法人税で認められる3種類の貸倒損失とは?

保有する売掛金や貸付金等の金銭債権が回収できないことを貸倒れと言いますが、一口に貸倒れと言っても債務者の倒産による場合もあれば、存続しているものの支払いに応じてもらえといった場合もあります。そこで、法人税では「どのような事実をもって貸倒れと判断するか?」について厳格に定義しています。

貸倒れとは?

法人税では貸倒れを次の3つに区分して、それぞれ貸倒損失が損金に算入される時期や金額を定めています。

法律上の貸倒れ

会社更生法による更生計画認可の決定等によって金銭債権が切り捨てられた場合や、債務者に債務免除した場合(債務者の債務超過状態が相当期間継続して金銭債権の弁済を受けられないと認められる場合に限る)などを法律上の貸倒れといい、金銭債権の切捨て又は債務免除した事業年度の損金になります。

なお、事実上の貸倒れや形式上の貸倒れでは貸倒損失として経理処理する必要がありますが、法律上の貸倒れでは会社の経理処理に関わらず、金銭債権の切捨て又は債務免除した事業年度の損金になります。

(例)当事業年度にA社に対する貸付金1,000万円のうち900万円が会社更生法で切り捨てられました。何も経理処理をしていません。
法律上の貸倒れですので経理処理に関わらず債権が切り捨てられて事業年度の損金になります。したがって、切り捨てられた900万円は当事業年度の損金になります。

事実上の貸倒れ

債務者の資産状況や支払能力等からみて金銭債権の全額が回収できないことが明らかな場合には(担保物がある場合を除く)、貸倒損失として経理処理することを条件に、金銭債権の全額を損金にすることができます。ただし、金銭債権の一部だけを貸倒損失として損金にすることはできません。

(例)既に営業停止しているB社に対して1,000万円の売掛金がありますが、B社の資産状況等を調査したところ、売掛金の全額回収不能が明らかになったため売掛金の全額1,000万円を貸倒損失として経理処理しました。
貸倒損失として経理処理した1,000万円が損金になります。

形式上の貸倒れ

継続取引していた債務者の資産状況や支払能力等が悪化したため取引停止を行い、取引停止後1年以上経過した場合や、同一地域の債務者に対する取立費用が売掛債権よりも多く、債務者が支払いの督促に応じない場合には、貸倒損失として経理処理することを条件に売掛債権から1円(備忘価額)を控除した金額を損金にすることができます。

ただし、不動産の売却のように「たまたま行った取引」は継続取引ではないため形式上の貸倒れの対象にはなりません。

(例)C社を顧客として継続的に取引していましたが、経営悪化による支払遅延が増えたため取引を停止しました。売掛金100万円が残っていますが、最後の取引から1年経過したため備忘価額1円を控除した金額を貸倒損失として経理処理しました。
貸倒損失として経理処理した999,999円が損金になります。

法令等

この記事は2020年4月1日現在の法令等に基づいて書かれています。また、この記事は税法学習者に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。

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