経営強化による減税とは?-中小企業経営強化税制

中小企業の経営強化を促し経済を発展させるため、経営力向上計画の認定を受けた一定の中小企業者等が、生産性の向上や収益力の強化のために設備投資をした場合には、即時償却又は税額控除が認められています。

概要の概要

中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)は「適用対象法人」が「適用対象資産」を一定期間内に取得又は製造して、国内で指定事業の用に供した場合に特別償却又は特別税額控除ができる制度です。

適用対象法人

中小企業経営強化税制の適用対象法人は、経営力向上計画の認定を受けた青色申告法人のうち、中小企業者、農業協同組合等、中小企業等協同組合等です。

適用対象法人(次の要件をいずれも満たす法人)
(1) 中小企業等経営強化法に規定する経営力向上計画の認定を受けた青色申告法人
(2) 中小企業者、農業協同組合等、中小企業等協同組合等
中小企業者とは?
次のいずれかの要件を満たす法人をいいます。ただし、2019年4月以降に開始する事業年度からは過去3年間の平均所得金額が15億円を超える法人を除きます。

中小企業者の要件(次のいずれか)
資本金又は出資金が1億円以下の法人(ただし以下のものを除く)
・同一の大規模法人に発行済株式等の2分の1以上を所有されている法人
・複数の大規模法人に発行済株式等の3分の2以上を所有されている法人
資本又は出資がなく、かつ、常時使用する従業員数が1,000人以下の法人

(2019年4月1日以降開始事業年度の判定フローチャート)

適用対象資産

適用対象資産とは次の(1)~(5)の全ての要件を満たす資産です。

(1)2017年4月1日から2021年3月31日に取得等し、国内で指定事業の用に供している資産

2017年4月1日から2021年3月31日に取得、製作又は製造して、国内で指定事業の用に供しているものが対象になります。

指定事業とは(国税庁webサイトより)

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(注1)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)、サービス業(他に分類されないもの)

(注1) 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する飲食店業については、生活衛生同業組合の組合員が営むものに限り対象となります
(注2) 電気業、熱供給業、水道業、娯楽業(映画業を除く)等は対象になりません。
また、性風俗関連特殊営業に該当する事業も対象となりません。

(2)生産設備等を構成する資産

生産等設備を構成する機械及び装置、工具(測定工具及び検査工具)、器具及び備品、建物附属設備、ソフトウエア(設備の稼働状況に係る情報収集機能及び分析指示機能を有するもの)が対象です。

生産設備等
製造業の場合の工場や、小売業の場合の店舗のように、その法人が行う生産活動や販売活動等に直接使用される減価償却資産のことをいいます。事務用の器具備品や本社や宿舎等の建物、福利厚生施設等は生産設備等には該当しません。

(3)取得した資産は新品の資産

取得した資産は、製作又は建設後に事業の用に供されたことがないものに限ります。

(4)経営力向上設備等である資産

経営力向上設備とは概ね次のA類型又はB類型に該当する資産をいいます。

・生産性向上設備(A類型)
一定の期間内に販売されたモデルで、生産効率やエネルギー効率、精度などの指標が旧モデルと比べて年平均1%以上向上(※)している次の資産(工業会の証明書が必要)
(※)旧モデルがないもの及びソフトウエアには1%以上向上という要件は課されません。

資産の種類 販売開始時期
機械及び装置 10年以内
工具 5年以内
器具及び備品 6年以内
建物附属設備 14年以内
ソフトウエア 5年以内

・収益力強化設備(B類型)
投資利益率が年平均5%以上の見込みであると経済産業大臣の確認を受けた投資計画に記載された機械及び装置、工具、器具及び備品、建物附属設備、ソフトウエア。

上記のいずれかに該当するものでも、電子計算機や医療機器等で一定の要件に該当するものは適用対象外です。

(5)価格要件を満たす資産
一単位あたり次の取得価額以上の必要があります。

資産の種類 取得価額
機械及び装置 1台又は1基あたり 160万円以上
工具 1台又は1基あたり 30万円以上
器具及び備品 1台又は1基あたり 30万円以上
建物付属設備 一の建物附属設備あたり 60万円以上
ソフトウエア 一のソフトウエアあたり 70万円以上

特別償却(即時償却)

対象資産を指定事業の用に供した事業年度に、取得価額の全額を償却することができます(即時償却)。ただし、一つの資産について即時償却と特別税額控除を重複で適用することはできません。

なお、事業の用に供した事業年度に特別償却(即時償却)の不足額(減価償却しなかった金額)がある場合には、特別償却不足額を1年間繰越すことができます。

(例)中小企業投資促進税制の要件を満たす機械を300万円で取得し、事業の用に供しました。通常の減価償却限度額が120万円の場合。
事業の用に供した事業年度に取得価額300万円全額を減価償却することができます。
(内訳:普通償却限度額120万円、特別償却限度額180万円)

特別税額控除

適用対象資産を指定事業の用に供した事業年度の法人税額から、次の税額控除限度額を控除することができます(一つの資産について特別償却と特別税額控除を重複で適用することはできません)。

特定中小企業者等
中小企業者のうち資本金又は出資金が3,000万円以下のもの、及び農業協同組合等、中小企業協同組合等をいいます。
ただし、中小企業者等が機械等を取得した場合の特別税額控除(中小企業経営強化税制)、特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別税額控除(商業・サービス業・農林水産業活性化税制)とあわせて法人税額の20%を超える場合は、法人税額の20%が限度になります。

税額控除限度額が法人税額の20%相当額を超えたため控除できなかった場合は、控除できなかった金額を1年間繰越すことができます。。

即時償却と特別税額控除の選択

同一の資産について即時償却と特別税額控除を重複で適用することができないため、どちらを適用するか選択する必要があります。即時償却と特別税額控除の選択については、どちらが有利か事前にシミュレーションをして決定するようにしてください。

法令等

この記事は2020年4月1日現在の法令等に基づいて書かれています。また、この記事は税法学習者に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。

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