第1回 収益性の分析

財務諸表には様々な情報が含まれていますが、それらの情報をどのように分析するかによって情報の価値は大きく変わってきます。そこで今回から3回で財務諸表分析の基本的な方法を紹介します。第1回目の今回は財務諸表から会社の「収益性」を読み解く方法を紹介します。

5つの利益率から収益性を判断

「売上に対して十分な利益を獲得できているか?」を収益性といいますが、収益性を読み解くカギは、売上高と損益計算書の5つの利益の割合である「売上総利益率」「営業利益率」「経常利益率」「税引前当期純利益率」「当期純利益率」にあります。

そして、その中でも特に営業利益率は本業での稼ぐ力を、当期純利益率は会社全体での稼ぐ力を表していますので、会社にとってこの二つの利益率をモニタリングし続けることはとても大切です。

前期比較

利益率を分析するにあたっては前期との比較と原因分析が重要になります。このことはたとえ増収増益であったとしても重要で、増収増益の裏で利益率が悪化している場合には、「在庫処分セールの影響額が〇%」「本社移転による賃料増が△%」「大規模な商品の廃棄損が×%」といった具合に原因を究明して早めに対策を打ち出すことが、売り上げが増えても儲からない体質を回避するために大切です。

他社比較

前期比較と同様に重要なのが同業他社比較です。同業他社ができるのは同業他社の財務諸表が入手できる場合に限られますが、自社の利益率と比較して大きな乖離がある場合にはその原因を探ることが利益率改善のヒントになるかもしれません。

なお、参考までに経済産業省の「企業活動基本調査」によれば、平成29年度の営業利益率は、製造業5.5%、卸売業1.9%、小売業3.0%、当期純利益率は製造業5.9%、卸売業2.5%、小売業1.7%と公表されていますが、自社の利益率がこれよりも低い場合にはなぜ利益率が低いのかその原因を探ってみると良いでしょう。

効率的に稼げているか?

利益率とは別の視点からの収益性分析として「株主から集めた資金を利益を獲得のために効率的に使えているか」(「効率性」ともいいます)という見方がありまして、この場合に重要になる指標が純資産に対する利益率である「純資産利益率」です。

営業利益率や当期純利益率は売上に対する利益率のため、株主が投資した資本に対して売上金額が小さい場合には小さな利益であっても利益率が高くなってしまいますが、純資産利益率では純資産(自己資本)に対して十分な利益を獲得できているかを判断することができます。

また、純資産利益率が「高い場合」又は「低い場合」には、純資産利益率を次のように「財務レバレッジ」「総資本回転率」「当期利益率」の3つに分解して原因を探ることができます。

・財務レバレッジ
財務レバレッジが高いほど少ない純資産(自己資本)で多くの総資産(負債+純資産)を動かして効率的に事業を行っていると言えます。ただし、財務レバレッジが高過ぎる場合には金利負担が大きくなるため当期純利益率を圧迫するほか、大きすぎる負債は会社の安定性を悪化させるというマイナスの側面もあります。

・総資本回転率
総資本利益率が高いほど、他人資本も含めて調達された資金(総資本)を使って効率的に売上につなげていることになります。

・当期純利益率
売上純利益率が高いほど売上に対する利益率が高いといえます。

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