2.3 損金の計算の基礎

法人税は益金から損金を控除して計算した所得金額に法人税率を乗じて税額を計算しますが、損金とは何か?どのように計算するか?についてその基礎を解説します。

損金とは?

法人税の損金とは企業会計の費用に相当するものですが、若干違う部分があるため決算書の利益額は法人税の所得金額と一致しません。したがって、損金をどのように計算するのかを正しく理解することは法人税を計算する上でとても大切です。

損金の原則

損金は原則として次の(1)~(3)のものをいいます(ただし別段の定めによってこれらとは違う取り扱いが定められている場合があります)。

(1)売上原価、完成工事原価などの原価

商品や製品といった棚卸資産を売った場合の原価や、工事を請け負った場合の完成工事原価などは損金になります。

売上原価は次の計算式で計算します。

(例)期首に商品が10万円ありました。当期中の商品仕入れが50万円仕入、期末残高が20万円の場合。
 期首残高10万円+当期仕入れ50万円-期末残高20万円=40万円が売上原価として損金になります。

(2)販売費及び一般管理費、営業外費用

販売費及び一般管理費とは給与や家賃、光熱費、償却費等の費用、営業外費用とは借入金の利息等の費用をいい、これらについては償却費を除いて債務が確定している場合には損金になります。

したがって、これらの費用は対価の支払いが終わっていなくても(未払いであっても)、債務が確定していれば損金になる一方で、債務が確定する前に手付金等として前払いしても損金にはなりません。

債務が確定しているとは次の1~3の要件を満たすものをいいます。

債務確定の3要件
1. 債務が成立している
2. 給付の原因となる事実が発生している
3. 金額を合理的に計算できる
(例)事務所の修繕を業者に依頼(契約)した場合
工事が完了し、かつ見積書などで金額がわかる場合は債務が確定していると言えるため、損金になります。
この例では、1.契約が成立していない(依頼されていない)、2.修繕が完了していない、3.修理代金がいくらなのか全然わからないというような場合には債務が確定しているとは言えませんので損金にすることができません。

(3)特別損失

特別損失とは、土地や建物といった固定資産の売却による損失や災害による損失などをいいます。

別段の定め(特別な取り扱い)

法人税の計算で損金になるものは原則として上記の(1)から(3)ですが、これらとは異なった例外的な取り扱いがされるものがあります。ここでは例外的な取り扱いの代表的なものとして役員給与、交際費等、寄附金の三つを紹介します。

役員給与

役員給与とは一般的に言われる役員報酬と役員賞与を合わせたものをいい、企業会計では費用として取り扱いますが、法人税では定期同額の役員給与(毎月同額支給される役員報酬)などの一定の要件を満たすもの以外は損金になりません。

・定期同額の役員給与の例
毎月同額を支払っている役員報酬は定期同額給与として損金になります。

役員給与についての詳しい解説は役員給与(報酬、賞与)の取り扱いをご覧ください。

交際費等

交際費等とは得意先や仕入先など事業に関係のある人に対する接待交際や贈答等の費用のことですが、交際費等は一定の方法で計算した金額を除いて損金にできません。

これは法人税では交際費等を冗費(無駄遣い)と考えており、冗費の抑制を促すため交際費等を支出しても損金算入に制限を設けているからです。

交際費等についての詳しい解説は交際費等を支出した場合をご覧ください。

寄附金

法人が慈善団体などに金銭や物品などを寄附することもありますが、寄附金は法人の営業活動とは直接関係しないもので、支出した寄附金を無制限に損金として認めた場合、寄附するほど損金が増えて法人税が減少する結果になります。

そこで法人税では寄附金の損金算入に一定の制限を設けて、法人がその制限を超えた金額の寄附をしても損金にならないことになっています。なお、法人税の寄附金は金銭などの資産の贈与の他に、無償による経済的な利益の提供なども含まれます。

寄附金についての詳しい解説は寄附金を支出した場合をご覧ください。

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2.1 法人税の計算の全体像

法令等

この記事は2019年10月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、このサイトは税法を学ぶ方に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。