1.4 青色申告

テレビを見ていると、ときどき会計ソフトのコマーシャルで「〇〇の青色申告」なんて宣伝していますね。この青色申告、実はすごくお得なんです。今回は青色申告について解説します。

青色申告とは

法人税では法人が帳簿書類を備え付けて自ら税額を計算します。これを申告納税制度といいますが、申告納税制度では正しく税額を計算するために日々の取引記録を正しく残しておくことが大切です。

そこで法人税法には法人が一定の帳簿書類を備え付け、取引を正しく記録している場合には、税金の計算などで特典(有利な取り扱い)が受けられる制度があります。これを青色申告といいます。

また、青色申告で使用する申告書はその名のとおり青い色をしています。これに対して青色申告ではない申告では白い申告書を使用するので白色申告と呼んだりします。と言いましても最近ではe-taxが増えて紙の申告書が減ってきているので、青い申告書と言われてもピンとこないかもしれませんが。

青色申告の特典

青色申告をすれば特典ですが、具体的にはどんな特典が受けられるのでしょうか?主なものをご覧ください。

青色欠損金の繰越控除

昨年は赤字だったけど、今年は黒字になったような場合です。青色申告書を提出した事業年度に発生した欠損金は、一定の要件に基づいて翌年以降10年間の所得金額から控除できます

青色欠損金の繰越し控除の説明は青色欠損金の繰越控除をご覧ください。

青色欠損金の繰戻還付

青色欠損金の繰越控除とは反対に、昨年は黒字で法人税を納めたけど、今年は赤字というような場合です。青色申告書を提出している資本金1億円以下の法人(大法人の100%子法人などを除く)は欠損金が発生した場合、前事業年度(正確には当事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度)に納税した税額のうち一部または全部を返してもらうことができます

青色欠損金の繰戻還付の詳しい説明は青色欠損金の繰戻還付をご覧ください。

帳簿書類の調査に基づく更正

税務署長などは申告書の税額計算などに誤りがある場合は更正をしますが、青色申告書を提出している法人の場合、帳簿書類が整備されていますので、明らかな誤りが発見された場合を除いて、税務署長などは帳簿書類をきちんと調査したうえでなければ更正をすることができません。税務署長などの更正をする権限に制限がかかるというわけです。

更正とは
税額の計算などに誤りがある場合、税務署長などがその金額を正しい金額に変更することです。よくあるケースとしては、計算に誤りがあって申告額が少なかったことが後日の税務調査などで判明し、更正されるものです。

更正の理由付記

更正された場合、その通知書(更正通知書)が発行されますが、青色申告に対する更正の場合には、更正通知書になぜ更正したのかその理由を明確に記載しないといけないことになっています。納税者が帳簿書類をきちんと保存している以上、税務署長なども理由をきちんと説明しないと更正ができないというわけです。

推計による更正または決定の禁止

青色申告法人は帳簿書類を保存していますので、税務署長などが推計で青色申告法人の更正または決定をすることを禁止しています。税務署長などは青色申告法人の帳簿書類を調査して、それに基づいた根拠がなければ更正や決定ができません。

(用語の説明)決定
申告しないといけないのにしなかった場合、税務署長などがその税額を決めることです。

特別償却

青色申告法人の場合、一定の要件を満たした場合には通常の減価償却費にプラスして別枠で減価償却費が認められる場合があり特別償却といいます。例えば、資本金1億円以下の法人(大法人の100%子法人などを除く)などが機械などを取得した場合には特別償却ができます。

通常の減価償却費にプラスで特別償却や割増償却を損金に算入できるので、特別償却や割増償却をした事業年度は所得金額が減って節税効果があります。

特別償却の詳しい説明は特別償却をご覧ください。

特別税額控除

青色申告法人の場合、一定の要件を満たした場合には特別に法人税の額を減額してもらえる制度があり特別税額控除といいます。具体的には、資本金1億円以下の法人(大法人の100%子会社などを除く)などが機械などを取得した場合の特別控除や、試験研究をした場合や従業員への給与支給総額を増やした場合の特別控除などがあります。

特別税額控除の詳しい説明は特別税額控除をご覧ください。

青色申告書を提出するには

様々な特典が準備されている青色申告ですが、どのようにすれば青色申告書を提出できるのでしょうか?

青色申告書を提出するために必要なことは以下の二つです
・帳簿書類を備え付けて取引を記録、保存すること
・所轄税務署長に青色申告をするための申請書を提出し承認してもらうこと

帳簿書類を備え付けて取引を記録、保存

青色申告書を提出するには以下のとおり帳簿書類を備え付けて取引を記録、保存しないといけません。

青色申告書を提出するための帳簿書類
・仕訳帳や総勘定元帳、その他の必要な帳簿を備え付け、全ての取引を複式簿記の方法で整然とわかりやすく記録して保存
・貸借対照表や損益計算書、棚卸表など決算に関連して作成した書類を保存
・受け取った注文書や契約書、領収証、見積書などを保存(自社で作成したこれらの書類の写しがある場合はその写しも保存)
・帳簿書類の保存期間は原則として7年間(税務署長の承認を受けて電子データで保存することも認められています)

青色申告の申請書を提出し承認してもらう

青色申告の承認申請書を、青色申告を始める事業年度開始の日の前日まで(普通法人を設立した事業年度の場合は、設立の日以後3月を経過した日と設立事業年度終了の日のいずれか早い日の前日まで)に所轄税務署長に提出し、承認してもらわないといけません。

申請書を提出したものの、青色申告書の提出を開始する事業年度終了の日まで(中間申告をしないといけない法人は事業年度開始の日から6カ月以内)に税務署長から何も通知がない場合は、承認があったものとみなされます。

(例)4月1日から3月31日が事業年度の会社が、2018年度から青色申告書の提出を開始する場合
2018年度開始前(つまり2018年3月31日まで)に申請書を所轄税務署長に提出し、承認してもらわないといけません。事業年度開始の日から6カ月以内(つまり2018年9月30日まで)に税務署長から通知がなかった場合は、承認があったものとみなされます。

承認の取り消し

せっかく承認された青色申告も、帳簿書類の備え付けや、記録、保存がされていなかったり、うその内容を記録していたり、確定申告書を提出期限までに提出しなかったりなどの問題が発見された場合は、その問題が発生した事業年度に遡って承認が取り消されます

青色申告の取りやめ

青色申告書を提出してる法人が、青色申告をやめようとする場合は、やめようとする事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に所轄税務署長に届出書を提出しなければなりません。

(例)4月1日から3月31日が事業年度の会社が、2018年度から青色申告をやめようとする場合
事業年度終了の日の翌日(2019年4月1日)から2月以内、つまり2019年5月31日までに届出書を所轄税務署長に提出しないといけません。

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2.11 特別償却と特別税額控除とは

法令等

この記事は2018年10月30日現在の法令等に基づいて書かれています。