2.11.3 商業・サービス業・農林水産業活性化税制とは

商業やサービス業、農林水産業の中小企業を応援することを目的として、これらの事業を営む中小企業が一定の要件を満たす設備投資をした場合には、特別償却または特別税額控除ができます。

これを商業・サービス業・農林水産業活性化税制(特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除)といいます。

適用対象法人

次の(1)~(3)の要件を満たす法人が商業・サービス業・農林水産業活性化税制の適用対象法人です。

(1)経営改善の指導や助言を受けていること

認定経営革新等支援機関等から経営改善について指導や助言を受けて、経営改善指導助言書類が交付されている必要があります。
認定経営革新等支援機関等とは
国が認定した金融機関、税理士、公認会計士、弁護士、商工会議所などです。中小企業庁:経営革新等支援認定機関一覧についてで確認することができます。

(2)青色申告法人であること

この税制の適用を受けるには青色申告法人でないといけません。

(3)一定の中小企業等であること

・中小企業者
特別償却の適用が可能

中小企業者とは次のいずれかの要件を満たす法人です
・資本金または出資金が1億円以下の法人
(同一の大規模法人に発行済株式等の2分の1以上を所有されている法人や、複数の大規模法人に発行済株式等の3分の2以上を所有されている法人を除きます)
・資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
※ 上記の要件を満たしても、過去3年間の平均所得金額が15億円を超える法人は中小企業者にはなりません(2019年4月以降に開始する事業年度から)

・中小企業者のうち資本金または出資金が3,000万円以下のもの
特別償却又は特別税額控除の適用が可能

・中小企業等協同組合、出資組合である商工組合及び商店街振興組合
特別償却又は特別税額控除の適用が可能

まとめ

適用対象法人に該当するかどうかの判定は少しややこしいのですが、まとめると次のようになります。

適用対象資産

次の(1)~(5)の要件を満たす減価償却資産が適用対象資産です。

(1)2013年4月1日から2019年3月31日に取得等している

2013年4月1日から2019年3月31日に取得、製作又は建設しているものが対象です。

(2)経営改善のための資産であること

経営の改善のための資産として認定経営革新等支援機関等から交付を受けた経営改善指導助言書類に記載された器具備品、建物附属設備でないといけません。

(3)次の金額要件を満たす資産であること

・1台または1基の取得価額が30万円以上の器具備品
(通常一組又は一式で取引されている器具備品の場合は一組又は一式で30万円以上)
・1つの取得価額が60万円以上の建物附属設備

(4)新品であること

中古資産は適用対象外です。

(5)国内で指定事業に使用していること

国内で指定事業に使用しているものが対象になります。

指定事業とは(国税庁webサイトより)
卸売業、小売業、情報通信業、一般旅客自動車運送業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、こん包業、損害保険代理業、不動産業、物品賃貸業、専門サービス業、広告業、技術サービス業、宿泊業、飲食店業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、社会保険・社会福祉・介護事業、映画業、サービス業(教育、学術支援業、協同組合、他に分類されないサービス業(廃棄物処理業、自動車整備業、機械等修理業、職業・労働者派遣業、その他事業サービス業))、農業、林業、漁業、水産養殖業

(注1) 製造業、建設業、医療業、娯楽業(映画業を除く)、等は対象になりません。
(注2) 風俗営業法上の風俗営業に該当する料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業については、生活衛生同業組合の組合員が事業を行う場合に限り対象となります。
なお、性風俗関連特殊営業に該当する事業については、対象となりません

まとめ

適用対象資産になるための要件をまとめると次のようになります。

特別償却

対象資産を指定事業の用に供することになった事業年度に取得価額の30%まで特別償却することができます。

・通常の減価償却との関係
特別償却をする場合は、通常の減価償却限度額(普通償却限度額といいます)と特別償却限度額の合計額が減価償却限度額になります。

(例)商業・サービス業・農林水産業活性化税制の要件を満たす器具備品を100万円で取得し、通常の減価償却限度額が40万円の場合。
 普通償却限度額40万円+特別償却限度額30万円(100万円×30%)=減価償却限度額210万円
対象資産を事業の用に供した事業年度に特別償却限度額まで特別償却を行わなかった場合は、その特別償却の不足額を1年間繰越すことができます。

特別税額控除

控除額の計算

対象資産を指定事業の用に供することになった事業年度に、取得価額の7%の特別税額控除ができます。

税額控除限度額

中小企業者等が機械等を取得した場合の特別税額控除(中小企業投資促進税制)、中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除(中小企業経営強化税制)とあわせて法人税額の20%を超える場合は、法人税額の20%が限度になります。

税額控除限度額が法人税額の20%相当額を超えたため控除できなかった場合、控除できなかった金額を1年間繰越すことができます。

特別償却と特別税額控除の選択

青色申告法人である特定中小企業者であれば、特別償却又は特別税額控除を適用することができますが、一つの資産について特別償却と特別税額控除を重複で適用することはできません。したがって、どちらか一つを選択しないといといけません。

特別償却を選択した場合、初年度の節税効果が大きいのですが、翌事業年度以降は特別償却しなかった場合よりも税額が増えます。一方で特別税額控除を選択した場合、初年度の節税効果は特別償却ほど大きくありませんが、翌事業年度以降に税額が増えることがありません。

特別償却と特別税額控除のどちらが有利かについてはどっちが得?特別償却と特別税額控除も参考の上、税額のシミュレーションをして選択するようにしてください。

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2.11 特別償却と特別税額控除とは

法令等

この記事は2018年12月31日現在の法令等に基づいて書かれています。