法人税の青色申告とは?-特典と適用要件

会社経営者や経理担当者の方であれば「青色申告」という言葉を聞かれたことがあるかもしれませんが、具体的にどのような制度なのか正確にはご存じではない方も多いかもしれません。

今回は「青色申告の内容」と「特典(メリット)」「手続き」についてわかりやすく解説します。

青色申告制度とは

法人税は、納税者である法人が帳簿書類を備え付けて、法人が自ら申告納税する「申告納税制度」を採用していますが、申告納税制度では正しい税額計算のためには、日々の取引記録を正しく残しておくことが大切になってきます。

そのため法人税法では、納税者の正確な記帳慣行を醸成させるために、法人が「一定の帳簿書類を備え付けて、取引を正しく記録している場合」には、税金の計算等で特典が受けられる制度を設けています。これを青色申告制度といいます。

主な青色申告の特典

法人が青色申告をする場合には、法人税では主に次のような特典が用意されています。つまり、帳簿書類を備え付けて、取引を正しく記録することを条件に、これらのメリットが受けられるということです。

青色申告の主な特典
(1) 青色欠損金の繰越控除
(2) 青色欠損金の繰戻還付
(3) 帳簿書類の調査に基づく更正
(4) 推計による更正または決定の禁止
(5) 特別償却
(6) 特別税額控除

青色欠損金の繰越控除

「前期は赤字だったものの、当期は黒字」というケースもあると思いますが、青色申告書を提出した事業年度に発生した欠損金については、一定の要件に基づいて翌期以降10年間にわたって繰り越して、翌期以降の所得金額から控除することができます。

青色欠損金の繰戻還付

青色欠損金の繰越控除とは反対に、「前期は黒字で法人税を納めたものの、当期は赤字」というケースもあると思います。

このようなケースでは、青色申告書を提出している資本金1億円以下の法人(大法人の100%子法人などを除く)であれば、当期に発生した欠損金を前期に繰り戻して、前期(当事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度)に納税した税額の一部又は全部を還付してもらうことができます。

帳簿書類の調査に基づく更正

申告書の税額計算等に誤りがある場合には、税務署長等は更正処分をしますが、青色申告書を提出している法人に対しては、明らかな誤りが発見された場合を除いて「帳簿書類の調査に基づかない更正処分」をすることができません。つまり、税務署長などの更正処分をする権限に一定の制限がかかるということです。

更正
税額計算等に誤りが発見された場合に、税務署長などが正しい金額に直すことです。

推計による更正又は決定の禁止

税務署長等には、法人税の更正処分や決定処分をする権限が与えられていますが、青色申告書を提出している法人について更正処分や決定処分をするには、帳簿書類の調査に基づいた根拠が必要とされています。

したがって、税務署長等は財産や債務の増減の状況、収入支出の状況、生産量、販売量、従業員数などからの推計によって更正処分や決定処分をすることができません。

決定
申告義務があるにも関わらず申告しなかった場合に、税務署長などがその税額を決定することです。

特別償却

青色申告書を提出している法人が、一定の要件を満たす減価償却資産を取得した場合には、通常の減価償却費に追加して、特別償却による減価償却費を計上することができます。

ただし、特別償却をすると、その期については減価償却費(損金)が増えるため節税効果がありますが、耐用年数を通じた減価償却費の総額は増えませんので、将来の減価償却費は減少することになります。

特別税額控除

青色申告書を提出している法人が、一定の要件を満たした場合には、法人税額が控除される制度があります(特別税額控除)。

青色申告書を提出するには

青色申告書を提出するには次の二つの要件を満たす必要があります。

(1) 帳簿書類を備え付けて取引を記録、保存すること

青色申告書を提出するには、次の帳簿書類を備え付けて取引を記録、保存しなければなりません。

青色申告書を提出するための帳簿書類
仕訳帳、総勘定元帳など 仕訳帳や総勘定元帳、その他の必要な帳簿を備え付け、全ての取引を複式簿記の方法で整然とわかりやすく記録して保存すること
貸借対照表、損益計算書など 貸借対照表や損益計算書、棚卸表など決算に関連して作成した書類を保存すること
注文書、契約書、領収証など 受け取った注文書や契約書、領収証、見積書などを保存(自社で作成したこれらの書類の写しがある場合はその写しも保存)
帳簿書類の保存期間 帳簿書類の保存期間は原則として7年間(税務署長の承認を受けて電子データで保存することも認められています)

(2) 青色申告をするための申請書を提出し承認されること

青色申告書を提出するには「青色申告の承認申請書」を、青色申告を始める事業年度開始の日の前日まで(普通法人を設立した事業年度の場合は、設立の日以後3月を経過した日と設立事業年度終了の日のいずれか早い日の前日まで)に所轄税務署長に提出し、承認される必要があります。

なお、承認申請書を提出したものの、青色申告書の提出を開始する事業年度終了の日まで(中間申告をする法人は事業年度開始の日から6カ月以内)に税務署長から何も通知がない場合には、承認があったものとみなされます。

(例)4月1日~3月31日を事業年度とする会社が、設立第3期目(2022年4月1日~3月31日)から青色申告を開始する場合
第3期目の開始前(2022年3月31日まで)に申請書を所轄税務署長に提出しなければなりません。その後、承認(又はみなし承認)されれば青色申告書を提出することができます。

承認の取り消しと取りやめ

青色申告の承認の取り消し

青色申告が承認されていた場合でも、帳簿書類の備え付けや記録保存が適切にされていなかったり、取引の一部又は全部の仮想隠蔽、確定申告書を提出期限までに提出しなかった等の事実があった場合には、その事実があった事業年度に遡って承認が取り消されます。

青色申告の取りやめ

青色申告書を提出してる法人が青色申告をやめようとする場合は、やめようとする事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に所轄税務署長に「青色申告の取りやめの届出書」を提出しなければなりません。

(例)4月1日から3月31日が事業年度の会社が、2021年度から青色申告をやめようとする場合
2021年度終了の日の翌日(2022年4月1日)から2月以内、つまり2022年5月31日までに「取りやめの届出書」を所轄税務署長に提出しないといけません。

法令等

この記事は2021年12月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、この記事は税法学習者に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。

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