2.2 益金の計算の基礎

法人税は益金から損金を控除して計算した所得金額に法人税率を掛けて税額を計算します。益金とは何か?どのように計算するか?について説明します。

益金とは

法人税でいうところの益金とは会計の収益に相当するもので、益金の額と収益の額は原則として一致しますが少し違う部分があります。

益金の原則

益金とは原則として次の(1)~(7)のものをいいます。ただし、配当金を受け取った場合の益金不算入等この他に特別な取り扱いがされるものがあります

(1) 資産の販売による収益

商品や製品など棚卸資産の販売による収益のことです。

(例)原価1,500円の商品を2,000円で販売した場合
益金は販売価格の2,000円になります(損金は原価の1,500円、所得金額は差額の500円)

(2) 有償による資産の譲渡による収益

棚卸資産以外の資産(有価証券や固定資産など)を売ったことによる収益のことです。

(例)帳簿価額1,500万円の土地を2,000万円で譲渡した場合
益金は譲渡価額の2,000万円になります(損金は帳簿価額の1,500万円、所得金額は差額の500万円)

(3) 無償による資産の譲渡による収益

資産を無料であげた場合の収益のことです。間違わないでいただきたいのは、ここで言っているのは資産をもらった側の話ではなく、あげた側の益金になるということです。

益金の計算では、資産を無料であげた場合でも、その資産をいったん時価で売って、受け取った代金をすぐに返した(寄附した)と考えます。税法特有の考え方で慣れないと理解し難いのですが大切なポイントです。

(例)帳簿価額1,500万円、時価2,000万円の土地を無料で関連会社にあげた場合
①土地を引き渡す、②代金2,000万円を受け取る、③直後に受け取った代金を寄附した(返した)と考えます。益金は受け取ったと考える2,000万円になります。

(補足)法人税では受け取った直後に寄附した(返金)したと考えます。無意味に思えるのですが寄附したと考えるところがポイントです。法人税では寄附金の損金算入に一定の制限があり寄附をしても損金にならない場合があります。損金にならない場合②で受け取ったと考える分だけが益金になり、③で寄附したと考える分は損金にならない可能性があります。

(4) 有償による役務の提供による収益

有料でサービスを提供した場合の収益のことです。

(例)貨物を運送し、その料金として10万円もらう場合
益金は運送料金の10万円になります。

(5) 無償による役務の提供による収益

(3)に似ていますが、無料でサービスをした場合は、いったん代金を受け取り、受け取った代金をすぐに返した(寄附した)と考えます。

(例)通常料金10万円のところ、無料で関連会社の貨物の運送をした場合
実際には代金を受け取っていませんが、①いったん通常料金の10万円を受け取って、②その直後に寄附した(代金を返した)と考えますので益金は10万円になります。

(補足)無償による資産の譲渡にと同様に寄附したと考えるところがポイントで、法人税では寄附金の損金算入に一定の制限がありますので、①で受け取ったと考える分だけが益金になって、②で寄附した(返金した)と考える分は損金にならない可能性があります。

(6) 無償による資産の譲受による収益

資産を無料でもらった場合の収益です。資産を無料でもらって得をしたので、もらった資産の時価が益金になります。

(例)関連会社から時価10万円の商品を無料でもらった場合
関連会社から時価10万円の商品を無料でもらったので、その10万円が益金になります。
(補足)無料で資産をもらった場合、もらった資産の時価が益金になります。勘の良い方ならば「あれっ?」と思われたかもしれませんが、(3)でご説明したとおり無料であげた場合、あげた側も益金になります。あげた側ともらった側の両方で益金になる、そんな馬鹿なと言いたくなりますね…

(7) その他の取引の収益

(1)~(6)以外でも会計上の収益になるものは原則として全て益金になります。

益金の算入時期

上記(1)~(7)が益金の定義ですが、いつ益金になるのかは原則として次のとおり決められています。

・棚卸資産の販売や固定資産などの譲渡
資産を引き渡した日の属する事業年度の益金になります。

・サービス
サービスを行った日の属する事業年度の益金になります。

(例)3月末決算のコーヒーショップが2019年3月20日にコーヒーを販売した場合
お客さんにコーヒーを売った日(引き渡した日)の2019年3月20日は2018年度の一部ですので、2018年度の益金になります。

また、検針日や仕切精算書が届いた日などの属する事業年度の益金にすることも認められています。

(例)3月末決算のガス会社です。お客さんが2019年3月20日にガスを使用しましたが、検針員が検針したのが2019年4月15日の場合
ガスを使用した日(2019年3月20日)が2018年度なので、原則として2018年度の益金になりますが、検針日が2019年度(2019年4月15日)ですので、2019年度の益金にすることも認められています。

受取配当金の益金不算入

原則として会計上の収益は全て益金になりますが、これに対する特別な取り扱いがされるものとして受取配当金の益金不算入があります。

概要

例えば子会社が1,000万円の利益を獲得して、法人税等300万円を納税した残りの700万円全てを自社に配当してもらった場合、法人税をどのように計算するのでしょうか?

子会社で300万円の法人税等を納税して、その後配当金を受け取った自社でも益金になってしまうと、自社でも法人税等を納税しなければならず、子会社と自社で二重に法人税等を納税することになってしまいます。

そのため、法人税では二重課税を避けるために受け取った配当金等のうち一定の方法で計算した金額は益金に含めません。これを受取配当金の益金不算入といいます。

(例)自社の100%子会社の当期利益が1,000万円でした。法人税等300万円の納税した後の700万円全額を配当してもらった場合
100%子会社から配当金700万円を受け取っていますが益金になりません。

益金不算入額

受取配当金の益金不算入ですが、実際には必ずしも受け取った配当金の全額が益金不算入になるとは限らず、株式等を保有している割合に応じて益金不算入となる金額が変わってきます。

例えば100%子会社からの配当金であれば配当金の全額が益金不算入になりますが、発行済み株式の10%しか保有していない会社からの配当金であれば配当金額の50%しか益金不算入になりません。

(例)発行済み株式の10%を保有している会社から配当金100万円(所得税20万円が源泉徴収されて手取り額は80万円)を受け取った場合
持ち株割合は10%ですので、益金不算入額は配当金額の50%になります。したがって、100万円×50%=50万円が益金不算入額になります。

関連記事

2.1 法人税の計算の全体像
2.2.2 益金の計算の基礎
2.2.1 資産の販売等をした場合

法令等

この記事は2018年12月31日現在の法令等に基づいて書かれています。