第3回 成長性の分析

前回までは財務諸表から「収益性」「安全性」を見てきましたが、財務諸表分析最終回の今回は「成長性」について解説します。周囲の会社が成長するなかで自社だけが成長しないことは衰退を意味しますが、会社の成長力を見るポイントを紹介します。

会社の成長性はどこを見る?

会社の成長性を判断する上で最も重要なポイントは当然のことかもしれませんが本業の収益である売上高の増加にあります。

ただし、このときに大切なのは売上の金額や売上成長率だけを見るのではなく、例えば「自社のシェアが伸びている」「業界全体の成長率が高い」「一時的に大きな受注があった」など、その理由をできるだけ詳細に分析することで、それによって将来に向けた戦略を立てることができます。

また、自社の成長率にだけ目を向けるのではなく、他社と比較してより成長していることが業界や地域でのシェア向上につながるためとても重要です。仮に売上が成長していたとしても業界の平均成長率を下回っている場合には、顧客からの支持を失っていると考えるべきでしょう。

「良い成長」と「悪い成長」

次に売上高の成長の中身についてですが、会社の売上高が順調に成長している場合であっても必ずしも良い成長ばかりとは限らず、悪い方向に向かって成長している可能性もあるため、良い成長と悪い成長を見分けることが大切です。

利益率の成長率

売上が成長しているときに大切なのが利益も一緒に成長していることです。例えば売上が5%成長しているにも関わらず利益が2%しか成長していない場合は、「値下げ」や「売上原価の増加」「販売費用の増加」などによって利益率が低下していると考えられます。

一次的な理由で利益率が下がったと分かっている場合は大きな問題にはなりませんが、経常的に利益を出せない体質にならないためにも、利益率が下がった場合にはすぐに原因を解明して対策を講じる必要があります。

貸借対照表の成長率

一般的には売上の成長にともなって債権債務や固定資産なども増えていくため、貸借対照表の総資産も一緒に成長していきますが、このとき貸借対照表と売上の成長のバランスが取れていることが大切です。

売上の成長よりも貸借対照表の成長の方が早い場合は、「設備投資を行ったにもかかわらず稼働率が低く売上が伸びていない」など総資産を有効に活用できていない可能性が考えられますので、設備投資計画の見直しや不要資産の売却などが必要かもしれません。

これまで3回にわたって財務諸表分析として「収益性」「安定性」「収益性」の見方を解説してきましたがこれで終了します。

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