2.2.2 配当金等を受け取った場合

法人が配当金等を受け取った場合、企業会計では収益になりますが、法人税では一定の条件に基づいて配当金等の一部又は全部を益金に算入しないこととしています。これを受取配当等の益金不算入制度といいます。

配当金等を益金不算入にする理由

実際に配当金等を受け取っているにも関わらず、法人税では益金不算入にする理由は、配当金等が法人の益金になってしまうと、親会社と子会社で法人税が二重に課税されてしまう可能性があるためです。

簡単な例を用いて、受取配当等の益金不算入制度がない場合とある場合を比べてみたいと思います。

(例1)配当等の益金不算入制度が「ない」場合
X社(親会社)とY社(子会社)には100%の資本関係があります。税率は30%です。
(1)2018年度のY社の利益と税額は次のとおりでした。

税引前利益 法人税等 税引後利益
Y社の税額計算 1,000万円 300万円 700万円

(2)2019年にY社は税引後利益の全額700万円をX社に配当しました。

税引前利益 法人税等 税引後利益
X社の税額計算 700万円 210万円 490万円

X社グループ(X社とY社の合計)で考えた場合、グループ全体で1,000万円の利益しか獲得していないにも関わらず、X社とY社でそれぞれ法人税等が課税された結果、合計で510万円(51%)の法人税等を納税することになりました。

(例2)配当等の益金不算入制度が「ある」場合
X社(親会社)とY社(子会社)には100%の資本関係があります。税率は30%です。
(1)2018年度のY社の利益と税額は次のとおりでした。

税引前利益 法人税等 税引後利益
Y社の税額計算 1,000万円 300万円 700万円

(2)2019年にY社は税引後利益の全額700万円をX社に配当しました。

税引前利益 法人税等 税引後利益
X社の税額計算 700万円 0万円 700万円

Y社からの配当に対して法人税等が課税されないため、X社グループ(X社とY社の合計)で考えた場合、グループ全体で1,000万円の利益に対して、法人税等は300万円(30%)になりました。

益金不算入額の対象

内国法人から受け取る配当等のうち、益金不算入の対象になるものとならないもは次のとおりです。

益金不算入の対象になるもの

受取配当等の益金不算入の対象になる配当等は次のとおりです(主なもの)。

益金不算入の対象になるもの(主なもの)
(1) 剰余金の配当(株式等に係るものに限り、資本剰余金の減少等によるものを除く)
(2) 利益の配当(分割型分割等によるものを除く)
(3) 剰余金の分配(出資に係るものに限る)
(4) 投資信託等の金銭の分配(出資総額等の減少によるものを除く)
(5) 資産流動化法の中間配当
(6) 特定株式投資信託の収益の分配金

益金不算入にの対象にならないもの

次のようなものは受取配当等の益金不算入の対象になりません(主なもの)。

益金不算入の対象にならないもの(主なもの)
(1) 剰余金の配当等のうち外国法人や公益法人等、人格のない社団等から受け取るもの
(2) 協同組合等の事業分量配当金
(3) 保険会社の基金利息や契約者配当金
(4) 特定目的会社から受け取る利益の配当
(5) 証券投資信託、公社債投資信託等の収益の分配金
(6) 短期保有株式等の配当金
短期保有株式等とは?
配当等の支払基準日以前1カ月以内に取得して、基準日後2カ月以内に譲渡した株式等を短期保有株式等といいます。短期保有株式等の配当金等は益金不算入の対象になりません。
(同一銘柄について上記の期間内に2回以上取得や譲渡があった場合は一定の算式によって短期保有株式等の数を計算します)

益金不算入額の計算

内国法人等から益金不算入の対象になる配当等を受け取った場合でも、その全額が益金不算入になるとは限らず、次のように配当等の元本である株式等の保有割合に応じて、益金不算入にできる額が異なります。

完全子会社株式等(保有割合:100%)

完全子会社株式等とは、配当等の計算期間の初日から末日まで継続して完全支配している法人の株式等のことをいいます。

完全支配とは
完全支配とは発行済み株式の全て(自己株式等を除く)を直接又は間接に保有していることをいいます。

関係法人株式等(保有割合:1/3超~100%未満)

関係法人株式等とは、配当等の計算期間の初日から末日まで継続して発行済み株式等の3分の1超を保有している株式等のことをいいます(完全子会社株式等を除く)

負債利子額とは?
配当等を受け取った事業年度に支払った負債の利子がある場合は、次のいずれかの方法で計算した負債利子額を配当等の額から控除します。
・原則法

・簡便法

非支配目的株式等(保有割合:5%以下)

配当等の支払基準日に発行済み株式等の5%以下を保有する場合、次の計算式で益金不算入額を計算します。

その他の株式等(保有割合:5%超~1/3以下)

配当等の支払基準日に発行済み株式等の5%超を保有する場合(完全子会社株式等、関係法人株式等を除く)、次の計算式で益金不算入額を計算します。

外国子会社から受ける配当等の益金不算入

外国法人から受け取る配当等は原則として益金不算入の対象外ですが、内国法人が次の配当等を受け取った場合で、支払基準日以前6カ月以上にわたって、発行済み株式等の25%以上を保有する等の条件を満たす場合には、配当等のうち95%を益金不算入にすることができます。

配当等の範囲
(1) 剰余金の配当(株式等に係るものに限り、資本剰余金の減少等によるものを除きます)
(2) 利益の配当(分割型分割等によるものを除きます)
(3) 剰余金の分配(出資に係るものに限ります)

関連記事

2.2 益金の計算の基礎

法令等

この記事は2019年10月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、記事の内容は税法の一般的な取り扱いについての解説ですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。