2.3.4 寄附金の取り扱い

寄附金は法人の営業活動とは直接関係しないもので、また寄附金を無制限に損金として認めた場合、寄附するほど法人税が減少して、結果として寄附金の一部を国が負担したことになります。

そこで法人税では寄附金の損金算入に一定の制限を設けて、それを超えて寄附をしても損金にならないことになっています。

寄附金の範囲

一般的に寄附金というと慈善団体などへの寄附金を思い浮かべるかもしれませんが、法人税でいうところの寄附金はもう少し範囲が広く、法人が行う金銭などの資産の贈与の他に、無償による経済的な利益の提供なども含まれます。

言い換えれば、お金や物を無料であげたり、本来ならもらうはずの代金をもらわなかった場合は寄附金になります。

寄附金の具体例

金銭の贈与

金銭を贈与した場合、贈与した金額が寄附金の額になります。

(例)慈善団体へ100万円を寄附した場合
寄附金の額は100万円になります。
(借方)寄附金 100万円 (貸方)現金預金 100万円

物品の贈与

物品を贈与した場合は贈与した時の時価が寄附金になります。

(例)慈善団体に自動車3台(簿価300万円、時価500万円)を贈与した場合
贈与した時の時価500万円が寄付金になります。具体的には最初に簿価300万円の自動車を時価500万円で譲渡して、次にその500万円を寄附したと考えます。
・自動車の譲渡
(借方)現金預金 500万円 (貸方)車両運搬具 300万円
(貸方)譲渡益 200万円
・寄附金の支出
(借方)寄附金 500万円  (貸方)現金預金 500万円

無償による経済的利益の供与

サービスなどを無償で提供した場合は、無償による経済的利益の供与として提供した時の時価が寄附金になります。

(例)お金を貸して本来100万円の利息をもらうべきところ、利息をもらわなかった場合
経済的利益を供与した時の時価(本来もらうべき100万円)が寄付金になります。具体的には最初に利息100万円を受け取り、次にその100万円を寄附したと考えます。
・利息の受け取り
(借方)現金預金 100万円 (貸方)受取利息 100万円
・寄附金の支出
(借方)寄附金 100万円 (貸方)現金預金 100万円

低廉譲渡

時価よりも安い価額で資産を譲渡した場合は、譲渡時の時価と譲渡価額との差額が寄附金になります。

例えば1,000万円の建物を600万円で譲渡した場合、差額の400万円が寄付金になります。

(例)時価1,500万円、簿価1,000万円の土地を関係会社に300万円で譲渡した場合
土地の時価1,500万円と譲渡価額300万円の差額1,200万円が寄付金になります。具体的には、最初に土地を時価の1,500万円で譲渡して、次に1,200万円を寄附したと考えます。
・土地の譲渡
(借方)現金預金 1,500万円 (貸方)土地 1,000万円
(貸方)譲渡益 500万円
・寄附金の支出
(借方)寄附金 1,200万円  (貸方)現金預金 1,200万円

寄附金にならないもの

金銭等の贈与や無償による経済的な利益の供与等であっても、事業の経費として認められるものは寄附金になりません。

広告宣伝費などになるもの

金銭の贈与や無償による経済的利益の供与であっても、広告宣伝費や福利厚生費になるものは全額が損金になります。交際費等になるものについては交際費等として損金不算入額を計算します。

(例1)イベント協賛金として30万円を支出し当社のPRをしてもらった場合
当社のPRが目的でお金を支出し、実際に30万円分のPRがされたのであれば広告宣伝費になります。
(例2)全社員スポーツ大会を開催し、開催費用を会社が負担した場合
社員の福利厚生が目的のイベントですので原則として福利厚生費になります。
(例3)得意先にお歳暮として高級フルーツ盛り合わせを贈答した場合
得意先への贈答は交際費等になります。

子会社など整理をするための損失負担など

損失を負担したことについて相当な理由がある場合には、寄附金にはなりません(損金になります)

子会社などを再建するための無利息でも貸付けなど

無利息で貸し付けることについて相当な理由がある場合には、寄附金にはなりません(損金になります)

個人の負担すべき費用の肩代わり

役員などが個人で負担すべき費用を肩代わりした場合は、寄附金ではなく役員などに対する給与として取り扱います。
(例)役員が個人的に所有しているゴルフクラブの年会費を会社が負担した場合
役員に対する給与として取り扱います。

損金算入限度額

寄附金と言っても、例えば国や地方公共団体に対する寄附と取引先や関係会社に対する寄附金とでは寄附の趣旨が大きく違います。そこで法人税では寄附金を次の4種類に区分して、それぞれ損金に算入できる額を計算します。

国や地方公共団体に対する寄附金  

国や地方公共団体に対する寄附金は、全額支出した事業年度の損金になります。

財務大臣が指定した寄附金  

財務大臣が指定した寄附金(赤い羽根の募金や国立大学法人への寄附金など)は、全額支出した事業年度の損金になります。

特定公益増進法人等に対する寄附金  

特定公益増進法人(独立行政法人や学校法人、社会福祉法人など)や特定非営利活動法人に対する寄附金は、次の計算式で計算した限度額までが損金になります。限度額を超えた金額は一般の寄附金として取り扱います。

 

国外関連者に対する寄附金  

国外関連者(国外の親会社や兄弟会社など)への寄附金は全額が損金不算入になります。

一般の寄附金  

上記のいずれにも該当しない寄附金(例えば自治会や政治団体などへの寄附金)は、次の計算式で計算した限度額までが損金になります。

(例)当事業年度に支出した特定公益増進法人等への寄附金が1,000万円、一般の寄附金100万円のが以下の金額の場合。損金算入限度額は以下のとおり計算されました。

・特定公益増進法人等に対する寄附金
損金算入限度額800万円までが損金に算入されて、超過額200万円は一般の寄附金として取り扱います。
・一般の寄附金
一般の寄附金として支出された100万円と特定公益増進法人の超過額200万円の合計額300万円が一般の寄附金になります。損金算入限度額200万円を超える100万円が損金不算入になります。

関連記事

2.3 損金の計算の基礎

法令等

この記事は2018年12月31日現在の法令等に基づいて書かれています。