業年度末(3/31)の取引所の最終売買価額は1,200円でした。
一株あたりの帳簿価額がそのまま事業年度末の評価額になりますので、期末評価額は1,000,000円(@1,000円×1,000株)になります。

償却原価法

償還期限と償還金額が決まっている有価証券について、帳簿価額と償還金額との差額を期間の応じて調整していく方法です。

帳簿価額と償還金額を比較して、帳簿価額の方が小さい場合は期間に応じて益金に、帳簿価額の方が大きい場合は損金にしていきます。

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2.1 法人税の計算の全体像

法令等

この記事は2018年12月31日現在の法令等に基づいて書かれています。