1.3 確定申告と中間申告

毎年3月になると確定申告のニュースが流れます。有名人が「e-taxで確定申告、簡単にできました!」なんてe-taxのPRをしていますね。こういった場合は所得税の確定申告ですが、もちろん法人税にも確定申告があります。今回は法人税の確定申告と中間申告について説明します。

確定申告

法人は株主総会などの承認を受けた決算に基づいて、所得金額(又は欠損金額)や法人税額などを所轄税務署長に申告しなければならず、この申告を確定申告といいます。確定申告は法人税額が0円であったとしても行う必要があります。

申告期限の原則

法人税の確定申告は、原則として各事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に行わないといけません(翌日から2カ月以内という税法特有のわかりにくい表現なのですが、決算日の2カ月後までと考えていただければ結構です)。

また、確定申告期限というのは確定申告書の提出期限であると同時に税金の納付期限でもあるため、決算日の2カ月後までに確定申告書を所轄税務署長に提出して、かつ、納税も済ませないといけないことになります。

(例)4月1日から3月31日が事業年度の場合
事業年度終了の日が3月31日の場合、その2カ月後(5月31日)が確定申告の期限になります。

災害等による申告期限の延長

国税庁長官や税務署長は災害やその他やむを得ない理由(地震や暴風、豪雨などの天災の他に、火災や火薬類の爆発などの人為的な災害、申告をする人などの重傷病、申告期限間近にe-taxがシステムダウンしたなど)によって納税者が申告や納付をできない場合には、その理由がやんだ日から2カ月を限度に申告期限を延長することができます。

なお、大きな災害等の場合は納税者が個別に手続きをしなくても国税庁長官が申告期限の延長をしますが、火災のような個別的な理由の場合は納税者が個別に所轄税務署長に申告納付期限の延長を申請する必要があります(申請が却下される場合もあります)。

延長する理由 納税者の手続き 延長後の申告期限 延長期間中の利子税
都道府県の全部又は一部に災害などが発生 不要 国税庁長官が対象の地域と期日を指定
(理由がやんだ日から2カ月以内)
なし
災害などで多数の納税者が電子申告等できない 不要 国税庁長官が対象者の範囲と期日を指定
(理由がやんだ日から2カ月以内)
なし
個別的な災害など 必要 税務署長が期日を指定
(理由がやんだ日から2カ月以内)
なし

災害等により決算が確定しない場合

法人税は決算書の利益に基づいて税額の計算をするため、災害やその他やむを得ない理由(例えば火災によって帳簿書類や会計データがなくなってしまった等)で確定申告期限までに決算が確定できない場合は税金の計算もできません。

したがってこのような場合、事業年度終了の日の翌日から45日以内に所轄税務署長に申告期限の延長を申請することができます(申請が却下される場合もあります)。また、延長の申請期限(事業年度終了の日の翌日から45日)より後に災害等が発生してしまった場合には一定の救済措置があります。

延長する理由 納税者の手続き 延長後の申告期限 延長期間中の利子税
災害等により決算が確定しない 必要 税務署長が期日を指定 あり
(例)事業年度終了の日が3月31日ですが、4月15日に火災が発生し会計データが消えてしまった場合
45日以内(5月15日)までに申告期限の延長を申請した場合、税務署長が指定する日まで申告期限を延長してもらうことができます。

2カ月以内に定時総会が招集できない常況の場合

定款等の定めや特別な事情によって事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に定時総会を招集できない常況にある場合は、本来の申告期限までに定時総会で決算の承認が得られないため、所轄税務署長に申告期限の延長を申請することができます(申請が却下される場合もあります)

納税者の手続き 延長後の申告期限 延長期間中の利子税
2カ月以内に定時総会が
招集できない常況にある
必要 原則として1カ月の延長 あり

利子税

・利子税

法人税の申告期限が延長されたため納付が本来の納期限よりも後になる場合には、本来の納期限から実際の納付日までの期間は、納税額に対して利子税(2019年は年率1.6%)が課税されます(災害等による延長の場合は利子税が課税されない場合もあります)。

(例)本来の確定申告期限は5月31日ですが、6月にならないと定時株主総会を招集できないため申告期限の1カ月延長を承認され、6月30日に確定申告・納付した場合
6月30日までに確定申告と納税を行えばよいのですが、6月1日から30日までの期間は延長期間ですので利子税を納付しないといけません。

・見込み納付

申告期限の延長によって申告書の提出が延長されている場合でも、本来の申告期限(延長前の申告期限)までに税金の納付を済ませれば利子税は課税されません。

そのため、例えば定時総会が決算日から2カ月以内に招集されないため申告期限が延長されている場合でも、2カ月以内に見込み額を納付しておけば、確定申告書は定時株主総会終了後であっても利子税は課税されません。これを見込み納付といいます。

中間申告

事業年度が6カ月を超える普通法人(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、一般社団法人、一般財団法人、医療法人など)は、事業年度開始の日以後6カ月を経過した日から2カ月以内(事業年度開始から8カ月後まで)に中間申告書の提出と納税を行う義務があります。

(例)4月1日から3月31日を事業年度とする株式会社の中間申告
事業年度が12カ月ですので、事業年度開始の日以後6カ月を経過した日から2カ月以内(11月30日まで)に中間申告と納税をしないといけません。

なお、中間申告の税額計算には(1)前年度実績によるものと、(2)仮決算によるものの2種類があり法人がどちらで計算するか選択できます。

前年度実績による方法

前事業年度の税額を基準にして中間申告税額を計算する方法です。前年度実績により計算した税額が10万円以下の場合は中間申告をする必要はありません。

(例1)前事業年度(2018年4月1日から2019年3月31日)の法人税額120万円の場合
中間申告税額:
120万円÷12カ月(前事業年度の月数)×6カ月=60万円
(例2)前事業年度(2017年4月1日から2017年11月30日)の法人税が120万円の場合
中間申告額:
120万円÷8カ月(前事業年度の月数)×6カ月=90万円

仮決算による方法

事業年度開始の日から6カ月間を一つの事業年度とみなして、確定申告での税額計算と同様の方法で中間申告税額を計算する方法です。ただし、仮決算による税額が前年度実績の税額を超える場合など、この方法を選択できない場合もあります。

(例)4月1日から3月31日が事業年度の株式会社が仮決算による中間申告する場合
4月1日から9月30日まで(6カ月間)を事業年度とみなして、確定申告と同様の方法で中間申告税額を計算します。

みなし申告

中間申告をしなければならない法人が中間申告の期限までに申告しなかった場合、前年度実績によって中間申告したものとみなされます。これをみなし申告といいます。

したがって中間申告に関しては申告書を提出しなくても、前年度実績による中間申告税額をきちんと納めてさえいれば問題ないとも言えます。

法令等

この記事は2019年10月31日現在の法令等に基づいて書かれています。また、記事の内容は税法の一般的な取り扱いについての解説ですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。