第2回 安定性の分析

前回は会社の収益性の分析について解説しましたが、今回は財務諸表のどこを見れば会社の安全性(倒産リスク)を判断することができるのか、そのポイントを解説します。

「黒字倒産」とは?

一般的に黒字決算の会社といえば経営状態の良い会社で、赤字決算の会社といえば経営状態の悪い会社というイメージを持たれるかもしれませんが、「黒字倒産」という言葉があるとおり、黒字決算であっても会社が倒産することはありえます。

なぜなら、会社が倒産する直接の理由は赤字ではなく資金繰りの行き詰まりにあるからです。もちろん赤字は会社の資金繰りに悪い影響を与えるため、赤字が続くと長期的には安全性の問題が生じますが、短期的には黒字か赤字かということよりも貸借対照表が健康な状態にあるかの方が大切になってきます。

貸借対照表のポイント

短期的な安定性

財務諸表から会社の短期的な安定性を読み解くには、会社が短期的な支払いに備えるために十分な資金を保有しているかがポイントになります。そして短期的な安定性を判定する代表的な指標には「流動比率」と「当座比率」の二つがあります。

流動比率

流動比率は「流動資産÷流動負債」で計算され、100%未満の場合は「流動資産よりも流動負債の方が多い」ということになるため安全性が低いと言えるでしょう。一方、流動比率が120%以上ある場合には短期的なリスクは低いと考えられます。

当座比率

当座比率は、流動資産のなかの当座資産(現金預金、売掛金、受取手形、市場で売却できる有価証券などの短期的に現金化できる資産)と流動負債の比率として計算されます。

これは流動資産の中には棚卸資産のように短期的に現金化できる可能性が不透明なものまで含まれているため、短期的に現金化できる可能性のより高い当座資産と流動負債を比較することによって、より厳密に会社の支払能力を評価しようというものです。

当座比率が80%未満の場合は安全性が低く、100%以上あれば短期的な支払能力が高いと考えて良いでしょう。

中長期的な安定性

会社の中長期的な安定性を判断するには、単に支払能力だけではなく貸借対照表のバランスが大切になってきます。ここでは長期的な安定性を判断する指標として「純資産比率」と「固定比率」の二つを紹介します。

純資産比率

純資産比率は、総資産のうちに純資産の占める割合で、「純資産÷総資本」として計算します。純資産比率が高いということは負債に依存していない体質であることを意味するため、安定性が高いと言えるでしょう。

ただし、純資産比率は第1回 収益性の分析で解説した財務レバレッジとは正反対の概念ですので、純資産比率が高いということは安全性が高い反面、負債(借入金など)を使った積極的な経営ができていないと見ることもできます。したがって純資産比率は「高すぎず低すぎない」といったバランスが大切になってきます。

固定比率

固定資産は長期的にわたって使用されるもののため、返済義務のない純資産を使って調達されることが望ましいと考えられています。固定比率は、純資産に対する固定資産の大きさをチェックする指標で、「固定資産÷純資産」として計算します。

固定比率が100%を超える場合には、負債を使って固定資産を調達していることになるため好ましい状態ではなく、100%以下であれば過剰な投資が行われていない可能性が高いと言えるでしょう。

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