2.11.2 中小企業経営強化税制とは

中小企業の経営を強化して経済を発展させるため、経営力向上計画の認定を受けた一定の中小企業者等が生産性を向上するためや収益力を強化するための設備投資をした場合には、即時償却又は税額控除ができます。

これを中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)といいます。

適用対象法人

中小企業経営強化税制の対象法人は、青色申告書を提出する中小企業者等や中小企業等協同組合等で、経営力向上計画の認定を受けた法人です。

適用対象法人
青色申告書を提出する中小企業者等で、経営力向上計画の認定を受けた法人
(中小企業者と農業協同組合等)
青色申告書を提出する中小企業等協同組合等、経営力向上計画の認定を受けた法人
(中小企業等協同組合、出資組合である商工組合及び商店街振興組合)
中小企業者とは?
次のいずれかの要件を満たす法人をいいます。

中小企業者の要件
資本金又は出資金が1億円以下の法人(ただし以下のものを除く)
・同一の大規模法人に発行済株式等の2分の1以上を所有されている法人
・複数の大規模法人に発行済株式等の3分の2以上を所有されている法人
資本又は出資がなく、かつ、常時使用する従業員数が1,000人以下の法人

上記の要件を満たしても、過去3年間の平均所得金額が15億円を超える法人は中小企業者にはなりません(2019年4月以降に開始する事業年度から)

(2019年4月1日以降開始事業年度の判定フローチャート)

適用対象資産

この制度の適用対象資産は、次の(1)~(6)の全ての要件を満たす資産です。

適用対象資産
(1) 2017年4月1日から2021年3月31日に取得等している資産
(2) 生産設備等を構成する資産
(3) 取得した資産は新品の資産
(4) 経営力向上設備等である資産
(5) 価格要件を満たす資産
(6) 国内で指定事業に使用する資産

(1)2017年4月1日から2021年3月31日に取得等している資産

2017年4月1日から2021年3月31日に取得、製作又は製造して、事業の用に供している必要があります。

(2)生産設備等を構成する資産

生産等設備を構成する機械及び装置、工具、器具及び備品、建物附属設備、ソフトウエアが対象です。

生産設備とは
製造業の場合の工場や、小売業の場合の店舗のように、その法人が行う生産活動や販売活動等に直接使用される減価償却資産のことをいいます。事務用の器具備品や本社や宿舎等の建物、福利厚生施設等は生産設備ではありません。

(3)取得した資産は新品の資産

取得した資産は、製作又は建設後に事業の用に供されたことがないものに限ります。

(4)経営力向上設備等である資産

経営力向上設備とは概ね次のA累計又はB類型に該当する資産をいいます。

・生産性向上設備(A類型)
一定の期間内に販売されたモデルで、生産効率やエネルギー効率、精度などの指標が旧モデルと比べて年平均1%以上向上している次の資産(工業会の証明書が必要)

資産の種類 用途又は細目 販売開始時期
機械及び装置 全て
10年以内
工具 測定工具、検査工具
5年以内
器具及び備品 全て
6年以内
建物付属設備 全て
14年以内
ソフトウエア 設備の稼働状況に係る情報収集機能及び分析指示機能を有するもの
5年以内

・収益力強化設備(B類型)
投資利益率が年平均5%以上の見込みであると経済産業大臣の確認を受けた投資計画に記載された以下の資産(経済産業局からの確認書が必要)

資産の種類 用途又は細目 販売開始時期
機械及び装置 全て
10年以内
工具 測定工具、検査工具
5年以内
器具及び備品 全て
6年以内
建物付属設備 全て
14年以内
ソフトウエア 設備の稼働状況に係る情報収集機能及び分析指示機能を有するもの
5年以内

上記のいずれかに該当するものでも、電子計算機や医療機器等で一定の要件に該当するものは適用対象外になります。

(5)価格要件を満たす資産
一単位あたり次の取得価額以上の必要があります。

資産の種類 取得価額
機械及び装置 1台又は1基あたり 160万円以上
工具 1台又は1基あたり 30万円以上
器具及び備品 1台又は1基あたり 30万円以上
建物付属設備 一の建物附属設備あたり 60万円以上
ソフトウエア 一のソフトウエアあたり 70万円以上

 (6)国内で指定事業に使用する資産

国内で次の指定事業に使用しているものが対象になります。

指定事業とは(国税庁webサイトより)

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(注1)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)、サービス業(他に分類されないもの)

(注1) 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する飲食店業については、生活衛生同業組合の組合員が営むものに限り対象となります
(注2) 電気業、熱供給業、水道業、娯楽業(映画業を除く)等は対象になりません。
また、性風俗関連特殊営業に該当する事業も対象となりません。

特別償却

特別償却限度額(即時償却)

対象資産を指定事業の用に供した事業年度に、取得価額の全額を償却することができます(即時償却)(一つの資産について即時償却と特別税額控除を重複で適用することはできません)。

なお、事業の用に供した事業年度に特別償却(即時償却)の不足額(減価償却しなかった金額)がある場合は、特別償却不足額を1年間繰越すことができます。

(例)中小企業投資促進税制の要件を満たす機械を300万円で取得し、事業の用に供しました。通常の減価償却限度額が120万円。
事業の用に供した事業年度に取得価額300万円全額を減価償却することができます。
(内訳:普通償却限度額120万円、特別償却限度額180万円)

即時償却の効果

即時償却することによって、取得価額の全額を減価償却できるため、事業の用に供した事業年度には大きな節税効果があります(ただし、取得価額の全額を減価償却してしまうため、翌事業年度以降は減価償却できません)。

特別税額控除

適用対象資産を指定事業の用に供した事業年度の法人税額から、次の税額控除限度額を控除することができます(一つの資産について即時償却と特別税額控除を重複で適用することはできません)。

特定中小企業者等とは
この税制が適用さる法人のうち、資本金又は出資金が3,000万円超のもの以外、及び農業協同組合等、中小企業協同組合等をいいます。
ただし、中小企業者等が機械等を取得した場合の特別税額控除(中小企業経営強化税制)、特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別税額控除(商業・サービス業・農林水産業活性化税制)とあわせて法人税額の20%を超える場合は、法人税額の20%が限度になります。

なお、税額控除限度額が法人税額の20%相当額を超えたため控除できなかった場合は、控除できなかった金額を1年間繰越すことができます。。

即時償却と特別税額控除の選択

同一の資産について即時償却と特別税額控除を重複で適用することができないため、どちらを適用するか選択する必要があります。特別償却と特別税額控除の選択については、どっちが得?特別償却と特別税額控除も参考の上、税額のシミュレーションをするようにしてください。

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2.11 特別償却と特別税額控除とは

法令等

この記事は2019年10月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、記事の内容は税法の一般的な取り扱いについての解説ですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。