法人税の益金の計算方法-基礎編

法人税の額は「益金の額」から「損金の額」を控除して計算した所得金額に、法人税率を乗じて計算しますが、法人税の益金と企業会計の収益は似ているのですが少し異なる部分もあります。

今回は「益金とは何か?」「どのように計算するか?」について基礎的な内容を解説します。

益金とは

法人税でいうところの「益金」とは企業会計の「収益」に相当するものです。ただし、両者はよく似ているのですが異なる部分もあるため、「法人税の益金はと企業会計の収益はどこが違うのか?」を正しく理解することは、法人税を計算する上でとても大切です。

益金の原則

益金の定義

益金とは原則として、次の(1)~(7)に該当するものをいいます。

(1) 資産の販売による収益

商品や製品など「棚卸資産の販売」による収益は益金になります。

(例)原価1,500円の商品を2,000円で販売した場合
販売価格の2,000円が益金(原価1,500円は損金)になります。

(2) 有償による資産の譲渡による収益

上記(1)の棚卸資産以外の資産(有価証券や固定資産等)を「譲渡したことによる収益」についても益金になります。

(例)帳簿価額1,500万円の土地を2,000万円で譲渡した場合
譲渡価額の2,000万円が益金(帳簿価額の1,500万円は損金)になります。

(3) 無償による資産の譲渡による収益

「資産を無償であげた」場合についても、その時の資産の時価が益金になります。法人税の考え方に慣れていない方にとっては違和感がある部分だと思いますが、資産を無償であげた場合には「無償であげた法人」の益金になります。

なお、さらに具体的には「資産をいったん時価で売ってから、受け取った代金をすぐに返した(寄附した)」と考えます。税法特有の考え方ですが、大切なポイントですのでご注意ください。

(例)帳簿価額1,500万円、時価2,000万円の土地を無償で関連会社にあげた場合
①土地を引き渡す、②2,000万円(時価)の代金を受け取る、③受け取った代金を返金(寄附)すると考えます。したがって、②の2,000万円が益金になります。
(注意)法人税では寄附金の損金算入に一定の制限があります。したがって、このケースでは、②の2,000万円が益金になる一方で、③の寄附金とされた2,000万円の一部又は全部については、損金にならない可能性があります。

(4) 有償による役務の提供による収益

「有料で提供したサービス」の収益は益金になります。

(例)貨物を運送し、その料金として10万円もらう場合
運送料金の10万円が益金になります。

(5) 無償による役務の提供による収益

上記(3)と似ていますが「無償で役務(サービス)の提供をした場合」には、いったん代金を受け取ってから、受け取った代金を返した(寄附した)と考えます。

(例)通常料金10万円のところ、無償で関連会社の貨物の運送をした場合
実際には代金を受け取っていませんが、①いったん通常料金の10万円を受け取って、②直後に代金を返した(寄附した)と考えるので、10万円が益金になります。

(6) 無償による資産の譲受による収益

「資産を無料でもらった」場合には、その時の資産の時価が益金になります。

(例)関連会社から時価10万円の商品を無償でもらった場合
関連会社からもらった商品の時価10万円が益金になります。

(7) その他の取引の収益

(1)~(6)以外でも会計上の収益になるものは原則として益金になります。

益金の算入時期

法人税の益金の定義は上記のとおりですが、それぞれの金額が「益金に算入される時期」については、原則として次のとおりに決められています。

益金の内容 益金の算入時期
棚卸資産の販売や固定資産などの譲渡 「資産を引き渡した日」の属する事業年度
役務(サービス)の提供 「サービスを提供した日」の属する事業年度
(例)3月末決算のコーヒーショップが2022年3月20日にコーヒーを販売した場合
コーヒーを販売した日(引き渡した日)である2022年3月20日は、2021年度ですので2021年度の益金になります。

ただし、一定の場合には「検針日」や「仕切精算書が届いた日」などの属する事業年度の益金にすることも認められています。

(例)3月末決算のガス会社が、ガス使用量を2022年4月15日に検針した場合。検針対象は2022年3月16日~2022年4月15日使用分です。
原則としてガスを使用した日の益金になりますが、検針日基準を採用している場合には、検針日の属する事業年度(2022年度)の益金にすることも認められています。

受取配当金の益金不算入制度

益金の計算では、上記の原則的な取り扱いの他に特別な取り扱いも定められています。代表的なものとして「受取配当金の益金不算入制度」があります。

制度の概要

法人税では二重課税を避けるため、法人が一定の要件を満たす配当金等を受け取った場合には、その配当金等の一部又は全部を益金とはしない制度を設けています。これを受取配当金の益金不算入制度といいます。

例えば100%子会社の利益が1,000万円で、それに対する法人税等300万円の場合には、子会社の手元に残る金額は700万円です。そして仮にその全額を自社に配当してきたケースで、受け取った配当金に自社でも法人税等が課税されてしまうと、子会社と自社で二重に法人税等が課税される結果になってしまいます。

したがって、このような二重課税を避けるために、法人税では受け取った配当金等のうち一定の方法で計算した金額は、益金とはしないことにしています。

(例)100%子会社の税引前当期利益が1,000万円、法人税等300万円を納税した後の700万円全額が配当された場合
受取配当金の益金不算入制度があるため、100%子会社から受け取った配当金700万円は自社の益金になりません。

益金不算入額

それでは「益金不算入になるのはどの部分か?」と言いますと、次のように「株式等を保有している割合」に応じて、それぞれ益金不算入額を計算します。

持株割合 益金不算入額
100% 配当金全額
1/3超 100%未満 配当金全額-負債利子額
5%超 1/3以下
配当金×50%
5%以下
配当金×20%

したがって、100%子会社からの配当金であれば全額が益金不算入になりますが、発行済み株式の10%しか保有していない会社からの配当金であれば、配当金額の50%しか益金不算入にはなりません。

(例)発行済み株式の10%を保有している会社から配当金100万円(所得税20万円が源泉徴収されて手取り額は80万円)を受け取った場合
持ち株割合は10%ですので益金不算入額は「配当金額×50%」になります。したがって、100万円×50%=50万円が益金不算入額になります。

法令等

この記事は2021年12月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、この記事は税法学習者に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。

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