2.10 外国で法人税を払った場合(外国税額控除)

日本の会社は外国で儲けた分にも日本の法人税が課税されます。しかし外国で儲けたわけですから、日本だけではなく外国の法人税(外国法人税)も課税されてしまうことがあり、そのままでは日本と外国の法人税が二重に課税されてしまいます。

そこで法人税では、日本の法人税額から外国法人税のうち一定の金額を控除することを認めています。これを外国税額控除といいます。

外国法人税

外国法人税の範囲

外国税額控除の対象となる外国法人税とは外国の法令によって課税される税金で、具体的には主に次のものです。

(1) 法人の所得に対して課税される税金
法人の儲けに対する税金で日本でいうところの法人税や所得税などです。

(2) 超過利潤税など所得の特定の部分に課税される税金
例えば資源高で資源関連企業が適正な水準を超えて儲けている場合に、その超過利潤に対して課税される税金などです。

(3) (1)や(2)の附加税
(1)や(2)の税金の額に附随する税金です。日本でいうところの住民税の法人税割がこれに該当します。

(4) (1)と同じ税目で、徴税上の便宜のため、所得ではなく収入金額などに課税される税金
利子や配当などから源泉徴収される所得税などです。

(5) 法人の特定の所得について、所得ではなく収入金額などに課税される税金

外国法人税にはならないもの

納付しても納税者が任意に還付できる税金や、納付が猶予される期間を自由に決められる税金等は、日本の税金の概念とは大きく異なっており外国法人税にはなりません。したがって外国でこのような税金を納税しても、外国税額控除をすることもできません。

控除されない外国法人税額

外国法人税であっても次のようなものは外国税額控除の対象にはなりません。

・通常行われない取引に対して課税された外国法人税
・所得に対する外国法人税の負担が高率なもの

所得に対する負担が高率なものとは外国法人税の税率が35%を超える部分のことをいいます(利子等について源泉徴収された外国法人税についてはこれとは別の基準によって負担が高率かどうか判定します)

・外国法人税の税率が50%の場合のイメージ

控除限度額

法人税の控除限度額

法人が納税した外国法人税ですが、無制限にその全額を法人税から控除できるわけではなく、次の方法によって計算した金額(控除限度額)までしか控除できません。

(例)当事業年度の法人税額は1,000万円、所得金額は5,000万円でした。なお、所得金額には国外分(調整国外所得金額)が2,000万円含まれています。
法人税額1,000万円×40%(※)=400万円が控除限度額です。
(※)調整国外所得金額2,000万円÷所得金額5,000万円

地方法人税・住民税との関係

外国税額控除は法人税からだけではなく、地方法人税や住民税(道府県民税と市町村民税)からも控除することができます。したがって、控除対象外国法人税の額が法人税の限度額を超えてしまった場合には、地方法人税、道府県民税、市町村民税の順にそれぞれ税額控除していくことができます(ただし、地方法人税や道府県民税、市町村民税にもそれぞれ控除限度額があります)

限度超過額と控除余裕額の繰越し

控除対象外国法人税の額が、法人税、地方法人税、住民税の控除限度額の合計を超過してしまい外国税額控除できない場合は、その超過額を3年間繰り越して翌事業年度以降の法人税、地方法人税、住民税から控除することができます。

一方、控除対象外国法人税の額が控除限度額よりも小さいため控除限度額が余っている場合は、その余っている額(余裕額)を3年間繰り越して、控除限度額が足りない事業年度に使用することもできます。

控除限度超過額の繰越し(具体例)

前事業年度:控除対象外国法人税が控除限度額を超えたため、一部について外国税額控除できませんでした。
当事業年度:控除限度額に余った部分(控除余裕額)がありました。

このような場合、前事業年度に外国税額控除できなかった金額(限度超過額)を当事業年度に繰り越しておけば、当事業年度の控除余裕額を使って当事業年度に外国税額控除ができます。控除限度超過額は最長で3年間繰り越せます。

控除余裕額繰越しのイメージ

前事業年度:控除限度額に余った部分(控除余裕額)がありました。
当事業年度:控除対象外国法人税が当事業年度の控除限度額を超えています。

このような場合、前事業年度の控除余裕額を当事業年度に繰り越しておけば、繰越しておいた控除余裕額を使って当事業年度に外国税額控除ができます。控除余裕額は最長で3年間繰り越せます。

タックス・スペアリング・クレジット

発展途上国では外国企業に優遇税制を準備し外国企業の進出を促す場合がありますが、日本の法人税では次のように計算するため、そのまま計算してしまうとせっかく発展途上国で法人税を軽減または免除してもらっても、その分だけ日本の法人税が増える結果になってしまい優遇税制が無駄になってしまいます。

そこで、日本とその発展途上国の間の租税条約で認めている場合には、外国法人税の軽減または免除を受けたとしても、軽減等がなかったものとみなして外国税額控除を受けることができます。これをタックス・スペアリング・クレジット(みなし外国税額控除)といいます。

途上国で優遇税制の適用が受けらる場合は、タックス・スペアリング・クレジットが可能か確認した方がよいでしょう。

法人税が減額された場合の特例

外国税額控除の適用を受けたにも関わらずその後外国法人税が減額された場合で、外国税額控除適用の事業年度開始の日以後7年以内に開始する事業年度に減額されている場合は、減額された事業年度の控除対象外国法人税から、その減額された外国法人税の額を控除します。

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2.1 法人税の計算の全体像

法令等

この記事は2018年12月31日現在の法令等に基づいて書かれています。