会社は定期的に法人税の申告と納税をしなければなりませんが、いったいいつからいつまでの期間の利益について申告と納税をすればよいのでしょうか?今回は法人税を計算の基礎となる期間「事業年度」について解説します。
事業年度
法人は定期的に法人税の申告と納税をしなければなりませんが、法人税を計算する期間のことを「事業年度」といいます。したがって、法人税を正しく申告納税する第一歩として、事業年度の定義を正しく理解する必要があります。

会計期間が定められている場合
会計期間が1年以下の場合
法人は一定期間ごとに決算を行って貸借対照表や損益計算書などの財務諸表(決算書)を作成しますが、この一定期間のことを「会計期間」といいます。
そして、この会計期間が法令や定款などで定められている場合には、会計期間がそのまま法人税の事業年度になります。したがって、このような法人の場合は会計期間と法人税の計算期間が一致するためとても分かりやすいです。
定款で定めた会計期間(4月1日から3月31日)が法人税の事業年度になります。

半年ごとというやや変則的な会計期間ですが、やはり定款の会計期間(1月1日から6月30日、7月1日から12月31日)が法人税の事業年度になります。

会計期間が1年超の場合
法人の会計期間が1年を超える場合には、会計期間開始の日から1年ごとに区分した各期間が、それぞれ事業年度になります。
会計期間が1年を超える場合には、会計期間開始の日から一年ごとに区分した各期間が事業年度になります。この場合、2019年4月1日から2020年3月31日、2020年4月1日から2020年9月30日がそれぞれ事業年度になります。

会計期間が定められていない場合
多くの会社が定款で会計期間を定めていますが、会計期間は定款の任意的記載事項ですので必ずしも定款で定めないといけないわけではありません。そのため会計期間が法令や定款などで定めていない場合で、法人設立後2カ月以内(※1)に税務署長に会計期間を届け出たときは、その届け出た会計期間が事業年度になります。
ただし、届け出た会計期間が1年を超える場合は、会計期間開始の日から1年ごとに区分したそれぞれの期間が事業年度になります。
なお、法人設立後2カ月以内に税務署長に会計期間を届け出なかった場合には、税務署長が事業年度を決めることになっています(※2)。
みなし事業年度
会社が事業年度の途中で解散又は合併により消滅したような場合など、通常の事業年度で法人税を計算することが適切ではケースがあります。このようなケースでは法令で定められた一定の期間を事業年度とみなして法人税の計算を行います。このような期間をみなし事業年度といいます。
吸収合併によって会社が2019年10月1日に消滅しているため、その前日までの期間(2019年4月1日から2019年9月30日)を一つの事業年度とみなして申告納付します。

法令等
この記事は2020年4月1日現在の法令等に基づいて書かれています。また、この記事は税法学習者に税法の一般的な取り扱いを解説するものですので、個別の事例につきましては税理士等の専門家にご相談ください。