受取配当金の益金不算入額の計算方法

企業会計では法人が受け取った配当金は収益になりますが、二重課税を回避するため法人税では配当金の一部又は全部を益金不算入としています。

受取配当等が益金不算入になる理由

企業会計では法人が受け取った配当金等は収益になりますが、法人税でもそのまま益金としてしまうと、同一の利益に対して二重に法人税が課税されてしまう可能性があるため、受け取った配当金等の全部又は一部を益金不算入にしています。

二重課税が回避される様子を確認するために、簡単な例を使って受取配当等の益金不算入制度が「ない」場合と「ある」場合を比較してみたいと思います。

(例:配当等の益金不算入制度が「ない」場合)
100%の資本関係がある親会社と子会社です。子会社の利益と税額は次のとおりで税引後利益の全額を親会社に配当します。法人税等の税率は30%。

税引前利益 法人税等 税引後利益
子会社の利益と税額 1,000万円 300万円 700万円

子会社の獲得した利益1,000万円が親会社に配当されることによって、親会社と子会社で合計510万円(51%)もの法人税等を納税することになります。

(例:配当等の益金不算入制度が「ある」場合)
100%の資本関係がある親会社と子会社です。子会社の利益と税額は次のとおりで税引後利益の全額を親会社に配当します。法人税等の税率は30%。

税引前利益 法人税等 税引後利益
子会社の利益と税額 1,000万円 300万円 700万円

子会社の獲得した利益1,000万円に対して親会社と子会社で合計300万円(30%)の法人税等を納税することになります。

益金不算入の対象

内国法人から受け取る配当等のうち益金不算入の対象になるものと対象にならないもの(主なもの)は次のとおりです。

益金不算入の対象になるもの

益金不算入の対象になるもの(主なもの)
(1) 剰余金の配当(株式等に係るものに限り、資本剰余金の減少等によるものを除く)
(2) 利益の配当(分割型分割等によるものを除く)
(3) 剰余金の分配(出資に係るものに限る)
(4) 投資信託等の金銭の分配(出資総額等の減少によるものを除く)
(5) 資産流動化法の中間配当
(6) 特定株式投資信託の収益の分配金

益金不算入にの対象にならないもの

益金不算入の対象にならないもの(主なもの)
(1) 剰余金の配当等のうち外国法人や公益法人等、人格のない社団等から受け取るもの
(一定の外国子会社から受け取る配当等については益金不算入の規定があります)
(2) 協同組合等の事業分量配当金
(3) 保険会社の基金利息や契約者配当金
(4) 特定目的会社から受け取る利益の配当
(5) 証券投資信託、公社債投資信託等の収益の分配金
(6) 短期保有株式等の配当金
短期保有株式等
配当等の支払基準日以前1カ月以内に取得して、基準日後2カ月以内に譲渡した株式等を短期保有株式等といい、短期保有株式等の配当金等は益金不算入の対象になりません。
(同一銘柄について上記の期間内に2回以上取得や譲渡があった場合は一定の算式によって短期保有株式等の数を計算します)

益金不算入額の計算

内国法人等から益金不算入の対象になる配当等を受け取った場合でも、その全額が益金不算入になるとは限らず、次のように配当等の元本である株式等の保有割合に応じて、益金不算入額が計算されます。

完全子会社株式等(保有割合:100%)

完全子会社株式等とは配当等の計算期間の初日から末日まで継続して完全支配している法人の株式等のことをいい、配当等の全額が益金不算入になります。

完全支配
発行済み株式の全て(自己株式等を除く)を直接又は間接に保有していること。

関係法人株式等(保有割合:1/3超~100%未満)

関係法人株式等とは配当等の計算期間の初日から末日まで継続して発行済み株式等の3分の1超を保有している株式等のことをいい(完全子会社株式等を除く)、配当等の額から負債利子額を控除した額が益金不算入になります。

負債利子額
配当等の元本である株式等を取得するための負債利子の額をいい、配当等を受け取った事業年度に支払った負債利子がある場合には、次のいずれかの方法で計算します。
・原則法

・簡便法

非支配目的株式等(保有割合:5%以下)

配当等の支払基準日に発行済み株式等の5%以下を保有する場合には、配当等の額の20%が益金不算入額になります。

その他の株式等(保有割合:5%超~1/3以下)

配当等の支払基準日に発行済み株式等の5%超を保有する場合(完全子会社株式等、関係法人株式等を除く)には、配当等の額の50%が益金不算入額になります。

外国子会社から受ける配当等

外国法人から受け取る配当等は原則として益金不算入の対象外になりますが、内国法人が次の配当等を受け取った場合で、支払基準日以前6カ月以上にわたって、発行済み株式等の25%以上(租税条約により25%より低い割合になることもあります)を保有する等の条件を満たす場合には、配当等のうち95%を益金不算入にすることができます。

配当等の範囲
(1) 剰余金の配当(株式等に係るものに限り、資本剰余金の減少等によるものを除きます)
(2) 利益の配当(分割型分割等によるものを除きます)
(3) 剰余金の分配(出資に係るものに限ります)

法令等

この記事は2020年4月1日現在の法令等に基づいて書かれています。また、この記事は税法学習者に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。

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