2.3.6 貸倒損失が発生したら

法人が保有する売掛金や貸付金などの金銭債権が回収できない場合、一般的には貸倒れと言いますが、ひとくちに貸倒れと言っても、もう少し詳しく見てみると単純に支払いに応じてもらえない場合もあれば債務者が破産したような場合もあります。

法人税ではどのような場合に貸倒れを損金にできるのか解説します。

貸倒損失の概要

法人税では次の3種類を貸倒損失として認めていて、それぞれ損金に算入する金額を定めています。

法律上の貸倒れ

内容:会社更生法などによって金銭債権の全部または一部が切り捨てられた場合、法律上の貸倒れといいます。
取り扱い:切り捨てられた金銭債権の金額が損金になります。

事実上の貸倒れ

内容:債務者の資産状況や支払能力などから考えて、金銭債権の全額が回収できないことが明らかになった場合、事実上の貸倒れといいます。
取り扱い:貸倒損失として経理処理した場合、金銭債権の全額が損金になります

形式上の貸倒れ

内容:債務者との取引停止から1年以上経過した場合など一定の事実がある場合、形式上の貸倒れといいます。
取り扱い:売掛債権について貸倒損失として経理処理した場合、備忘価額(1円)を除いた金額が損金になります。

法律上の貸倒れ

会社更生法によって金銭債権が切り捨てられたなど法律上の貸倒れがあった場合、金銭債権の切捨て又は債務免除した事業年度の損金になります。

この後解説する事実上の貸倒れや形式上の貸倒れでは、貸倒れを貸倒損失として経理処理しなければ損金になりませんが、法律上の貸倒れでは他の貸倒れと違って経理処理に関係なく、金銭債権の切捨て等があった事業年度の損金になります。

(例)当事業年度にA社に対する貸付金1,000万円のうち900万円が会社更生法で切り捨てられました。当社では何も経理処理していません。
貸倒損失として経理処理していませんが、切り捨てられた900万円は当事業年度の貸倒損失として損金になります。

事実上の貸倒れ

債務者の資産状況や支払能力などから考えて金銭債権の全額が回収できないことが明らかな場合(担保物がある場合を除く)、貸倒損失として経理処理することを条件に金銭債権の全額を損金にすることができます。

金銭債権の一部についてだけを損金にすることはできません。

(例)B社に対する売掛金1,000万円を持っていますが、B社はすでに営業を休止しています。B社の資産状況などを調査したところ、売掛金の全額が回収できないことが明らかになったため売掛金の全額1,000万円を貸倒損失として経理処理しました。
貸倒損失として経理処理した1,000万円が損金になります。

形式上の貸倒れ

売掛債権について債務者との取引停止後1年以上経過したなどの事実がある場合には、貸倒損失として経理処理することを条件に売掛債権から備忘価額(1円)を控除した金額を損金にすることができます。

形式上の貸倒れの対象になる売掛債権には、不動産取引のようにたまたま行った取引に対する売掛債権は含みません。

(例)C社を顧客として継続的に取引していましたが、たびたび支払が遅延するようになったため取引を停止しました。売掛金100万円が残っていますが、最後の取引から1年経過したため備忘価額1円を控除した999,999円を貸倒損失として経理処理しました。
貸倒損失として経理処理した999,999円が損金になります

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法令等

この記事は2019年1月31日現在の法令等に基づいて書かれています。